「深い学び」へ向けて

『「深い学び」へ向けて』では、授業研究を専門とする研究者が、番組活用のポイントを解説しています。「深い学び」を実現させるために必要なことは何か、「こころを育む授業」「伝え合う力を育む授業」「探究的な学習を進める授業」「さまざまを結びつける授業」「思考ツールを活用する授業」「情報活用能力を高めるカリキュラム」などに焦点化して考えてみましょう。番組を活用した授業デザインやカリキュラム・マネジメントのあり方について考えることで、授業力をアップさせましょう。

「こころ」を育む「こころを育む授業」の基本

木原 俊行先生

木原 俊行大阪教育大学教授

今も昔も、「こころの教育」の重要性は変わりません。子どもたちが自分や仲間を大切に想い、自然や社会に対して真摯な姿勢で接するよう、家庭でも、学校でも、大人は子どもに働きかけるべきです。

けれども今日、子どもたちのまわりでは、「こころの教育」の推進を難しくする状況が生まれています。経済的に恵まれない家庭が増えている、家族以外の大人と関わる機会が少なくなっている等々、残念ながら、子どもたちが不安になったり、傷ついたり、自信を失ったり、孤独感を味わったりする状況が多くなっています。だからこそ、学校で、教師が、子どもたちに、こころが豊かになるよう、自身や仲間、自然や社会についてじっくり考える舞台を彼らに提供しなければならないのです。それを促すべく、教育課程に、「特別の教科 道徳」(以下、道徳科)が創設され、道徳教育の目標の明確化、内容の体系化が図られました。

小学校学習指導要領によると、道徳科においては、「児童の発達の段階や特性等を考慮し、指導のねらいに即して、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど、指導方法を工夫する」ことが期待されています。また、同解説書においては、指導方法の工夫例として、「教材を提示する工夫」「発問の工夫」「話し合いの工夫」「各活動の工夫」「動作化、役割演技など表現方法の工夫」「板書を生かす工夫」「説話の工夫」が示されています。
それらの内容を踏まえると、道徳科の授業も、「思考力・判断力・表現力」の育成を目指した「主体的・対話的で深い学び」として計画され、実践されることが望まれていると言えましょう。

横山さんのNHK学校放送番組『u&i』を活用した実践において「話し合い」が重視されているのは、こうした潮流に応じたものです。また、福田さんのNHK学校放送番組『もやモ屋』を活用した実践は、「考え、議論する道徳」を体現しています。この授業では、子どもたちは、「公正、公平、社会正義」について、同番組の登場人物の思いに関して自分の意見を書き表し、それをクラスの仲間のものと比較検討しています。

道徳科に生かす教材についてもう少し考えてみましょう。小学校学習指導要領解説によれば、その要件は、次の3つです。

(1) 児童の発達の段階に即し、ねらいを達成するのにふさわしいものであること
(2) 人間尊重の精神にかなうものであって、悩みや葛藤等の心の揺れ、人間関係の理解等の課題も含め、児童が深く考えることができ、人間としてよりよく生きる喜びや勇気を与えられるものであること
(3) 多様な見方や考え方のできる事柄を取り扱う場合には、特定の見方や考え方に偏った取扱いがなされていないものであること

これらの要件を満たす教材の開発は、そう簡単ではありません。例えば、ねらいの達成を重視すると、教材が子どもに与えるメッセージが特定の見方に偏ってしまうことが危惧されます。前述した要件を矛盾なく満たすよき教材の1つが、NHK for Schoolで入手できる道徳番組です。
このコンテンツには、子どもが「問題意識をもって多面的・多角的に考えたり、感動を覚えたりする」ことを促す構成が採用されているからです。こうした特性を有している道徳番組を教室で利用すれば、教師たちは、道徳科に期待される指導を無理なく実現できます。
道徳番組が子どもたちの感情を引き出し、その環流を促す力を有していることは、『ざわざわ森のがんこちゃん』を活用した大室さんのレポートに顕著に示されています。
また、道徳番組『オン・マイ・ウェイ』を活用した実践に関する吉田さんのレポートには、道徳科の教材としてのNHK学校放送番組の意義や可能性に加えて、その活用の工夫等を確認できます。

さらに、小学校学習指導要領解説において、道徳の指導の基本方針の1つとして、「教師と児童、児童相互の信頼関係を基盤におく」ことが掲げられています。
つまり、学級生活の安定が、真の道徳の学びには不可欠なのです。金子さんの学校放送番組「いじめをノックアウト」を用いた実践では、子ども間の信頼関係の構築の鍵(の1つ)となる「ごめん」という言葉が対象化され、多角的に検討されています。道徳科の授業の礎づくりとして参考になさるとよいでしょう。

加えて、幼稚園・保育所向け放送番組『しぜんとあそぼ』の利用を紹介している角さんの実践レポートでは、幼児が自然の不思議や命の輝きに共感することを促すために保育者が何に留意すべきかが述べられています。
特に、番組視聴して幼児が抱く感動をどのように体験と接続させるかに関して、あるいは、幼児の気づきを発展させるための環境構成のあり方等について、参考になる知見が呈されています。

木原 俊行先生

木原 俊行大阪教育大学教授

今も昔も、「こころの教育」の重要性は変わりません。子どもたちが自分や仲間を大切に想い、自然や社会に対して真摯な姿勢で接するよう、家庭でも、学校でも、大人は子どもに働きかけるべきです。

けれども今日、子どもたちのまわりでは、「こころの教育」の推進を難しくする状況が生まれています。経済的に恵まれない家庭が増えている、家族以外の大人と関わる機会が少なくなっている等々、残念ながら、子どもたちが不安になったり、傷ついたり、自信を失ったり、孤独感を味わったりする状況が多くなっています。だからこそ、学校で、教師が、子どもたちに、こころが豊かになるよう、自身や仲間、自然や社会についてじっくり考える舞台を彼らに提供しなければならないのです。それを促すべく、教育課程に、「特別の教科 道徳」(以下、道徳科)が創設され、道徳教育の目標の明確化、内容の体系化が図られました。

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伝え合う力を伸ばす番組を活用して「伝え合う力」を育む授業デザインを

中橋 雄教授

中橋 雄武蔵大学教授

「伝え合う力」はどのように育まれるか?

「伝え合う力」は伝え合う場面で発揮される能力であり、伝え合う実践的な経験を通じて育まれます。その経験は、かたちだけの練習ではなく明確な相手意識・目的意識をもった伝え合う経験でなければなりません。また、その経験を実り多きものにするために、その場での指導だけなく事前・事後の指導を充実させることも重要です。では、教室内で「伝え合う力」が発揮されるのは、どのような場面でしょうか。

中橋 雄教授

中橋 雄武蔵大学教授

「伝え合う力」はどのように育まれるか?

「伝え合う力」は伝え合う場面で発揮される能力であり、伝え合う実践的な経験を通じて育まれます。その経験は、かたちだけの練習ではなく明確な相手意識・目的意識をもった伝え合う経験でなければなりません。また、その経験を実り多きものにするために、その場での指導だけなく事前・事後の指導を充実させることも重要です。では、教室内で「伝え合う力」が発揮されるのは、どのような場面でしょうか。

授業時間に限らず、人と人とが関係性を築くために「伝え合う力」は不可欠です。また、授業時間においては、教師の発問に対して自分の考えを発言したり、外部講師に聞き取りをしたり、調べてまとめたことを伝える学習場面もあります。さらに、小集団で、教え合う活動や決まった答えのない課題解決学習を行う際、チーム内で「伝え合う力」が必要になります。このように、人間関係を築くためのふるまいから複雑な問題解決のために議論する能力まで、「伝え合う力」を育む場面にはさまざまな次元が存在します。「伝え合う力」は、「学ぶための力」でもあるわけです。

近年、主体的・対話的で深い学びを実現するための授業改善を行うことが重視されるようになりました。これまで以上に学習の質を高めることが目指されています。しかしながら、学習者に「伝え合う力」がなければ、主体的・対話的で深い学びを実現する授業はできないでしょう。

番組の目的を生かす授業デザインとは?

「伝え合う力」を育むための番組も多様なねらいをもって制作されています。それぞれに異なる目的や構成をもっているのです。例えば、伝え合う題材についてクラス全体で知識や問題意識を共有するためには、「伝え合う題材となる番組」が有効だと考えられます。そして、伝え合うための方法(話し方、聞き方など)を学ぶためには、「伝え合う方法のモデルを示す番組」が有効です。また、情報をうまく解釈・表現するためには、「伝え合うメディアの特性を学ぶ番組」が有効だといえるでしょう。

このように、「伝え合う力」を育むには、目的に応じて番組を選択し、授業をデザインすることが重要です。
その点に着目して、実践事例を読み解いてみましょう。

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探究する力を育てる探究的な学習を進めるための学校放送番組の活用

寺嶋 浩介先生

寺嶋 浩介大阪教育大学准教授

探究的な学習とその難しさ

次期学習指導要領においては、「探究」という言葉がひとつのキーワードになっています。小学校においては総合的な学習の時間の中で、中学校においては総合的な学習の時間以外にも、社会や理科などで言葉として盛り込まれています。

探究的な学習の過程では、以下のような活動が求められています。

  • 他者と協働して課題を解決しようとする学習活動
  • 言語により分析し、まとめたり表現したりするなどの学習活動
  • コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し、情報を収集・整理・発信するなどの学習活動

こうした学習活動を通して、課題の解決に必要な知識や技能を身につけ、さらに新しい問題を解決しようとする態度が養われていくことが期待されています。

探究的な学習を進めることは、ねらいとするところを見て、教員にとっては意義は感じるものの、ハードルが高いものと感じられるかもしれません。実際に総合的な学習の時間は小中学校においては2002年からスタートしていますが、教科書がなく、具体的なカリキュラムは各学校に委ねられることから、難しさを感じる方も多いようです。

「しまった!」活用で探究嫌いを生まないための指導を実現しよう

探究的な学習において一番ある誤解は、探究的な学習の過程を取ること自体が目的になってしまうことにあるのではないかと思います。 ただ上記したような学習活動を進めるだけでは、課題の解決に必要な知識や技能は育つとは考えられません。 かえって子どもが敷居の高い学習だと感じ、探究嫌いになってしまうのではないでしょうか。

次期学習指導要領においては、これらのことが危惧され、様々な情報を比較、分類、関連付けるといったような技法を活用すること、情報手段の基本的な操作を習得したり、子どもが情報や情報手段を主体的に選択し、活用できるよう配慮することなどが記載されています。このような学習については教師がその機会を提供し、取り立てて学びながら、学んだことをことを計画的に活用する場を仕組むことが必要です。 このような学習をサポートするために、NHK for Schoolにおいては「しまった! 情報活用スキルアップ」という番組が用意されています。

インターネットの活用、写真の撮影、プレゼンテーションの作成などというように、情報メディアの活用について取り上げた回もありますが、考えを整理したり、話し方といった情報メディアを使わない学習も取り上げてくれます。 「調べる」「まとめる」「伝える」と言った学習は、特に国語などの授業において取り上げてきた内容も多いかと思われますが、ポイントが端的にわかりやすく整理をされていますので、スムーズに活用できます。

一方、番組においては子どもが学習の場面において、「しまった!」と言ってしまうような失敗場面が盛り込まれているのもポイントです。 学級の子どもたちにこれらの場面をもとに、我が事のように考えさせることが出来ます。
まずはこの「しまった!」活用から探究的な学習のスタートラインに立ってみましょう。

寺嶋 浩介先生

寺嶋 浩介大阪教育大学准教授

探究的な学習とその難しさ

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探究的な学習の過程では、以下のような活動が求められています。

  • 他者と協働して課題を解決しようとする学習活動
  • 言語により分析し、まとめたり表現したりするなどの学習活動
  • コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し、情報を収集・整理・発信するなどの学習活動

こうした学習活動を通して、課題の解決に必要な知識や技能を身につけ、さらに新しい問題を解決しようとする態度が養われていくことが期待されています。

探究的な学習を進めることは、ねらいとするところを見て、教員にとっては意義は感じるものの、ハードルが高いものと感じられるかもしれません。実際に総合的な学習の時間は小中学校においては2002年からスタートしていますが、教科書がなく、具体的なカリキュラムは各学校に委ねられることから、難しさを感じる方も多いようです。

「しまった!」活用で探究嫌いを生まないための指導を実現しよう

探究的な学習において一番ある誤解は、探究的な学習の過程を取ること自体が目的になってしまうことにあるのではないかと思います。 ただ上記したような学習活動を進めるだけでは、課題の解決に必要な知識や技能は育つとは考えられません。 かえって子どもが敷居の高い学習だと感じ、探究嫌いになってしまうのではないでしょうか。

次期学習指導要領においては、これらのことが危惧され、様々な情報を比較、分類、関連付けるといったような技法を活用すること、情報手段の基本的な操作を習得したり、子どもが情報や情報手段を主体的に選択し、活用できるよう配慮することなどが記載されています。このような学習については教師がその機会を提供し、取り立てて学びながら、学んだことをことを計画的に活用する場を仕組むことが必要です。 このような学習をサポートするために、NHK for Schoolにおいては「しまった! 情報活用スキルアップ」という番組が用意されています。

インターネットの活用、写真の撮影、プレゼンテーションの作成などというように、情報メディアの活用について取り上げた回もありますが、考えを整理したり、話し方といった情報メディアを使わない学習も取り上げてくれます。 「調べる」「まとめる」「伝える」と言った学習は、特に国語などの授業において取り上げてきた内容も多いかと思われますが、ポイントが端的にわかりやすく整理をされていますので、スムーズに活用できます。

一方、番組においては子どもが学習の場面において、「しまった!」と言ってしまうような失敗場面が盛り込まれているのもポイントです。 学級の子どもたちにこれらの場面をもとに、我が事のように考えさせることが出来ます。
まずはこの「しまった!」活用から探究的な学習のスタートラインに立ってみましょう。

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思考の芽生えさまざまを結びつけることで、新たな楽しさを見つけよう!

堀田 博史 教授

堀田 博史園田学園女子大学教授

粘り強く考える力を伸ばす『ノージーのひらめき工房』の自由なプロセスが、
子どもの「発想力」をさらに育む!

堀田 博史 教授

堀田 博史園田学園女子大学教授

粘り強く考える力を伸ばす『ノージーのひらめき工房』の自由なプロセスが、子どもの「発想力」をさらに育む!

『ノージーのひらめき工房』のほか、幼稚園・保育所でご利用いただける番組があります。詳しくは、キッズワールド【NHKEテレこどもポータル】www.nhk.or.jp/kids/をご覧ください。

『ノージーのひらめき工房』(以下、ノージーと略す)は、制作の結果にこだわるのではなく、自由な制作過程(プロセス)を楽しむ番組です。しかし子どもにとっては、制作のプロセスよりも、最終的に完成した作品の方に興味があります。そのため、今までの造形番組の多くは、制作活動の結果である完成品を主に提示した後に、完成品に至るプロセスを扱ってきました。

「ノージー」を利用するいくつかの保育を参観しましたが、すべてに子どもたちはプロセスの自由さを楽しみ、作品を完成させていました。子どもたちには、プロセスの自由さは、心地良いのでしょう。

プロセスが自由になれば、自然と完成品の多くも異なったものになります。保育者はさまざまなプロセスを想定して、素材を準備しなくてはいけません。しかし、廃材などを用いた制作活動の素材準備には、質・量ともに限界があり、素材は園にあるものでいいじゃないの、となります。プロセスを自由にすることで、さまざまな作品が完成し、素材もさまざまになるという循環が起こるのです。この循環が、子どもたちに制作の新たな楽しさを感じさせるのでしょう。

子どもの発想力をさらに育むために、「さまざまな」素材・プロセス・作品を認めましょう!

さまざまな素材

制作活動に必要な廃材等の素材は、園内にストックされています。しかし、同じ素材が30、40個あるとは限りません。同じ素材ばかり準備せず、子どもたちに自由に素材を選択させることで、「番組では〇〇をつくっていたけど、△△をつくろうかな・・・」など、子どもは発想力を最大限に発揮します。その結果、プロセスの変化が自然に起こります。

さまざまなプロセス

保育者が、すべての子どもに同じプロセスを教えるよりも、プロセスを自由にすることで、子どもへの援助も多様になります。さまざまなプロセスを認めるからこそ、保育者にはそれぞれの子どもに合った言葉がけや援助が求められます。

さまざまな作品

さまざまな素材と自由なプロセスを認めることで、作品の完成に至る時間も異なれば、完成品も異なります。制作活動中に友達の作品を見て、自分の作品を変更する子どもも現れます。子どもたちは、何よりも今までにない異なった完成品に出合い、友だち同士で完成品を見せ合い、遊ぶ時間もより増えていきます。

生きものに共感し、優しい心を育む『しぜんとあそぼ』が、様々な芽生えを結びつける!

『しぜんとあそぼ』は、自然観察だけではなく、身近な生きものの生態をじっくり見ていくことで、自然の不思議や命の輝きを感じ、生きものに共感し、優しい心を育んでくれることをねらいとしています。

視聴後の子どもたちには、「たんごむしを保育室で飼育してみたい」「せみを捕まえに行こう」「図書コーナーの図鑑で調べてみたい」など様々な興味・関心がわいてきます。この興味・関心の芽生えは、保育での番組視聴では家庭での視聴に比べ、多様となります。

保育者は、番組視聴による子どもたちの多様な芽生えを見守りつつ、時には結びつける役割を求められます。ケースにたんごむしのすみかを作りたいと考える子どもには、友だちの援助も必要です。図鑑も一緒に読むことで、新たな気づきが子どもに生まれたりします。遠足で水族館に行く前に「たこ」の番組を視聴することで、水族館での観察の様子に変化が見られます。

個々の芽生えを育てて、友だちとそしてクラスで共有する。そのような流れができるといいですね。

さまざまな素材・プロセス・作品、個々の興味・関心、を結びつけ、共有することで、新たな楽しさが見つかり、活動が生まれます。

放送番組の活用をきっかけに、新たな保育での発見がありますよ、きっと!

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思考の芽生え思考を深めるための学校放送番組と思考ツールの活用

泰山 裕

泰山 裕鳴門教育大学准教授

新しい学習指導要領で主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善が求められ、これからの社会を生きるために必要な思考力の育成が求められています。これまでも授業では考えたり、議論したりする場面がたくさんあったと思いますが、そのような授業展開は今後ますます重要になると考えられます。
しかし、ただ「考えろ」と言っても子どもは動きません。

泰山 裕

泰山 裕鳴門教育大学准教授

新しい学習指導要領で主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善が求められ、これからの社会を生きるために必要な思考力の育成が求められています。これまでも授業では考えたり、議論したりする場面がたくさんあったと思いますが、そのような授業展開は今後ますます重要になると考えられます。
しかし、ただ「考えろ」と言っても子どもは動きません。

考えるためには、

  • ・考えたいと思うような課題
  • ・考えるための情報
  • ・考えるための方法

が必要になるからです。
それらを準備してくれるのが、学校放送番組と思考ツールです。

学校放送番組には「考えたいと思うような課題」と「そのために必要な情報」が詰め込まれています。番組では、子供が「考えてみたい!」と思う課題が示され、それを考えるために必要な情報がわかりやすく提示されます。しかし、番組を見せたあと、「さぁ、考えよう!」と言っても全ての子供が考えられるわけではありません。頭の中に情報がたくさんありすぎてうまく整理できなかったり、いま何をどのようにすればいいのかがわからなかったりして、うまく授業に参加できない子どももいます。

そのような子どもたちを支援するための道具が思考ツールです。思考ツールとは、考えたこと見えるようにし、考えることを助けるための道具です。頭の中に浮かぶたくさんの情報をある特定の枠に沿って書き出させることで「考える」ことを助けてくれる道具です。

たとえば何か物事を「くらべる」ときにはベン図を使って、「同じところ」と「違うところ」を整理します。考えを「理由」づけたりするときにはクラゲチャートを使います。自分の意見をクラゲの頭の部分に書き、その理由を足に書きます。 一つの情報からそのイメージをどんどん「広げる」ことで思いを整理したりする時はイメージマップを使います。このように、その場に応じた思考ツールを活用することで、頭の中が整理され、考えることができるようになります。

比較する:ベン図 理由づける:クラゲチャート ひろげる:イメージマップ

シンキングツール~考えることを教えたい~http://www.ks-lab.net/haruo/thinking_tool/short.pdfより抜粋

「しまった!」では、このような思考ツールをどのように使えばいいかを学ぶ回があります。このような番組を活用して、思考ツールを授業の中にうまく使っていくことが大切です。 ただ、思考ツールはその場面に応じた適切なものを選ばないと子供の思考を支援することはできません。それでは、思考ツールをどのように選べばいいでしょうか。思考ツールを選ぶためには、まず、その場で求められる「考えるとは何か」を具体的にする必要があります。

「自分の泳ぎ方の改善点を考えよう」という課題があるとします。この「考える」とは具体的にどのようなことを期待しているのでしょうか。 泳ぐときに自分が何をしているのかを具体的にすることでしょうか。それとも、自分のやっている泳ぎの良い点を見つけることでしょうか。泳ぎの上手な友達の泳ぎ方との同じところや違いを見つけることでしょうか。どのような「考える」を期待しているのかは先生によって違います。一口に「考える」と言ってもその中にはいろんな「考える」が含まれていることが多いのです。

これでは、思考ツールを選ぶことはできません。思考ツールとは考える方向を限定することで、子供の思考を支援するための道具だからです。そのため、どの方向に思考を限定したいのかをよく考えて選ぶことが大切です。

それでは「考える」とは一体どのようなことなのでしょうか。

学習指導要領を教科横断的に見てみると授業の中で使われる「考える」には19種類あることがわかっています(泰山ほか、2014)。

多面的にみる 変化をとらえる 順序立てる 比較する
分類する 変換する 関係づける 関連づける
理由づける 見通す 抽象化する 焦点化する
評価する 応用する 構造化する 推論する
具体化する 広げてみる 要約する  

これらの枠組みを参考にしながら、今日の授業でやってほしい「考える」を具体的にすることで適切な思考ツールを選ぶことができます。

実践リポートにある体育の事例では、「自分の泳ぎ方の改善点を考えよう」という課題を「“番組内で紹介されているできるポイント“と“自分の泳ぎ方“の比較」というように具体化し、「比較する」ための思考ツールであるベン図を使って、改善点を考えさせています。

ベン図の共通点の部分に入っていることは自分ができているところ、相違点の部分に入ったポイントはこれから改善する必要があるポイントになります。これからこのような活動を続けていくことで、 共通点に入るポイントが増えてくれば、自分たちの成長を実感することもできるでしょう。 このように、思考ツールをうまく活用するためには「どの思考ツールを使うか?」ではなく「今日はどの考えるか?」というところから検討するのがオススメです。

また、先ほど示した19種類は考えるの種類であると同時に、子供が身につけるべき方法でもあります。
思考ツールは、子供の思考を補助するための道具であると同時に、子供の考えるための方法を身につけるための道具でもあるのです。

例えば、先ほど例として示したベン図は体育の授業だけでなく、「比較する」ことを求める学習場面であれば、どんな場面でも使うことができます。何かと何かを比べて考える場面は様々な教科にあります。
国語の物語文で、登場人物の心情が第一場面と終末場面とで、どのように変わったのかを比較したり、生活科で春の公園と秋の公園の様子を比べて、違いを見つけたり、算数で1桁の筆算と2桁の筆算で計算方法がどのように違うかを比べて見つけたり。
このような場面でベン図を使って考えることで、子供達は教科の学習内容に加えて、考える方法についても学んでいきます。
これまで教科ごとに別々だと思っていた考え方が同じ思考ツールによってつながっていくのです。

そして、様々な教科の学習を通して様々な方法で考えた経験を繰り返す中で、考えるための方法が生きて働く技能として身についていくのです。そうすれば、誕生日プレゼントにもらうおもちゃを決めるときに2つのおもちゃを比べて決める、というような、生活場面の問題解決に学校で習った考え方を使う子供の姿が見えてくるようになるかもしれません。

「思考力の育成」を「考えるための方法の習得とその活用」として捉える、このような方向性は新しい学習指導要領の中にも確認できます。
国語科では、「情報の扱い方に関する事項」として、「比較や分類の仕方、情報と情報の関係付けの仕方」を技能として習得させることが明記されています。
理科では、「領域横断的な考え方」として、「比較、関係付け、条件制御、多面的に考える」が挙げられています。そして、総合的な学習の時間では、「配慮事項」として「比較する、分類する、関連づけるなどの考えるための技法が活用されるようにすること」が明記されています。

教科の学習の中で身につけた考えるための方法を教科横断的に活用することで思考力の育成を目指すことが明記されているのです。 最終的には、子供自身が自分で状況に応じて思考ツールを選択することができたり、思考ツールを使わなくても自由に考えることができたりする子供が育つことが理想です。そのためには、 教科横断的に適切に思考ツールを使う経験を繰り返し積み重ねることが求められます。

そのために、まずは授業の中で期待する「考える」を先ほど示した19種類の枠組みを参考に具体化し、それぞれの「考える」に適した思考ツールを選択することが大切です。
学校放送番組と、考え方を教え、考えることを補助するための思考ツールを活用して、これからを生きる子供たちに必要な思考力を身につけさせるための授業を作っていきましょう。

<関連資料>

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稲垣 忠准教授

稲垣 忠東北学院大学准教授

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2019年12月に文部科学省が公表した「教育の情報化に関する手引」をみると、情報活用能力として4つの学習内容が想定されています。第一に、道具としてコンピューターを使用できる「基本的な操作等」です。ソフトウェアの使用方法やタイピングなどです。第二に、情報手段を学びに活かす「問題解決・探究における情報活用」があります。調べる際にウェブで検索した情報を鵜呑みにすることなく取捨選択すること、集めた情報から自分の考えを作り出すこと、プレゼンテーションなどの場で相手に適切に伝えることが含まれます。第三に、コンピューターの仕組みや処理の仕方を理解し、問題解決にいかす「プログラミング」です。最後に、情報社会の利便性や課題点を理解し、安全に活用するための「情報モラル・情報セキュリティ」も欠かせない視点です。新学習指導要領をみてみると、国語でローマ字を学習する際にタイピングを、社会科でウェブ検索をさせたり、算数でプログラミングやデータの処理を学び、道徳では情報モラルが登場します。各教科・領域の学習内容を情報社会にふさわしくバージョンアップする中で、共通項として立ち現れた力を情報活用能力と呼んでいるのです。

NHK for Schoolでは情報活用能力の育成につながる番組が数多く放送されています。「問題解決や探究における情報活用」に直結するのが「しまった!」と「プロのプロセス」です。インタビューの仕方、情報の整理、プレゼンテーションや新聞づくりなどのポイントを、子どもたちが失敗を改善する姿や、その道のプロが試行錯誤する姿を通して学ぶことができます。「メディアタイムズ」は、CMやドラマの制作からSNSの運営まで、メディアのプロがどのように情報を扱っているのかを考える番組です。「未来広告ジャパン!」「コノマチ☆リサーチ」「よろしく!ファンファン」などの社会科番組、「ドスルコスル」「学ぼうBOSAI」といった総合的な学習の時間向けの番組は、登場人物が探究する姿がモデルになりますし、国語の「お伝と伝じろう」にもインタビューや資料を使った発表の仕方が含まれます。‘教科を横断して育てる「学習の基盤となる資質・能力」’であることは、こうしたさまざまな番組が関連するところからも分かります。

「プログラミング」では、「Why!?プログラミング」があります。MITが開発した教育用プログラミング言語「スクラッチ」上でさまざまな問題解決に取り組む例や、子どもたちがつくったオリジナル作品を紹介するサービスもあります。一方、新番組「テキシコー」では、プログラミング的思考がコンピュータから離れてさまざまな問題解決場面にどう役立つのかを、実験やアニメーションを通して理解できます。情報技術の仕組みと生活への応用例を知ることができる番組「テイク・テック」もあります。「情報モラル」ではスマートフォンにまつわるトラブルを取り上げ、実話をもとにしたドラマで危険性や回避方法を学ぶことができる「スマホ・リアル・ストーリー」があります。

番組をすべて見せれば情報活用能力が身につく!そんな単純な話ではありません。4つの分野の中で対応する番組のない「基本的な操作」の中でもタイピングのスキルは実際に繰り返し練習することで身につくものです。「問題解決・探究における情報活用」や「プログラミング」も漫然と見せているだけで力がつく訳ではありません。番組をきっかけに子どもたちも自分でやってみたり、活動の途中で視聴したりすることでコツや考え方がつかめます。「情報モラル・情報セキュリティ」も番組の出来事と自分や友だちの経験とを照らし合わせ、対処の仕方を話し合う機会を持つことが大切です。学校のICT環境、年間指導計画と照らし合わせながら、情報活用能力を育成するカリキュラムをつくっていきましょう。その際、すぐに使える優れた教材としてNHK for Schoolの番組や動画クリップをぜひ活用してみてください。

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