考える授業の流れ

「観察の質」を高めるための事前思考

  • 事前に自分の考えを深める時間をとることで、観察をする際の視点を明確にし、観察の質を高めます。

「根拠のある予想」を立てるための展開

  • 番組の視聴を通してたくさんの気付きを生み出し、思考ツールを使うなどして整理することで、根拠のある予想がスムーズに立てられます。

対話を通して自分の「考えをブラッシュアップ」

  • ペアやクラス全体で自分の考えを交流するたびに、小さなブラッシュアップを繰り返します。
  • 考えが練り直されるたびに、子どもたちは考えがまとまってくるので楽しくなります。

子ども自身が「学びの成長」を確認

  • 思考がどのように変化したのかに気付くことで、自ら学習を調整しようとする態度を養います。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ クリップ動画 □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

前時まで

<宿題> 夜7時と8時の月を見て、気付いたことをメモする。

教師の支援

  • 大人の協力を得ながら、各家庭で月の事前観察をする。
  • できるだけ満月の夜に観察できるように計画しておく。

ステップ(1) 予備観察・問題把握
観察した結果の比較から「ふしぎ」を見いだす

シート

ステップ(1)の流れ

5分

家での月の予備観察から、どんな気付きがあったのか発表する。

教師の支援

気付きの要点を板書して整理する。
【月】満月、色が薄くなった、位置が変わった、模様あった
【その他】建物に影、夜なのに明るい、風が吹いていた

6分

シート

動画①「番組シーン①~④」(0'00~5'43)を視聴する

動画を見て、満月についての問題を把握する。

教師の支援

ふしぎについて児童に確認し、板書するなど整理して、全員がふしぎを把握できるようにする。

時間がたつと満月の位置がちがうのはどうして?

時間がたつと満月の位置がちがうのはどうして?

ステップ(2) 予想を立てる準備
「ふしぎ」について「予想の手がかり」をさがそう!

シート

ステップ(2)の流れ

5分

シート

予想の手がかりを探すため、予備観察や動画から「気付いたこと」をカードに記していく。

教師の支援

予想の手がかりを見付けるのが難しい場合には、下記のウェビングシートを使って支援することも考えられる。

記入シート①(ウェビングシート)を配布する。

観察して問題に関連して「気付いたこと」を中央の問題に近いところに、ピンクのカードで書き出すように指導する。

1つだけではなく、たくさん出せるようにゲーム感覚で。

動画にはない気付いたことを書き加えてもいいと伝える。

8分

シート

気付いたことから連想される「にていること」「関係ありそうなこと」を書き出す。

教師の支援

気付いたことから連想される「にていること」や「関係ありそうなこと」を、青のカードでつなげて書くように指導する。

これまでの経験を思い出したり、事前の月の観察での様子を参考にするように助言する。

動画②「番組シーン⑤」(5'43~6'44)を視聴してもよい

動画も参考にして、手がかりを追加する。

さらに、連想したことについて「知っていること」を書き出す。

教師の支援

見つけきれない児童の補助に動画を見る機会を作る。

連想したことについて「知っていること」を、さらにつなげて、緑のカードで書き出すよう助言する。

つなげる方法がわかりにくい場合は、クリップ①「理科の見方・考え方 関係づけするとき」をみんなで視聴する。

教師の支援

つなげる方法がわかりにくい児童が多い場合は、ウェビングを使って、予想の手がかりを探す方法を知るために、クリップを見る機会を作る。

6分

自分の予想の手がかりになりそうなものを丸で囲む。

教師の支援

気になる「気付いたこと(ピンク)」と「にているもの(青)」「知っていること(緑)」の全てを囲うように、線を書くように伝える。

それらを関係付けて、手がかりとし、予想の根拠を探すように、助言する。

3分

時間があれば、ペアで自分の考えを伝え合う。

教師の支援

他の人に伝えることで、自分の考えをしっかり持てるように支援する。

2分

他の人の意見を聞いて、自分の予想の手がかりを手直しするところはないか検討する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の予想の手がかかりを改善してもよいことを伝える。

ステップ(3) 予想を立てる
「予想の手がかり」を使って「理由のある予想」をしよう!

シート

ステップ(3)の流れ

10分

シート

自分の予想をまとめる。

言葉で説明が難しい場合は、イラストや図を用いる。

教師の支援

記入シート②(予想ワークシート)を配布する。

図やイラストを使って説明してもよいと伝える。

自分の予想を書く時間が足りない児童には仕上げるように宿題とする。

ステップ(4) 予想の改善
自分の予想を説明し、他の人の予想も聞いて、予想をバージョンアップさせよう!

シート

ステップ(4)の流れ

5分

前時で立てた自分の予想を見直す。

予想について、グループで話し合う。

教師の支援

タブレット端末の画面を見せ合いながら、自分の予想を理由も含めて説明するように伝える。

他の人の予想について質問もするように助言する。

5分

シート

他の人の意見や予想を聞いて、自分の予想を手直しするところはないか検討する。

自分の予想の足りなかったところ(根拠の補強)や考え間違いなどを改善する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の予想を改善してもよいことを伝える。

説明に使った記入シート②をコピーして、それを改善していくように伝える。もし、新たに書きたいという児童がいたら、新しい記入シート③を配布する。

5分

シート

動画③「番組シーン⑥~⑨」(6'44~8'59)を視聴する

改善した予想を仕上げる。

教師の支援

予想を改善するためのさらなるヒントとして、動画を見る機会を作る。

番組の児童の予想がどう生まれたかを参考にして、自分の予想の根拠も考えてみる。

15分

みんなの予想の発表を行う。似た予想については、付け足しなどで内容を補充。

自分とは違う予想についても、理由がある予想であることを理解する。
※この段階では多くの予想に否定材料がまだないことを確認する

自分はどの予想のグループかネームカードを黒板に貼って宣言する。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

じっくり他の児童の考えを見る時間を取る。

クラス全体で児童の考えを発表、共有する。

発表を聞いて、予想をさらにバージョンアップさせてもよいと伝える。

板書しながら、クラス全体の予想をいくつかのグループにまとめる。

ステップ(5) 観察計画を立てる
同じ予想をしたグループで、その予想を確かめる方法を考えよう!

シート

ステップ(5)の流れ

3分

同じ予想した児童で、新グループを作る。

教師の支援

クラスの複数の予想について、児童をグループ分けして、席替えするように伝える。

時間がたつと満月の位置が違うのはなぜか、予想を確かめる方法を考えよう!

7分

シート

予想に基づいた観察計画(予想を確かめる方法)をグループで話し合い、まとめる。

(例)風で満月が動いたと予想

  • 満月の写真を建物と一緒に撮る。
  • カメラの位置は動かないように固定する。
  • 風が吹いているか分かるように近くに旗を立てる。
  • 風が吹いたときに写真を撮る。
  • 2枚の写真を比べてどうなったか確かめる。
  • 予想通りならどうなるはずかも考えておく。

教師の支援

自分たちが確かめたいことは何かを意識して、そのための計画になるよう助言する。

計画を立てるときに、3年時に学んだことの動画クリップを見てもいいことを伝える。

シート

エクストラ活動 観察方法の整理(15分ほど)

自分たちの予想を確かめる方法を考えるために、これまで持っている情報を整理する。

教師の支援

計画立案前に、まず個人でこれまでの情報を整理する。整理を明確にするために下記のKWLを使って支援することも考えられる。

記入シート④(KWLシート)を配布する。

Kに「これまでに気付いたこと、知っていること」を、Wに「何を確かめたいのか、それには何を調べる必要があるのか、観察の方法」を書き出し、観察計画を立てる参考にするように助言する。
L「わかったこと」については、観察後に記入する。

同じ気付きや考えはまとめるように助言する。

KWLシートで考えたことをグループ内で共有する。

時間がたつと満月の位置が違うのはなぜか、予想を確かめる方法を考えよう!

ステップ(6) 考え方の振り返り
自分の「理由のある予想」はどうやって生まれたかを振り返ろう!

シート

ステップ(6)の流れ

5分

シート

自分の最初の予想と改善した予想を比較する。

どうやって理由のある予想が生まれたのか、それがどのようにして考えが変化していったのか、振り返って書く。

教師の支援

資料シート③を参考にして、自分の予想はどういう手順で見つかったのか、何を手がかりにし(関係付け)たから、根拠のある予想ができたのか気付けるように支援する。

記入シート⑤(情報分析シート)を配布する。

上段左側に最初の予想、右側に改善後の予想を貼り付け、中段に、どう考えが変化したか書くよう伝える。

  • 観察で気付いたことと、これまでの体験や知識を関係付けをしたから、理由がある予想ができた。
  • 他の人の意見を参考にして予想が補強できた。など

教師の支援

根拠のある予想をする方法、説得力のある予想する方法を確認する。

次時以降(3~5時間目)

  • 大人の協力を得ながら、各家庭で自分たちの考えた観察計画を実施し、記録を取る。
  • 月についてわかったことを話し合う。この過程で、月の動き方についても考えを整理し、まとめる。
  • 追加観察をする。(別の形の月、昼間の月の観察)