- 大人の協力を得ながら、各家庭で月の事前観察をする。
- できるだけ満月の夜に観察できるように計画しておく。
「観察の質」を高めるための事前思考
- 事前に自分の考えを深める時間をとることで、観察をする際の視点を明確にし、観察の質を高めます。
「根拠のある予想」を立てるための展開
- 番組の視聴を通してたくさんの気付きを生み出し、思考ツールを使うなどして整理することで、根拠のある予想がスムーズに立てられます。
対話を通して自分の「考えをブラッシュアップ」
- ペアやクラス全体で自分の考えを交流するたびに、小さなブラッシュアップを繰り返します。
- 考えが練り直されるたびに、子どもたちは考えがまとまってくるので楽しくなります。
子ども自身が「学びの成長」を確認
- 思考がどのように変化したのかに気付くことで、自ら学習を調整しようとする態度を養います。
本時までの宿題
- 大人の協力を得ながら、各家庭で1時間の間隔(例 夜7時と8時)をあけて、月を観察して、気付いたことをメモする。
本教材の活用(2時)※5時間単元中の1時、2時
「月と星」について漠然と考えている児童に対し、月の形や位置などの様子に着目し、時刻によって位置が変わる原因の予想とその根拠についてじっくりと考えるように設計。
~1時~
<ステップ(1) 予備観察・問題把握> 観察した結果の比較から「ふしぎ」を見いだす
- 事前の月の観察から気付いたことを教室で出し合い、観察の際に注目すべき視点を把握する。
- 自分たちの事前観察の結果や満月を数分おいて同地点で撮影した写真を比べている動画から「時間がたつと満月の位置が違うのはどうしてだろう?」とふしぎをつかむ。
<ステップ(2) 予想を立てる準備> 「ふしぎ」について「予想の手がかり」を探す
- 冒頭の動画や普段の生活から、「満月の位置が違ったこと」に関して、思いついたこと、気付いたことをたくさんつなげて書き出す。
- ヒントとなる動画を見て、気付いたことと似たもので知っていることをさらに書き出す。
<ステップ(3) 予想を立てる> 「予想の手がかり」を使って「理由のある予想」をする
- 満月について気付いたことと似たものを探して連想したことを関係付けることで、根拠のある予想をする。
- 児童1人で予想を立てることを大事にするため、たっぷり時間を取る。
- 自分の意見を持った状態で、他の児童に説明したり、説明を聞いたりする活動が「対話的」な学びの重要なポイントとなる。
~2時~
<ステップ(4) 予想の改善> 自分の予想を説明し、他の人の予想も聞いて、予想をバージョンアップする
- 予想についてグループや学級全体で話し合ったり、番組を視聴したりするなどして、予想を改善する。
- このとき、最初の予想を残しておき、新たな予想と比べて振り返ることで、予想が変容する過程を児童自身が認識できるようにする。
<ステップ(5) 観察計画を立てる> 同じ予想をしたグループで、その予想を確かめる方法を検討する
- 自分たちが確かめたいことは何かを意識して、計画を立てるようにする。
- 何を確かめるか意識付けした状態で、観察が始まるので、観察活動での気付きも多くなる。
<ステップ(6) 考え方の振り返り> 自分の「理由のある予想」が、どうやって生まれたかを振り返る
- 予想の改善の前後を並べて振り返ることで、理由のある予想が生まれたのは、「知っていることどうしを結びつけて考える」ことや「交流」によるものであることに気付く。
【次時以降】
- 大人の協力を得ながら、各家庭で自分たちの考えた「観察」計画を実施、記録を取る。
- 月についてわかったことを話し合い、まとめる。
- 4年生の学習では、根拠のある予想をする活動を重視している。
そこでこの教材では、「根拠」をどう持つかについて、思考ツールを活用することで、児童が自ら意識して思考できるるように設計している。
<ウェビング(イメージマップ)> 問題から連想することを手がかりにして、予想の根拠を見つける
- 真ん中には「問題」を書く。そのすぐ外側に「満月について気付いたこと」を書き、さらに外側に「その気付きと似ていること」を連想して書く。
- さらに外側には、連想したことの特徴を書く。これを真ん中の「問題」と関係付けて考えてみる。
- これによって、予想をするための手がかりを視覚的に見つけやすくなる。
- 手がかりがいくつか見つかっている場合は、「ベン図」を使って、満月と手がかりの似ているところを探し、そこから予想の根拠を見つけてもよい。
<KWLシート> 予想の検証計画を立てる
- これまでに「気付いたこと、知っていること」を頼りに、「何を確かめたいのか、それには何を調べる必要があるのか、気をつけることは何か」を整理。
- 「どういう観察結果が求められるのか」を考えられるようにした。
<情報分析シート> 授業を通してどのように考え方が変わったのかを振り返る
- 「授業の前半の考え」と友達との情報共有による「予想の改善をしたあとの考え」を比べて、どのように考え方が変わったのかを、振り返る。
活用単元
第4学年B(5)月と星
月や星の特徴について、位置の変化や時間の経過に着目して、それらを関係付けて調べる活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
-
ア次のことを理解するとともに、観察、実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)月は日によって形が変わって見え、1日のうちでも時刻によって位置が変わること。 -
イ月や星の特徴について追究する中で、既習の内容や生活経験を基に、月や星の位置の変化と時間の経過との関係について、根拠のある予想や仮説を発想し、表現すること。
教材を活用する際の注意点
- 主体的・対話的な学びを行うには、最低限の知識がベースとなる。必要に応じて、3年時の学習内容も復習しておく。
- 思考ツールについては、使い方がわからない児童には適切な支援・助言をする。
- 夜間の観察を行う際は大人の付き添いができるよう協力を呼びかけるようにし、安全な観察を心がけるようにする。
授業の流れ
〇 学習活動 ● 番組 ◎ クリップ動画 □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援
前時まで
<宿題> 夜7時と8時の月を見て、気付いたことをメモする。
1時間目
この時間の詳細ステップ(1) 予備観察・問題把握
観察した結果の比較から「ふしぎ」を見いだす
ステップ(1)の流れ
5分
○家での月の予備観察から、どんな気付きがあったのか発表する。
◇気付きの要点を板書して整理する。
【月】満月、色が薄くなった、位置が変わった、模様あった
【その他】建物に影、夜なのに明るい、風が吹いていた
6分
●動画①「番組シーン①~④」(0'00~5'43)を視聴する
○動画を見て、満月についての問題を把握する。
◇ふしぎについて児童に確認し、板書するなど整理して、全員がふしぎを把握できるようにする。
時間がたつと満月の位置がちがうのはどうして?
時間がたつと満月の位置がちがうのはどうして?
ステップ(2) 予想を立てる準備
「ふしぎ」について「予想の手がかり」をさがそう!
ステップ(2)の流れ
8分
○気付いたことから連想される「にていること」「関係ありそうなこと」を書き出す。
◇気付いたことから連想される「にていること」や「関係ありそうなこと」を、青のカードでつなげて書くように指導する。
◇これまでの経験を思い出したり、事前の月の観察での様子を参考にするように助言する。
●動画②「番組シーン⑤」(5'43~6'44)を視聴してもよい
○動画も参考にして、手がかりを追加する。
○さらに、連想したことについて「知っていること」を書き出す。
◇見つけきれない児童の補助に動画を見る機会を作る。
◇連想したことについて「知っていること」を、さらにつなげて、緑のカードで書き出すよう助言する。
◎つなげる方法がわかりにくい場合は、クリップ①「理科の見方・考え方 関係づけするとき」をみんなで視聴する。
◎つなげる方法がわかりにくい児童が多い場合は、ウェビングを使って、予想の手がかりを探す方法を知るために、クリップを見る機会を作る。
3分
○時間があれば、ペアで自分の考えを伝え合う。
◇他の人に伝えることで、自分の考えをしっかり持てるように支援する。
2分
○他の人の意見を聞いて、自分の予想の手がかりを手直しするところはないか検討する。
◇他の人の意見も参考にして、自分の予想の手がかかりを改善してもよいことを伝える。
2時間目
この時間の詳細ステップ(4) 予想の改善
自分の予想を説明し、他の人の予想も聞いて、予想をバージョンアップさせよう!
ステップ(4)の流れ
5分
○前時で立てた自分の予想を見直す。
○予想について、グループで話し合う。
◇タブレット端末の画面を見せ合いながら、自分の予想を理由も含めて説明するように伝える。
◇他の人の予想について質問もするように助言する。
5分
○他の人の意見や予想を聞いて、自分の予想を手直しするところはないか検討する。
○自分の予想の足りなかったところ(根拠の補強)や考え間違いなどを改善する。
◇他の人の意見も参考にして、自分の予想を改善してもよいことを伝える。
■説明に使った記入シート②をコピーして、それを改善していくように伝える。もし、新たに書きたいという児童がいたら、新しい記入シート③を配布する。
15分
○みんなの予想の発表を行う。似た予想については、付け足しなどで内容を補充。
○自分とは違う予想についても、理由がある予想であることを理解する。
※この段階では多くの予想に否定材料がまだないことを確認する
○自分はどの予想のグループかネームカードを黒板に貼って宣言する。
■大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。
◇じっくり他の児童の考えを見る時間を取る。
◇クラス全体で児童の考えを発表、共有する。
◇発表を聞いて、予想をさらにバージョンアップさせてもよいと伝える。
◇板書しながら、クラス全体の予想をいくつかのグループにまとめる。
ステップ(5) 観察計画を立てる
同じ予想をしたグループで、その予想を確かめる方法を考えよう!
ステップ(5)の流れ
3分
○同じ予想した児童で、新グループを作る。
◇クラスの複数の予想について、児童をグループ分けして、席替えするように伝える。
時間がたつと満月の位置が違うのはなぜか、予想を確かめる方法を考えよう!
7分
○予想に基づいた観察計画(予想を確かめる方法)をグループで話し合い、まとめる。
(例)風で満月が動いたと予想
- 満月の写真を建物と一緒に撮る。
- カメラの位置は動かないように固定する。
- 風が吹いているか分かるように近くに旗を立てる。
- 風が吹いたときに写真を撮る。
- 2枚の写真を比べてどうなったか確かめる。
- 予想通りならどうなるはずかも考えておく。
◇自分たちが確かめたいことは何かを意識して、そのための計画になるよう助言する。
◇計画を立てるときに、3年時に学んだことの動画クリップを見てもいいことを伝える。
◎エクストラ活動 観察方法の整理(15分ほど)
○自分たちの予想を確かめる方法を考えるために、これまで持っている情報を整理する。
◇計画立案前に、まず個人でこれまでの情報を整理する。整理を明確にするために下記のKWLを使って支援することも考えられる。
■記入シート④(KWLシート)を配布する。
◇Kに「これまでに気付いたこと、知っていること」を、Wに「何を確かめたいのか、それには何を調べる必要があるのか、観察の方法」を書き出し、観察計画を立てる参考にするように助言する。
L「わかったこと」については、観察後に記入する。
◇同じ気付きや考えはまとめるように助言する。
○KWLシートで考えたことをグループ内で共有する。
時間がたつと満月の位置が違うのはなぜか、予想を確かめる方法を考えよう!
ステップ(6) 考え方の振り返り
自分の「理由のある予想」はどうやって生まれたかを振り返ろう!
ステップ(6)の流れ
5分
○自分の最初の予想と改善した予想を比較する。
○どうやって理由のある予想が生まれたのか、それがどのようにして考えが変化していったのか、振り返って書く。
□資料シート③を参考にして、自分の予想はどういう手順で見つかったのか、何を手がかりにし(関係付け)たから、根拠のある予想ができたのか気付けるように支援する。
■記入シート⑤(情報分析シート)を配布する。
◇上段左側に最初の予想、右側に改善後の予想を貼り付け、中段に、どう考えが変化したか書くよう伝える。
- 観察で気付いたことと、これまでの体験や知識を関係付けをしたから、理由がある予想ができた。
- 他の人の意見を参考にして予想が補強できた。など
◇根拠のある予想をする方法、説得力のある予想する方法を確認する。
次時以降(3~5時間目)
- 大人の協力を得ながら、各家庭で自分たちの考えた観察計画を実施し、記録を取る。
- 月についてわかったことを話し合う。この過程で、月の動き方についても考えを整理し、まとめる。
- 追加観察をする。(別の形の月、昼間の月の観察)
配布シート
ステップシート①
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動画シート①
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ステップシート②
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文字パーツ
・共通タイトル
ステップ(2)予想を立てるじゅんび
「ふしぎ」について「予想の手がかり」をさがそう!
・本文
活動① 予想の手がかりをさがすため、予び観察や動画から満月について「気付いたこと」を記入シート①に追加しよう
真ん中の「ふしぎ」の近くに、ピンクのカードに書いて、線でつなげよう
活動② 「気付いたこと」から連想される「にていること」「関係ありそうなこと」を記入シート①に追加しよう
「気付いたこと」の外側に、青のカードに書いて、線でつなげよう
番組動画②を見て、参考にしてもいいよ
活動③ 「にていること」「関係ありそうなこと」について「知っていること」を記入シート①に追加しよう
「にていること」「関係ありそうなこと」の外側に、緑のカードに書いて、線でつなげよう
つなげかたが分からないときは、クリップ①を見て、参考にしてね
活動④ 自分の予想の手がかりになりそうなものを丸でかこもう
活動⑤ ほかの人と意見交かんをしよう
参考になる意見を見つけたら、自分の予想の手がかりを改ぜんしてもいいよ
・フキダシ
予想するには手がかりさがしが大事だよ!
1つだけでなく、たくさん出せるといいカモ!
動画にないことも加えていいカモ~!
記入シート①
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画像パーツ
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文字パーツ
・共通タイトル
ステップ(2)予想を立てるじゅんび
「ふしぎ」について「予想の手がかり」をさがそう!
・小見出し
時間がたつと満月の位置がちがうのはどうして?
・思考ツール
満月
時間がたつと満月の位置が変わる
気付いたこと
にていること
関係ありそうなこと
知っていること
・フキダシ
動画の静止画を使ってもいいカモ!
資料シート①-1
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動画シート②
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画像パーツ
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文字パーツ
・共通タイトル
ステップ(2)予想を立てるじゅんび
「ふしぎ」について「予想の手がかり」をさがそう!
・番組動画②
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/bangumi.cgi?das_id=D0005110408_00000#in=343&out=404
・クリップ① 理科の見方・考え方「関係づけするとき」
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005302180_00000
資料シート①-2
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ステップシート③
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ステップシート④
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文字パーツ
・共通タイトル
ステップ(4)予想の改ぜん
自分の予想を説明し、ほかの人の予想も聞いて予想をバージョンアップさせよう!
・本文
活動① 記入シート②に書いた自分の予想とそう考えた理由を見直そう
活動② 予想について、グループの人と意見交かんをしよう
活動③ ほかの人の予想を聞いて、自分の予想の足りないところはないかを考えよう
活動④ 番組動画③を見て、記入シート②にまとめた予想をバージョンアップしよう
新しい予想は記入シート③にまとめよう
・フキダシ
自分の予想とはちがう予想にもちゃんと理由はあるみたい
気になったことはしつ問してみるといいカモ
足りないところや考えまちがいがあれば直そう!
記入シート③
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動画シート③
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画像パーツ
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文字パーツ
・共通タイトル
ステップ(4)予想の改ぜん
自分の予想を説明し、ほかの人の予想も聞いて予想をバージョンアップさせよう!
番組動画③
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/bangumi.cgi?das_id=D0005110408_00000#in=404&out=540
資料シート②
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ステップシート⑤
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動画シート④
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画像パーツ
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文字パーツ
・共通タイトル
ステップ(5)観察計画を立てる
同じ予想をしたグループで、その予想をたしかめる方法を考えよう!
時間をちぢめて見る(空)
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005300984_00000
風の強さとものの動く速さ
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005301243_00000
時間がたつと動くかげ
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005300655_00000
かげが動くとき
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005301725_00000
太陽とぼうのかげの動き
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005300659_00000
太陽の動きとぼうのかげは・・・
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005302013_00000
太陽の1日の動き
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005302009_00000
ステップシートEX
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文字パーツ
・共通タイトル
エクストラステップ 観察方法の整理
予想をたしかめる方法を考えるために、これまで持っているじょうほうを整理しよう!
・本文
★エクストラ活動
活動① 記入シート④にこれまでのじょうほうを整理しよう
活動② グループ内で記入シート④を共有しよう
・フキダシ
にたような「予想」のグループでその予想のたしかめ方を計画しよう!
記入シート④
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ステップシート⑥
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