「ツールボックス」サイト開設によせて(齋藤ひろみ)

小学校3年生の道徳時間、お話「なかよしだから」の音読が始まる。ネパール人のナジさんはボンヤリ。そこで、教科書の挿絵を指差し、笑顔で「なかよし」と繰り返しながら握手をする。ナジさんは「うん」と頷いてワークシートに2人の登場人物の絵と台詞を書き入れる。台詞は英語。それを、やり取りしながら日本語で表現。ナジさんは、最後に、「〇〇さんみたいな友だちがいい」と感想を書く。

視覚情報と体験による支援がナジさんの「わかった」を生み出し、「できた」を実現しています。このサイトでは、ナジさんのような多様な言語文化背景をもつ子どもの教育・支援に携わる皆さんに、NHK for Schoolの動画を活用して日本語や教科の学習を支援するためのアイディアとツールを提供します。映像と音声とで綴られた子どもたちの生活世界と学習内容は、言語・文化、そして経験の異なる多文化の子どもの感性と想像力を動かします。視覚による情報を得て、直接的には体験できない世界をも見・聞きできたら、ナジさんもさらに理解は促され、思考は刺激され、そして、コミュニケーションと創造を楽しめるはずです。多文化・多言語の子どもたちの「わかった」と「できた」のために、このサイトのアイディアを、是非ご活用ください。

東京学芸大学大学院教授 齋藤ひろみ

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