「すくレポの多文化実践」を更新しました
「ツールボックス」サイト開設によせて(齋藤ひろみ)
外国につながる子どもたちとともに学ぶために、
NHK for Schoolの動画を活用するアイデアを集めました。
一斉授業、日本語クラス、地域の支援など、
さまざまな現場でお役立てください!
協力
齋藤ひろみ(東京学芸大学大学院教授・日本語教育学会会長)
田原健之介(大阪市立小学校教頭・大阪市学校教育ICT推進リーダー)
藤川純子(三重県四日市市立小学校教諭・JICA中部開発教育アドバイザー)
「すくレポの多文化実践」を更新しました
「ツールボックス」サイト開設によせて(齋藤ひろみ)
古典文学は、語彙や文法が独特で難しい…だからこそ、番組を見てイメージをふくらませ、作品の世界にぐっと近づいてください。この実践では、音や表情に注目して繰り返し視聴したり、出てくる言葉をグループ分けしたりしながら、生徒自身が古典文学の面白さを発見していきます。
語彙が少なく、漢字もまだこれから…という子どもでも、新たな知識を得たり、「比較する」「見分ける」などの考え方を学ぶことは、十分可能です。そのためのヒントの数々が、この活用案には詰まっています。動画や絵カードなどを効果的に活用することで、新しい日本語の語彙や表現を定着させつつ、教科学習も成立させる事例です。
理科の実験は、日本語が苦手な子どもにとって参加しやすい活動です。だからこそ、学習内容を理解して、自信をもって参加してほしい…そのために動画を使って予習しよう!というのがこの活用案です。実験の活動の流れや、そこで使う語彙、表現を学んで、在籍級での活動につなげてください。
「すたあと」は新しく学校生活をスタートする1年生をサポートする番組ですが、日本に来たばかりの子どもにもオススメです。番組に登場する子どもたちの発言は、語彙や文型の生きた教材になります。この活用案は、さまざまな日本語力の子どもが自分のことを伝えられるように、「指さす」「絵をかく」などの方法も取り入れています。
投稿者:東京都 北区立赤羽岩淵中学校
田中阿貴さん
対 象:中学
理科や社会の教科書には受身表現がよく見られます。受身表現は英語でも中2の最後で習う比較的難しい単元であり、日本語学習中の生徒にとって難しく感じる文型です。しかし、受身表現を教科学習と合わせて学習することは、日本語も教科の力も伸ばすチャンスでもあります。私は日本語学習1年程度の中学3年生の生徒を対象に、日本語の受身表現を軸に、英語の受身表現、京都・奈良への修学旅行の事前学習を兼ねた歴史の学習、理科の生殖について教科横断的に指導しています。NHK for Schoolの理科クリップは他の動画より発音が明瞭で、余計な情報も少ないので聞き取りやすく、テキストデータもあるので指導に活用しています。
投稿者:静岡県 沼津市立開北小学校(Umi 国際室)
生田佳澄さん
対 象:小1
第1学年JSL国語科「まめ」(学校図書第1学年下p.44~49)の先行学習(在籍学級の授業より先に学習する授業)でNHK for School 「インゲンマメのそだち方」(小3理科 動画)を活用しました。日本語支援を要する子どもたちにとってリライト教材(自作)や教科書に掲載されている写真は、文章の内容の大体をとらえたり、育つ順序を確かめたりすることに有効です。また、自分が育てている「まめ」の観察を通して「土が もり上がって、めが でてきます。」という文について、実感を伴って理解することができます。しかし、「花が さいた あとに、あたらしい まめが できます。」という文については、 理解できません。
投稿者:静岡県 沼津市立第一小学校
生田佳澄さん
対 象:小1
第1学年JSL国語科「まめ」(学校図書第1学年下p.44~49)の先行学習でNHK for School 「インゲンマメのそだち方」(小3理科 動画)を活用しました。日本語支援を要する児童にとって「花が さいた あとに、あたらしい まめが できます。」という文章について理解しづらいので本実践では、一人一台端末を使い前述の動画を視聴しました。花が咲いた後にどのようにさやが伸びて豆ができるのか大きな画面に映し、繰り返し視聴し、ようやく言葉と場面の一致ができたタイミングで、おいしそうな「さやインゲン」を児童一人ずつに手渡ししました。本動画は、言語概念を形成する上でも役立つ動画です。
投稿者:静岡県 沼津市立大岡南小学校(Umi 国際室)
生田佳澄さん
対 象:小1
特別の教育課程におけるJSL日本語学習では、「まめ」(学校図書第1学年下 p.44~49を使い順序についての学習をしました。視覚支援として有効だったのが、NHK for School 「インゲンマメのそだち方」(小3理科 動画)です。アサガオやホウセンカ、ヒマワリの花とたねの関係は、栽培経験があるので理解できるのですが、豆は栽培途中で、まだ花も咲いていない状態だったので「花がさいたあとに、あたらしいまめができます。」という文章については、実感をともなった理解がしづらい様子でした。そこで本実践では、一人一台端末を使い、前述の動画を視聴することで、空白の栽培体験を補い、どのように花からさやが伸びて豆ができるのか児童自ら何度も視聴することにより、児童は、感動と共に文の意味を理解することができました。
投稿者:東京都 豊島区立池袋小学校
大浦真由美さん
対 象:小4
本校には日本語学級があり外国にルーツをもつ児童が学んでいます。全く日本語が話せなくて編入して来た児童や、学習言語を習得中の児童など、日本語の習得状況は様々です。今回設定した授業「秋の楽しみ~句会をしよう」は、学習言語を習得中の4年生3名を対象とした授業です。友達や先生との会話は大変流暢で、伝えたいことを日本語で話すことはできます。このような段階の児童には、学年相応の教科書を使用し在籍学級の学習内容に近い活動を組み入れます。そして、在籍学級でも自信をもって積極的に学習に参加できる力を培うことを目的として授業を構成します。
投稿者:愛知県 岩倉市立南部中学校
中村夏帆さん
対 象:中学・高校
本校には、外国にルーツをもつ生徒が48名在籍しており、日本語教室で日本語と教科を勉強しています。
日本語教室で勉強する“公民”では、私は、日本では当たり前のように教えられていることを、自分のルーツの国の社会や文化と比べながら理解したり、どちらの国のことも自分事として考えたりすることで、日本の“公民”の中に隠れている日本の社会や文化構造に気付き、それを言語化できる力を身に付けることを目標にしています。日本語教室に通う3年生の生徒を対象にした今回の授業では、外国にルーツをもつ者という視点で公民の動画「グローバル化、キミには関係ない?」を理解し、それぞれの考えをまとめて伝えられることを目標としました。
三重県 四日市市立笹川小学校
藤川純子さん
対 象:小1・小2
24名のうち外国ルーツの子どもが7名います。日本語の日常会話ができる子、初期日本語指導を受けている子、特別支援学級在籍の子などがいます。別室指導を受けることの多い外国ルーツの子は、他児と自然に関わる場面が少ないこともあって、教室内ではどうしても「お世話される」だけの関係に終始してしまいがちです。また道徳の教科書はテキスト中心で、日本語学習中の子にとっては、それだけで理解が難しく授業参加へのハードルが上がってしまいます。