今回のおはなし

― ドラムスコの顔・クローズアップ ―

ドラムスコ「なに? あのトッポとボビーって子が?」

ドラムスコの岩場。そこに来ているサミーとバット。その後ろで、ミュートが用心棒よろしく凄んでいる。

サミー「(偉そうに)ああ。このダンナの大切な音叉を持ち出しやがったのさ」
ミュート「ゆるせんだんだべさぁ~~~!」
サミー「あんた、あいつらに無理やり太鼓やらせたろ。今度は、コソ泥までさせる気かよ!」

ドラムスコ「・・そいつはちょびっとおかしくないか、ボーイ? 無理やり太鼓をやらしたんなら、あの子たちはここには来ないはずだ。太鼓叩いて楽しかったよぉって聞かされた、だからお兄ちゃんはここにいるんじゃないかと思ったわけさ。そうだろ?」

サミー「うっ・・・」
と言葉に詰まるサミー、だが、
サミー「うううるせぇ。余計なことしやがって。あいつらが、これで自分たちも音楽できるなんて思っちまってみろ。どうしてくれるんだ!」

ドラムスコ「(恍けて)ほう・・、それが何か困ったことになるのかい?」
軽快に太鼓を叩きだす。と、たちまち、

ミュート「(気持ち悪く)おおお・・・おえぇ~~~・・!」

吐きそうになって、ばっと遠くの林に駆け込んでいく。
ミュート「おえ~~!」
と吐く声がする。

ドラムスコ「(苦笑)なるほど。魔女の手下は・・音楽が大の苦手ときてる。だがボーイ。お前さんと弟たちは、音楽が大好きなはずだ」

サミー「(怒って)なななに言ってやがる・・(言いかける)」

だがドラムスコ、眼光鋭く、
ドラムスコ「(ぴしゃり)困るのは、トッポとボビーじゃない! サミー、お前さんじゃ!」

サミー「ぐっ(言い返せずぐっと飲みこむ)」

ドラムスコ「あの子たちは、十分に音楽を楽しめる。なのに、お前さんはじめ周りのワケわからん連中が、あの子たちには音楽が聴こえないって勝手に決めつけている。あの子たちの素晴らしい能力に目を向けようとせず、勝手に困ってるだけなのさ!」

サミー「(愕然と)な・・・なんだと・・・」

と、いつの間にかミュートが背後に戻ってきている。すこし間があり、
ミュート「(心配したように)・・・だべさぁ・・・」
バット「大丈夫みゅ~?」
サミー「へっ。どうってことねーさ」

その三人のギクシャクした姿に、ドラムスコが吹き出す。
ドラムスコ「(笑って)こんなワケわからんバトコしか話さない連中と、それだけ仲良くなれるんだ。ボーイ・・。お前さんには、おいらの言ってる意味がとっくに分かってると思うがな?」

ドラムスコと見つめ合うサミー。だが、すこし照れて、
サミー「はぁ・・・(このオッサンにはかなわねーな)」

サミー「(ジョークで)バトコって何よ? ふふっ・・・意味わかんねーっての」

豪快に吹き出すドラムスコ、釣られてミュートたちもサミーとバットは笑いだす・・・。

― 音楽堂内・ステンドグラスの窓 ―

陽光が淡く差しこんでいる。

ピアニッシモと話をしているキャラ。
ピアニッシモ「(観念したように)邪悪な力は、どうしても止められなかった。私の音楽エネルギーは以前の半分以下になってしまった。・・・それでティファンが・・・・」
キャラ「ティファンさんが・・?」

とピアニッシモ、鍵盤を前に沈黙していたヒュンに、
ピアニッシモ「ヒュン・・・。キャラさんに・・・ティファンを見せてあげて?」

沈黙のヒュン。

息を凝らしてヒュンを見つめるキャラ。

ややあって、ヒュンが「ラ」をはじめとするティファンの音叉の五つの音をひとつひとつ弾いてみせる。
キャラ「こ・・・これは・・・?」
ピアニッシモ「ティファンは、音叉のガッキアニマル・・」

ヒュンが今度はその五つの音を同時に弾いてみせる

音楽堂に共鳴し合う五つの音たち、それがピアニッシモの持つ音叉の周囲に光の輪を作る。
そしてその中に、ティファンが浮かび上がってくる。

キャラ「(感激)・・きれいな人ぉ!」

ピアニッシモ「ティファンは・・・傷ついたわたしの代わりに・・・邪悪なエネルギーに立ち向かう決意をした・・・」
キャラ「ええ!」

― ピアニッシモの回想 ―

ティファン「お願い、ピアニッシモ! わたしに・・・わたしにあなたの力を浴びせて!」

両目を失い傷ついているピアニッシモ、その傷口に包帯を巻いている。
ピアニッシモ「そ、そんな! いくらなんでも、無茶だわ。たとえあなたでも、音楽ビタミンを一度に浴びたら・・・いったいどんなことになるか!」

― もとのところ ―

ピアニッシモ「ティファンは・・・・聞かなかった・・」

― ピアニッシモの回想 ―

光の帯が、ティファンの全身を覆い、彼女の体の中へと吸い込まれていくと、彼女の肉体が次第にかき消えていき、音叉だけが光り輝いていく。

ピアニッシモ「(涙があふれ出てくる)・・・ティファン・・・。ティファン・・・」

音叉がいよいよ輝き、それはクワッっと五つに分かれ、それぞれが光の帯となって島のあちこちに飛び立っていく。
ピアニッシモ「ティファン!」

島のあちこち。五つの音叉の光が、邪悪なエネルギーを追い払っていく。

― もとのところ ―

静寂に包まれる音楽堂。
ピアニッシモ「・・・この島がこんなことになったのも・・・もとはと言えば・・・(言いかける)」

キャラ「(ヒュンを気遣い)やめてください!」

ピアニッシモ「いいえ。ヒュンは、・・・ヒュンはもうこの事実から逃げてはいけない」
キャラ「・・・・!」

ピアニッシモ、一転してやさしく、
ピアニッシモ「例えヒュンに悪気はなかったにしても、・・・ヒュンは自分のしたことを・・・きちんと分からないといけない」

言葉を呑むキャラ、だがややあって、
キャラ「そうでしょうか・・、・・・・ピアニッシモさん?」
キャラの瞳にみるみるうちに大粒の涙がこみ上げてくる・・・。

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