今回のおはなし

― 夜空 ―

― 海辺の洞穴・同内 ―

ミュートがいびきをかいて眠っている。ふたつの音叉を大事に持っている。
トッポとボビーが忍び足でミュートの頭の方に回り込んでいる。

トッポとボビー、ふたりで手話。「音叉」「あのこに」「もっていかなくちゃ」

ミュートは大きないびきをかいて寝ている。
忍び足で近づくトッポとボビー。

バット「(寝ぼけて)シュ~クリ~~みゅふふふ。・・・」
一瞬目を開ける。慌てるトッポ。
だがバット、そのまま眠ってしまう。

いっぽう、ボビーがミュートの首から音叉をひとつ外している。

もうひとつ取ろうとするが、ミュートが大きく寝返りを打つ。

ボビーは手をのばして取ろうとするが、トッポが「無理無理 いこう」と止める。

ボビー、後ろめたそうに寝ているサミーを見る。トッポも同様の気持ちだ。

― 洞窟・外 ―

そうっと出てくるトッポたち、音叉を持って逃げ出していく。

― 海辺の洞穴・同内 ―

サミーの枕元に、トッポの書いた紙が残されている。
幼い字で、「にいちゃん ごめんね」と書かれている・・・。

― 枯れ葉の森・それを抜けたところ ―

森を進むキャラとヒュン。
木々も枯れ木ではなく、ふつうのものになっていく。

キャラ「こ・・ここは? ヒュン。もう・・枯れ葉の森を抜けたの?」

木々の間から強烈な陽が差し込む
キャラ「あ!」
と目を覆う。

と、それを感じ取ったヒュンが、ようやく足を止める。
キャラの視界が、光に覆われている。
キャラ「・・・ヒュン?」
その光の中に、ぼわっとヒュンの影が浮かんでくる。と、どこからか聴こえてくるピアノ曲。

キャラ「・・・・! ・・・ピアノ・・・?」
ヒュンの背には、古めかしい、だが由緒ある教会のような建物、音楽堂が立っていたのだ。
ピアノは、まさにその音楽堂の中から聴こえていた。

― ユキゴッホの公園 ―

ユキゴッホが、掃除をしている。
だがその時、キ~ン! 鳴らしもしないのに音叉が音を奏でた。
ユキゴッホ「(!)」

音叉を手に取る。
ユキゴッホ「ご~っほ?」

また、鳴らしもしないのに音叉が音を奏でた。
ユキゴッホ「ご~っほ?」
音叉を見つめ直す。だが、背後でまた音叉が鳴る。

「?」と振り返ると、息せき切って駆けてきたトッポとボビーがいる。彼らが持っている音叉を鳴らしたのだ。
ユキゴッホ「(大喜びで)ごぉ~~~~~っほほほ~~~!」

ユキゴッホ「(大喜びで)ごぉ~~~~~っほ~~~! 無事だったか! ごっほ!」
ユキゴッホに小躍りせんばかりに駆け寄っていくトッポたち・・・。

― 音楽堂・内 ―

木製の分厚い扉を開けるヒュン、キャラ。

誰かが奏でるピアノ曲が、外にあふれ出るかのようにして高まる。
キャラ「(!)」

ヒュンがキャラの手を離し、中に入っていく。

古い教会のように、ステンドグラスが張り巡らされた円形の建物だ。
キャラ「(驚きながら進む)」

こちらに背を向けて立っているアニマルがいる。
だが、ふと、音が止まる。

キャラ「!」
となるが、すぐに、
キャラ「(元気に)こんにちは! わたし、ヒュンのお友達で・・・・(言いかける)」

黒いガッキアニマル「キャラさんね・・・」
キャラ「・・・・!」
黒いガッキアニマル「ヒュンが・・・あなたをここに連れて来るのを・・・今か今かと・・・お待ちしてたのよ」

キャラ「え?」

黒いガッキアニマル「だってそれは・・・ヒュンにとって・・・・あなたが・・特別の存在になった証拠だもの」

キャラ「(照れて)そ・・そんなぁ・・・」

と少し前のほうに立っているヒュンを窺う。だがヒュンが、キャラを見返すことはない。
キャラ「(…)」

キャラ「ひょっとして・・・・、ひょっとしてあなたは・・・ティファンさんですか?」
黒豹、それには直接答えず
黒豹「ティファンなら・・・ここにいるわ」

黒豹が音叉を軽く弾いてみせる。その音叉の音が、心地よく音楽堂に響く。
キャラ「そ、それじゃ・・ティファンさんっていうのは・・・」

黒豹「すくなくとも、・・・わたしとヒュンにとっては・・・」

黒豹「(音叉を見せ)これが、ティファンなの」
また、音叉を鳴らす。

キャラ「(当惑しながらも)きれいな音・・・・」
黒豹「(笑んで)そうでしょう? ・・・ヒュン?」
ヒュン、それには答えず、耳を澄まして音叉の音を聴いている。

黒豹「(ぽつり)ピアニッシモ・・・」

黒豹「・・・ティファンが付けてくれた・・・・わたしの名前」
ゆっくりとキャラたちのほうに体を向ける黒いアニマル。

逆光で見えなった顔がはっきり見える。妖艶だが、やさしい笑みを浮かべている。

キャラ「・・・・ピアニッシモさん・・・・!」
ピアニッシモが叩いた音叉の音色が、音楽堂の三人をやさしく包んでいく・・。

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