今回のおはなし

― 枯れ葉のカーテンのところ ―

古木の前。カタカタとリンゾーの声が聞こえる。
カタカタ「こんにゃろこんにゃろ」
リンゾー「(くすぐったがっって)ぐほ・・ぐほほほ・・」

カタカタはリンゾーをくすぐっている。
リンゾー「ぐほ・・ぐほほほ・・・」
カタカタ「まさかまさか、お前、ガッキアニマルだっての、ヒミツにしとったんか? こら白状せい、青少年!」

リンゾー「ぐほ・・ぐほほほ・・」
カタカタの毛がリンゾーの鼻先に当たっている。
リンゾー「は・・は・・・」

リンゾー「はぁ~っくしょぉ~ん!」
大きくクシャミしたと同時に、リンゾーの鼻がクラリネットになった。

カタカタ「(驚き)ぴぇ~~~? (だがすぐに、愉快に思って)やぁだぁ~~リンゾーちゃんったらぁ~~~! お仲間だったのねぇ~~~?」
リンゾー「(照れまくり)ぶひょぉ~~~ふがふが・・・」

クラリネットを吹くリンゾー。
クラリネットの音には違いないのだが、おかしな音なのだ。
SE「(ひどいクラリネットの音)」
カタカタ「あら? ひょっとして・・・ド音痴?」

― 枯れ葉の森の中(夕方) ―

木々の間から零れる夕陽が美しい。

湧水のところに取り残されたキャラのタブレット。それが、急にピポポ・・と音を出し、
SE「(起動音)」
スリープ状態からデスクトップ画面になる。

タブレットの女性の声「設定された時間内に、一度もタップされませんでした。何かご用件はありませんか。このままユーザーがタップしない場合、お忘れもの機能が自動的に開始されます」

少し間がある。
ふたたびピポロロ・・と作動音が森にこだまし、
タブレットの女性の声「これより、ホントホント剣と情報を共有します・・・」

― キャラたちのところ ―

木に立てかけられているホント剣。その持ち手の輪がボワ~ッと輝いている。

焚き火を囲んでいるキャラとヒュン、それには気づかない。果物を持っているふたり。
キャラ「う~ん、この果物、おいしいね、ヒュン。いくつ食べられるか、競争しよっかぁ!」

無邪気に言って。はっとなる。
キャラ「はっ」

キャラ「ヒュンがそんなことするわけないじゃん・・・ねぇ?」
だがヒュンが、それに反応することはない。

キャラ「ヒュンは・・・誰かと競争しよう・・・なんて。そ~んなこと、いっちども考えたことないんだろうなぁ・・。」

少し間がある。
キャラ「ねぇ、ヒュン・・・」

キャラ「・・・ヒュンは、いつでも。(言いかけていい直し)・・こんなふうに御飯を食べてる時でも、・・・音楽のことを考えてるの? 考えてるっていうよりも、音楽を作り続けているのかな?」

黙っているヒュン。
キャラ「・・・きっと、ヒュンの頭の中で、音楽が聴こえないときなんて。・・・・きっと、ないんだね」

とヒュンが、
ヒュン「(場に浮く声で)音楽が止まる!」
キャラ「え?」
ヒュン「(同様で)怖いねぇ!」
キャラ「ヒュン!」

ヒュン「ティファン、音楽、止まる! ティファン、音楽、止める。怖いねぇ、怖いよ」
キャラ「ヒュン!」
がっと強くヒュンの手を握る。

キャラ「ドラムスコさんから聞いたよ。ティファンっていう人は、おたまじゃくし島に・・早く音楽が戻ってきてほしいって思ってるはずだって」

ヒュン「(遠くを見つめたまま)ティファン・・・」
そのヒュンを見つめるキャラが、やさしい。

キャラ「(頷き)・・・早く会えるといいね。・・そのティファンさんに」
笑みを作って見せようとするキャラ。だが途中でその笑みは固まってしまう。

― 湧水のところ(同・夕) ―

タブレットの画面に、キャラとヒュンの様子が映っている。ピポポロ・・小さく無機質な電子音が響いている。

― 海辺の洞窟の入り口 ―

火を取り囲むようにしてミュート、バット、サミー兄弟が寝ている。
洞窟の中ミュートがいびきをかいている。
ミュートの声「(いびき)」

サミーは起きる。
サミー「くぇ~~、うるっせぇ~なぁもう!」
隣の弟たちを見るが、トッポとボビーは深く眠っている。

サミー「チェ、こいつらはいいよなぁ。・・・いやぁーな音、聴かないでいられて・・・」
大人の女の声「あなたがこの子たちのお兄ちゃんね・・」

― サミーの回想 ―

公園でベソをかいている幼いトッポとボビー。
泣いている男の子の手を引いているママ(大人の女)に、小さいサミーが叱られている。
トッポたちと男の子の間に何かがあったのだ。
大人の女「こんなとこで遊ばせないでよ。耳が聴こえないんだもん、危ないじゃない!」

幼いサミー、何も言い返せず、哀しくうなだれている。それに、
大人の女「何かあったら、あなたの責任ですからね」

大人の女「しっかりしてよ。お兄ちゃんなんでしょ?」
と毒づく声が響く。

― 元の場所 ―

サミーの顔が険しい。

トッポが寝返りを打ち、毛布が腹から落ちる。
サミー、苦笑。
弟たちに毛布を掛け直してやる。

サミーはふたたび目を閉じる。

― 時間経過あって寝ている一同 ―

ミュート・サミー・バット「(いびき)」
焚火が消えている。

トッポが目を開ける。
トッポはサミーを見ると、眠っている。
トッポはボビーを起こす。目を開けるボビー。

いびきをかいているミュートのほうにそうっと寄る。

ミュートは二つの音叉を握ったまま寝ている。
ミュート・サミー・バット「(いびき)」

それを、固唾(かたず)を呑んで見つめるトッポとボビー・・・。

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