今回のおはなし

― ヒュンの作曲イメージ ―

小鳥たちの囀りが木々にこだまし、小さな滝の音が心地よく響く。

その様々な音を聴きとめていく。
ヒュンは、踊るようにして、様々な音符を中空に描きだす。
草原の上でタクトを振っているヒュン。
ヒュンは目を閉じている。

ウルの谷の頂上の風景に変わる。
ヒュンはウルの谷の上で作曲をしている。
谷底から吹き上げる風を受けヒュンは無我夢中で音符を描き続けていく。

― 空 ―

バットが飛んでいる。
バット「みゅは~みゅは~(飛んでいる)」
バットのゴーグルに付けたカメラで、
バット「みゅは~みゅは~(飛んでいる)」

前方に見えるウルの丘を捉えている。
バット「あれみゅ~みゅ~!」

― その下の森 ―

サミーが、スマホ(自作のものなのか、木製だったりする)でバットから送られてくる映像を見ながら追っている。
サミー「(走っている)」
バットの声がスピーカーから漏れて聴こえている。
バット「みっけみゅ~みっけみゅ~!」

サミーの後ろをミュートが追っている。
ミュートは息を切らしている。
ミュート「(息を切らしている)」
サミー「(スマホのマイクに)おお、そうだそうだ。あの丘が風の谷ウルだ。すっげー風が強いらしいからな。気をつけるんだぜ」

空のバット、調子に乗っている。
バット「だいじょみゅ~だいじょみゅ~~!」
谷の方から突風が吹く。
風の中突き進む。
バット「みゅみゅみゅみゅ」

が吹き上げた風に一方に飛ばされる。
バット「みゅはぁ~~~!」
突風に一方に飛ばされる。
バット「みゅはぁ~~~!」

サミー立ち止まり表情は焦っている。
サミー「ば、ばか! だから言っただろ! 羽を畳むんだ! また壊れちまうぞ!」

バット、様々な方向から吹き寄せる風に飛ばされ、右へ飛んだり左に飛んだり、はたまた上へ下へと大騒ぎ。
バット「みゅはぁ~~~~~~~~!」

羽のアップ。
バット「みゅはぁ~~~~~~~~!」
ついに、バキッ! と羽が折れ、ウルの谷へ飛ばされていく。

バット「みゅはぁ~~~~~~~~!」

サミーのスマホの寄り。
サミー「シュ、シュークリームバット!」
画面はノイズに変わる。
サミー「!?」

サミーはだっと追おうとする。
サミー「えいっ(走ろうとする)」
ミュート「うごぉぉぉぉ・・・(へばっている)」
サミー「!?」

サミーが後ろを見ると
ミュートがついにダウンして座り込んでいる。
サミーため息。
サミー「はぁ」
サミーは振り返る。

サミー「ったくもう・・・」

サミー「ほら、おっさん! うまいモンは、もう目の前だぜ!」
ミュートの尻を押し、追い立てる。

― 風の谷ウルの丘 ―

風の谷ウルの丘全景。

そこへ登ってくるキャラたち一行。谷底から風が吹き上げている。
キャラ「(感激で)うわぁ~、風が強いけど気持ちいいとこだねぇ~~!」

カタカタは風に煽られ、右へ左へと飛ばされている。
カタカタ「ひょえ~~~! 何が気持ちいいんだか、おいらにゃたまらね~っての~~~!」
飛ばされるカタカタ。

リンゾーがすかさず虫取り網で捕まえる。
カタカタ「ぶは!(網に捕らえられる)」
風で網が揺れている。網の中でカタカタがもがいている。
カタカタ「もがもが(網の中でもがいている)」

リンゾー「つかまえた~ ははは」
カタカタ「もがもが(網の中でもがいている)」
トッポとボビーが、「ナイスキャッチ!」と身振り手振りではしゃぐ。
キャラ「(トッポたちに)ホントだね! (二人の真似して)ナイスキャッチ~!」

網の中から顔を出しているカタカタ。
カタカタ「あのねぇ、わたしゃ素直に喜べないんですけどぉ」
吹き付ける風に混じって、ヒュンの奏でる音楽が聴こえてくる。
音符が流れてくる。

キャラ「(何かを聴きとめ)あ・・・!」
キャラが振り返ると吹き付ける風に交じって音符が飛んでいる。
キャラにはいくつもの音符が飛んでくるのが見える。
キャラ「あ・・・!」

音符を辿るようにして、音の聴こえるほうへ歩いている。
キャラ・リンゾー「(歩いている)」
カタカタ「そろそろ、おろしてーな」

キャラの視線、岩場の向こうにヒュンの姿を見る。

中空に、夢中で音符を書いているヒュン。

キャラの心の声「(嬉しく)ヒュン!」
カタカタ「お、いたな? あんのヤロー、島のみんなにメッチャ迷惑かけやがって・・・」
カタカタが言いかけるが、

キャラ「シー! (小声で)ドラムスコさんが言ってたでしょ? 汚い音を聴くと、ヒュンが嫌がるって」
カタカタ「はぁ? このわたくしの声が(強調して)汚い! とおっしゃるのでございやすかぁ? はぁ? はぁ? どゆこと?」
と突っ込みをいれる。

キャラはヒュンの音楽を聞いている。カタカタの声は受け流している。
キャラ「(思わずポツリと)・・・風・・・」
カタカタ「はぁ?」

ヒュンの作曲イメージ。

キャラ「なんだか・・・風が・・・何かを運んでくる・・・。ヒュンの音楽が・・・そんなことを・・・言ってる気がする・・」

バットの声が聞こえてくる。
バット「みゅはぁ~みゅはぁ~」
キャラとカタカタが声の方を向く。
キャラ・カタカタ「?」

羽の折れたバットが悲鳴を上げながらガチャガチャ羽を鳴らして飛んでいる。

バット「みゅはぁ~みゅはぁ~」

ヒュンの方へ羽の折れたバットが悲鳴を上げながらガチャガチャ羽を鳴らして飛んでくる。
バット「みゅはぁ~」
バットの手のアップ。羽を動かしている。羽はガチャガチャ鳴っている。
バット「みゅはぁ~」

作曲中のヒュン。ヒュンの表情が険しくなる。
ヒュンには、その「みゅはぁ~」という悲鳴とガチャガチャが必要以上にうるさく聴こえてしまう。
ヒュン「!」
バット「みゅはぁ~」

バットの手のアップ。羽を動かしている。羽はガチャガチャ鳴っている。
バット「みゅはぁ~」
更に表情が険しくなる。ヒュンには、その「みゅはぁ~」という悲鳴とガチャガチャが必要以上にうるさく聴こえてしまう。
ヒュン「うぅっ!」

ヒュンはヒステリックに叫び、耳を塞ぐ。
ヒュン「違う違う違う イヤァ~ッ!」
苛立った指揮者が楽器を止めさせるように、両手をバットに向ける。

バット、中空で金縛りにあったように動けなくなる。
バット「みゅは!」
バット「みゅはぁ・・・(動けない)」
ヒュンがバットに手を向けている。

ヒュンは頭の中でカミナリの音に置き換えている。

ヒュン「(思い詰めたように、また苛立って)・・カミナリ・・・カミナリ以外は大丈夫・・・」

カタカタ「こ、こいつはいったいどないなってんねん?」
キャラ「嫌なんだ・・・・」
カタカタ「はぁ?」
キャラ「ヒュンは、ああやって・・・嫌な音を聴いちゃうと・・(言いかける)」

と、すこし離れたところに、サミーとミュートが現れる(丘を登ってくる)。

キャラ、ミュートに気づく。

キャラ「あっ!(はっとなる)」
キャラ、剣の柄に手をかける。
キャラ「ミュート!」
カタカタ「う、うそぉ~、なんだってサミーがあのモンスターと一緒なのよぉ!」

キャラ、構える。
キャラ「(構える)」
トッポとボビーが後ろから走ってくる。
トッポとボビーが、手を振り、単純に喜んでいる。

キャラ「へっ?」

サミー「(驚き)お、お前たち、こんなとこにいたのか!」

キャラ「(分かって)ええ~? それじゃ、あの人が・・・?」
ボビーが手話で「ボス」と教えている。
キャラは手話を真似る。
キャラ「(手話を真似て)・・お兄ちゃん?」

カタカタ「いんや。きっとボスだって言ってんだろ。あの兄貴、弟たちにそう呼ばせて喜んでやがんのさ」

カタカタの視線。

バットはガチャガチャと壊れた羽を鳴らして、喚く。
バット「みゅはぁ~~~!(助けて)」
ヒュンはゆっくり両腕を上げる。
ヒュン「うぅ・・・」
バット「みゅはぁ~~~!(助けて)」

サミー気づく。
サミ―「!(気づく)」
サミー「ヒュン! バットに何するつもりだ!」

ヒュン「いやな音・・・カミナリの音だけに・・・・・できない!」

ヒュンは前に倒れる。

ヒュン「(うぅぅ・・・)」
バットの金縛りが解ける。
バット「みゅ?」
バットはその場所から離れようとする。
バット「みゅはぁ!」

ヒュン、頭を抱えるようにしてうずくまる。
ヒュン「うぅ・・・」
キャラ「ヒュン!」
カタカタ・リンゾー「あ・・ぁ・・・」

バットはサミー達の元へ飛ぶ。
羽が壊れているのでうまく飛べない。
バット「みゅはぁみゅはぁ」
サミー「バット大丈夫か!?」

谷底から突風。
サミー「うわ!」
バットは空高く飛ばされる。羽が全壊。
バット「みゅはぁぁぁぁぁ」

風が止まり下に降下する。
バット「みゅはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
バットは谷底に落ちていく。
バット「みゅはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

サミーとミュートはバットを追いかける。
サミー「シュークリームバット!」
ミュート「うごぉぉ・・・」
谷底を覗くサミーとミュート。

谷の頂上の画。サミーとミュートは谷底を見ている。
キャラ「ヒュン!」

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