トッポとボビーのハンドトーク レッスン

地面

地面を触って指をさす。

少し揺れてる

両手の手の平を下に向けて、小さく上下に揺らす。

今回のおはなし

― ユキゴッホがいた公園(夕焼け空) ―

噴水のオーナメントの上に、音叉を立てようとしているカタカタ。だが、

ユキゴッホ「ご~っほ・・」
キャラ「カタカタ、もうちょっと右・・」
カタカタ「(うんざりで)はぁ?(少し右に動かす)」
少し離れたところで、キャラとユキゴッホが音叉の位置を指示している。

ユキゴッホ「ごっほごっほ・・」
キャラ「あ、行き過ぎだって・・。もうちょい戻して・・」
カタカタ「(半泣きで)だぁからオレはやりたくねーって言ったんだよ。自分でやれよ自分でぇ・・・」
ユキゴッホ「ご~っほ(いいぞ)」

カタカタ「おっしゃぁ、これでええんやな?」
キャラ「(あくまでも明るく)位置はオッケー。あともう少し、左に向けてって」
カタカタ「ずこー!」
どどっとコケるカタカタ・・・。

すっかり定位置に戻った音叉。
ユキゴッホが、指で弾いて鳴らす。
キーンという心地いい音がする。
隣で覗き込んでいたキャラが、ユキゴッホと顔を合わせ、にっこりする。
リンゾーが、のろのろと近づいてきて、拡大鏡でしげしげと音叉を見だしている。

少し離れたベンチに腰を下ろしているヒュン、尻尾の傷に巻かれた小さな布を見つめている。

それは、少し前にキャラが看病してくれたものだったのだ。

― ヒュンの回想(自閉症特有の描き方で) ―

前回キャラがミュートと戦った場所。
キャラが一生懸命に笑顔で語りかけている。
だがヒュンは、目を合わせることなく、その優しい言葉のほとんどをスル―している。
(視聴者にも聴こえない)
それでも自身が優しく接してもらっていることは、ヒュンには分かっている。

キャラの笑み。
きれいな瞳。
笑う真っ白な歯。
やさしく包帯を結ぶ手(ただしこれらは、ヒュンの見た目ではない)。
キャラのおしゃべりが、しだいにヒュンにも聴こえだし何か心地いい音階となっていく。

そうかと思うと、ふたたび包帯を引き裂く音。
ビリビリ!
それがヒュンには、暴力的で苛立たしく聴こえてしまう。
だが、やさしく自分に向かって語りかけているキャラ。
その映像が乱れ、次第にキャラの顔が分からなくなる。

そしてキャラに代わって現れる顔がある。
それは、ヒュンとよく似た美しい少女の笑顔だ。
その笑顔が、「ヒュン・・」と囁(ささや)いて迫ってくる・・・。
それに、遠くで、
現実のキャラの声「ヒュン? ・・・・ヒュン?」

― もとの場所 ―

キャラがヒュンに声をかけて、隣に座る。

するとヒュン、少女と勘違いをして(ただしキャラには分からない)もたれかかったキャラを抱き寄せた格好になってしまう。

キャラ「・・・・!(びっくり)」
間がある。
以下、ヒュンの声は、抱き寄せているキャラに聴かせるというよりは、少し離れた人を相手に一方的に話している感じで。

ヒュン「音、コクフクするよ!」
キャラ「え? 音を・・・克服?」
ヒュン「克服する」
キャラ「(単純に興味を持ち)音って、なんの音?」
ヒュン「嫌いな音」

キャラ「へぇー、どうやって克服するの?」
ヒュン「カミナリ!」
キャラ「カミナリがどうしたの?」
ヒュン「カミナリ。嫌な音。カミナリ、嫌い。怖いねぇ、怖い。カミナリ」
キャラ「(単純に同意)わたしも好きじゃない」

ヒュン「嫌いな音、カミナリだけにしちゃう」
キャラ「嫌いな音、たくさんあるの?」
ヒュン「たぁくさん」
キャラ「そうなんだね」
ヒュン「カミナリ以外の音は大丈夫。」

と、キャラ、戸惑いながらも、ヒュンが何を伝えようとしているのかが分かった気がする。
キャラ「そうだ! 決めちゃえばいいんだよ! 嫌な音はカミナリだけ。そうすればきっと、それ以外の音は大丈夫になるよ!」
だがヒュン、一瞬何かの違和感を得たように、キャラを離す。

明らかに戸惑いの表情を浮かべ、立ち上がる。

じつは少女とキャラを重ねてしまっていたのだ。

ヒュン「(混乱しながらも、ぽつり)ティファン・・・」
キャラ「え?」
ヒュンを見るが、ヒュンはキャラと目を合わせようとはしない。

ヒュン「五月二十九日・・午後三時十三分四十秒・・・」
キャラ「(前にも聴いたことがあり)・・ヒュン・・・!」
ヒュン「・・・・Gマイナー・・(マイナーなMEまたはSEが重なる)」
と、にわかに風が吹き出す。

ヒュンがまた風の中に消えようとしている。
キャラ「待って! 行かないで、ヒュン!」
だがヒュン、風の中に消えてしまう。

キャラ「(ショック)・・ティファンって・・・」
愕然となるキャラに、キーン・・・、ユキゴッホの鳴らす音叉の音が響く。
キャラ「(半べそで)しょんなぁ。ヒュンったら、誰かいい人と勘違いしてたのかしらぁ?」

と、
カタカタ「(飛んで来て)おーい、キャラ公~。何してんの~?」
キャラ、ヒュンが消えた中空を指さし、
キャラ「(半泣きで)ティファン・・だとか」
カタカタ「(面倒くさく)はぁ?」

キャラ「(恨みがましく)だから、ティファンだとか言ってくれちゃったの」
カタカタ「誰それ?」
キャラ「(怒って)知らないから訊いてるんでしょ!」
カタカタ「(負けずに)わしも知らんわ、そんなきれいな姉ちゃんみたいな名前!」
キャラ「(泣きだし)あ~~~ん、やっぱしきれいな女の人なんだぁ!」

カタカタ「(傷をえぐるように)そりゃぁそうでしょ~(あれこれブス顔を作ってみせ)こーんな顔してたり、こーんな醜かったら、(いい響きを強調して)ティ・・ファン♪ なんつープリティな名前、つけてもらえるわけないやろうが?」
キャラ「ぎゃぁ~~~、シヅレン(失恋)だぁ~~~!」
泣き出すキャラ。

カタカタ「そんなことより、トッポとボビーがなんか騒いでるんよ。ワケわかんねーからもう・・」
キャラをずるずると噴水のほうに引っ張っていく。
キャラ「そんなことってなによそんなことってぇ~」
カタカタ「こっち! もう早く~」

ユキゴッホが音叉を鳴らす。

と、なぜか地面に手を当てているトッポとボビーが、何かを感じ取っている。

キャラ「(覗き込み)・・どうしたのぉ?」
とトッポ、目を開けて、キャラに「地面」「小さく」「揺れてる」と身振り手振りで伝えてくる。
ボビーも、震動にリズムがある、というような手振りをする。

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