土偶の目の形を比べてみよう
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土偶(どぐう)の目のかたちや大きさは、作られた時代や地域によって異なります。遮光器土偶(しゃこうきどぐう)は目が大きいだけでなく、目をつむっているかのような表現が特徴(とくちょう)です。
縄文人の耳かざりとは?
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縄文人は大人とみとめられたら、耳かざり(ピアス)をすることができました。耳に穴をあけるときの痛みをこらえることが、大人になる条件の一つだったと考えられています。
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遮光器土偶(しゃこうきどぐう)以外にも、耳かざりをつけている姿を表した土偶が見つかっています。
どうして、せっかく作ったのにこわしたのだろう
これまで見つかった土偶(どぐう)は、ほとんどが、体のどこかがこわれています。縄文時代は現代よりも健康で長生きするのが難しかったので、病気にかかったり、けがをすると、土偶(どぐう)を身代わりにしてこわし、治るように願ったと考えられています。
縄文人はおしゃれだった!
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縄文時代の遺跡(いせき)から出土したアクセサリーです。ヒスイなどの宝石や、動物のきばや歯などを使って作られています。ヒスイは、手に入れられる場所が限られるため、交易で手に入れていました。動物では、クマ、サメ、イノシシ、オオカミなどの歯がよく使われ、強く丈夫(じょうぶ)な動物の力にあやかろうとしたと考えられています。
土偶はほとんどが女性
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土偶(どぐう)は、女性や妊婦(にんぷ)をかだどったものがたくさん見つかっています。これは、縄文時代の出産は命がけだったので、安産や子孫繁栄(はんえい)を願って作られたと考えられています。また、命を生み出す妊婦(にんぷ)の姿に、作物がたくさんとれるように、という願いをこめたという説もあります。
縄文人の髪(かみ)かざりとは?
縄文人はくしを使って髪型(かみがた)を整えるのではなく、かんざしと同じように髪(かみ)にさして留め、頭をかざっていたようです。赤く見えるのは木の上に塗ったうるしに、ベンガラなどの顔料(がんりょう)を混ぜたからです。うるしをぬることで美しく見える上に、こわれにくくなる効果があったと考えられています。
赤い色のひみつ
縄文人は、ベンガラや朱(しゅ)などを使って土偶や土器を赤くぬりました。赤は血液や火など、生命力を表す重要な色と考えられ、まつりに使う土偶(どぐう)や器を赤くぬったと考えられています。
遮光器土偶(しゃこうきどぐう)は、もともとはこのように全身が赤い色でぬられていました。
文様(もんよう)のひみつ
遮光器土偶は美しい文様(もんよう)が魅力のひとつ。そのひみつを土偶の作り方を研究する一戸さんと見てみましょう。
縄文人は植物の繊維(せんい)をよった縄を転がして美しい文様(もんよう)をつけていました。縄の太さやより方を変えることで無数のデザインを作ることができました。この文様(もんよう)のことを「縄文」と言い、これが「縄文時代」の名前の由来になりました。
内部のひみつ
遮光器土偶の内部には縄文人が指でねん土を押しつけたあとが残っています。
(是川中居遺跡)八戸市埋蔵文化財センター 是川縄文館蔵
青森県での出土品には縄文人の指紋(しもん)が残っていた!
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赤ちゃんの手や足をねん土に押しつけた土製品も見つかっています。
どこで見つかった?
遮光器土偶は青森県つがる市で明治20年(1887年)に見つかりました。農作業をしていた越後谷昭三さんのひいおじいさんが偶然(ぐうぜん)見つけましたが、見つけたときは泥(どろ)だらけで、土偶にはもっと赤い色が残っていたそうです。
この地域では、昔から土の中からたくさんの土器が見つかりました。「かめ」と呼ばれる土器が大量に見つかることから、地名も「亀ヶ岡(かめがおか)」になったほどです。
この地域のことは、昔から土器や土偶(どぐう)の収集家の間では有名で、江戸時代には藩士(はんし)がこの地の土偶(どぐう)を品評会に出した、という記録も残っています。
何のために作られた?
土偶は「祈(いの)りの道具」として作られたと考えられています。何を祈(いの)っていたのかについては、はっきりとは分かっていませんが、代表的な説を紹介します。
“病気やけがの身代わり”説
見つかった土偶(どぐう)のほとんどはこわれていて、意図的にこわされているものもあります。身代わりにこわすことで、病気やけがが治ることを願ったのかも知れません。
“安産祈願(あんざんきがん)”説
土偶(どぐう)のほとんどは女性をかたどったもの。妊婦(にんぷ)の姿をしたものも多いことから安産や子孫繁栄(しそんはんえい)を願ったもの、という説があります。また、命を生み出す妊婦(にんぷ)の姿に、木の実や魚などがたくさんとれるように、という願いをこめた、とも考えられています。
どうやって作った?
陶芸家の一戸広臣さんは、土偶に魅(み)せられて40年以上、土偶(どぐう)を作ってきました。一戸さんに遮光器土偶(しゃこうきどぐう)の作り方を教えてもらいましょう。
(作り方は一戸さんの考えに基づいたものです。)
よくこねたねん土をひも状に細長くする。
ひも状のねん土を輪のかたちで積み上げる。
親指のはらを使ってねん土ひもをくっつける。
ねん土が完全に乾(かわ)く前に顔や文様(もんよう)をつける。
しっかりと乾(か)わかしたら、焼いて完成!
大きさや重さは?
遮光器土偶(しゃこうきどぐう)の大きさは34.2㎝。重さは1440g。500㎖のペットボトル3本分くらいの重さです。遮光器土偶(しゃこうきどぐう)は中が空洞(くうどう)だから、意外と軽くできています。