2020年4月。コロナ禍の中、一人2台の端末でオンライン遠隔授業(学年58名)が始まった。6年社会科が公民分野から始まるカリキュラム編成になり、新学期早々、子どもたちに馴染みの薄い政治・公民分野に興味・関心をもってもらうための教材選定に苦心した。そこで思いついたのが、新番組『社会にドキリ』の活用。対面でもオンラインでも良質な映像は子どもたちの主権者感覚を刺激すると考えた。子どもたちは1台でNHK for Schoolウェブサイトを視聴し、もう1台を記録用デジタルノートとして活用するスタイルである。
日本国憲法から三大義務の「納税の義務」の学習にさしかかった頃、日本国内の量販店からマスクが消え、高額転売や政府(厚生労働省)が日本全戸に2枚ずつ配給予定だったマスクが行き渡らないことが社会問題となっていた。マスク配給にかかる費用が当初466億円とメディアに報じられると、政府に対する世論が益々厳しくなった。その理由は、この費用は国民の税金で賄われているからだと知るも、税金は大人が払うものだから自分にはさほど関係ないことだという様子。しかし、消費税など直接的は払っているものがあることを再認識する。「私たちの税金はどれくらいあって、何に使われているのだろうか?」これを学習問題に据えて調べていくことにした。
遠隔授業による『社会にドキリ』の一斉視聴では「税金は自分のためだけじゃなくて、ほかの人の権利を守るためにもあるんだ」「一人はみんなのために、みんなは一人のために」の考えのもとに成り立っていることに気づき、探究心を高めた。
それから個人で調べる時間を設け、教科書や資料集の他に、教師が配布したNHK for Schoolの「プレイリスト番号」を入力して個人で動画クリップを視聴してもよいことにした。
その後WEB会議システムで、まず4名グループで交流し、最後は全体で交流して、本時の学習問題について調べたこと、思ったこと、疑問に感じたことなどを交流・共有した。
「年間100兆円も税金を集めているなんてビックリ」「防衛費が多過ぎる」「地方交付金って何ですか?」などと活発な意見が出された。導入時の『社会にドキリ』の一斉視聴が共通資料であるからこそ、解決心に火がつき、熱心な交流が展開されたことがうかがえる。