第16弾
パラカヌー × 君と漕ぐ
テーマ曲・音羽-otoha-さんインタビュー
「ifのマーメイド」は、パラレルワールドの人魚姫
今回のミュージックビデオ(MV)は水やグリーンバック(映像合成用の背景)を使った撮影でしたが、いかがでしたか。
音羽:自分の過去のMV撮影で水はかぶり慣れているし、つかり慣れてもいますが(笑)、グリーンバックのMV撮影は初めてだったので、どんなふうに仕上がるのかがすごく楽しみです。
アニメの中でも出てくる「逆さ富士」ともリンクする、水の反射を使ったシーンもありましたね。
音羽:そうですね。その場の新しいアイデアで急きょ撮影することになって。すごくアニメとも合ってるし、これは絶対やるべき表現だったと思います。
パラカヌーのアニメのテーマ曲を制作していただきましたが、どういうところから発想をふくらませましたか。
音羽:パラカヌーについて調べているときに、選手たちがパドルをこいで自由に水上を泳いでいる姿が、まるで人魚たちが泳いでいるかのように見えて。その自由な姿から「人魚姫」を連想した感じですね。
「人魚姫」からは何をイメージされたのですか。
音羽:「人魚姫」っていろんなストーリーがあると思いますが、原作の童話の物語の最後は、泡になって消えてしまうというすごく悲しい結末なんです。けれど、「そんなの悔しいじゃないか」と思ってしまって。もしもこの世界に力強く勇敢な人魚姫が存在していたら、きっと悲しい結末のままでは終わらないだろうし、もっと新しい、自由な物語が始まっていくのかもしれないな、と。「ifのマーメイド」というタイトルは、「if」の世界、つまりパラレルワールドの人魚姫の物語であるということが由来になっています。
「こういう悲しい結末にはならないだろう」と、ポジティブな曲にしようと思ったきっかけは。
音羽:もちろん瀬立モニカ選手の存在ですね。瀬立モニカ選手のことを調べれば調べるほど本当に好きになっていって。どこまでも前向きで、強く美しく生きてらっしゃる方だなと思いました。
ご自身の配信のなかでも「SNSでフォローしたら、フォローを返してくださった」というエピソードを紹介してましたね。
音羽:はい。もはやただのファンなので(笑)。大好きです!
曲の、サビのフレーズがすごく印象的ですが、歌詞に込めた思いというのは?
音羽:人って、生きていたら不条理なことや困難に負けてしまいそうになる瞬間ってけっこうあると思うんですけど、決められた運命だからと思い込んで生きるのってすごく悔しいなと思って。たとえ困難やバリアがあったとしても、「今から自分自身の自由な物語を新たに描いていくんだ」という、そんな強い思いが詰まっています。
アニメでもそのフレーズから始まりますね。実際、アニメでご自身の曲が流れた感想は?
音羽:すごくいいところで流してくださっているなぁと。基本的に自分の曲には自信がないタイプなんですが、カヌーをされている方々の物語と一緒に観ることによって、初めて「いい曲だなぁ」と思えるようになりました。
この曲を聴いた方に、どういったことを感じてもらいたいですか。
音羽:もし、今この曲を聴いてくださった方が何か困難に立ち向かっている時なら、決められた運命だとあきらめて欲しくない。運命は書き換えられるものだという希望を感じてもらいたいし、自由で幸せな物語を紡いでいって欲しいなと思います。
『アニ×パラ』が目指している共生社会の実現についてはどう考えますか?
音羽:バリアのある方たちにとって、不安なく、心から安心して過ごせる世の中になればいいなと思います。大切なのは周りの理解を深めることだと思うので、自分のような音楽をやっている人間が表現の力で関心を引くことができれば、誰もがより生きやすい未来を築くことに少しでも貢献できるのではないかと思っています。
パラカヌーについて知ってくださる方も増えたらいいですね。
音羽:そうですね。自分が関わることによって、一人でも多くの人にパラカヌーの魅力を伝えることができれば幸いです。
最後に、パリのパラリンピック出場を目指す瀬立選手にメッセージを。
音羽:後ろには退がれないカヌーのように、どんどん前へ前へ突き進んでいってください。応援してます!