第13弾

パラアルペンスキー × 江口寿史

岡野都役・名塚佳織さんインタビュー

“前に進んでいこうとするパワーを表現できれば”

収録を終えた感想をお聞かせください。

名塚 すごく楽しかったです。松本まりかさん(南川桃 役)とは初めてお会いしましたが、やわらかくて、すごくかわいらしい声で、桃の怖いけど挑戦してみたい気持ちや、まだ幼くて無邪気な部分もあり、ころころ表情が変わるんですが、そこをすごく魅力的に演じられていてさすがだと思いました。ほかのキャストの方とも一緒に収録ができたので、皆さんと一緒に作品の空気を作り上げることができました。やはり“作品はみんなで作るもの”なので、全員で集中して収録できてよかったです。

今回、岡野都という役をどのように演じようと思いましたか?

名塚 障害があると思ったように体が動かないので、そこに“恐怖”があると余計に難しいのかなという印象を受けました。自分の体が、全部自分のものではない感覚を少し取り入れつつも、逆に肝は五体満足の人より据わっているのかなと。足でしっかりふんばれない分、お腹の中心により力が入るというか、足でふんばる芝居というよりは腹でふんばることをイメージしてやらせていただきました。
また、主人公の桃からすると、先輩選手という形なので、彼女が背中を追いかけたくなる女性になれたらいいなと思いました。岡野選手自体も、いろんな葛藤や恐怖と闘いながら日々トレーニングをしていますが、“後ろを向かずに前に進んでいこうとするパワー”みたいなものが、声のお芝居からも見せられたらいいなと思い演じました。特に意識したのは、「新しい世界がある」というシーンです。しっかり自分の中で理由があって、「だから滑ることをやめない」という、あのセリフはとても好きですね。

それは台本を読んでいるとき思うのですか。

名塚 台本を最初に読んだときに思いますね。私はいつも作品に携わらせていただくときに、大事にしたいセリフ、役の人物の目的を1つだけに絞ることにしています。もちろん全部のセリフにいろんな思いがありますが、特にお客さまにくみ取っていただきたいものは1つに絞っています。今回は「新しい世界」ですね。そこをしっかり聞いてもらいたいなと思っています。

5分という短いアニメでセリフが多くはないですが、少ない中で苦労したこと、工夫したことはありますか。

名塚 桃より先輩に見えるようにすることと、彼女が憧れるような存在であるというところは大切にしなくてはいけないなと思いました。少ないセリフの中ですごく難しかったですが、彼女との会話の中で“強さ”と“優しさ”みたいなものを両立させたいなと思っていて、強くて怖い感じになっちゃうと「岡野選手みたいにはなれない」って思われてしまう可能性があるので、優しさも少し入れつつ、「みんなそうなんだよ」と。「みんな恐怖がある。私もある」という部分を優しく表現しました。

岡野都と共通する部分はありますか。

名塚 彼女ほど強くないですけど、前向きなところは似ているのかなと。私も怖がりですが、挑戦するのはわりと嫌いではなく、自分をあえてそういう場に投げ入れて闘ってみたいと思うタイプなので、チャレンジ精神が強いところ、旺盛なところは似ているかもしれません。

今回のテーマのアルペンスキーというのはご存じでしたか。

名塚 知っていました。そんなに多くはないですが拝見したこともあります。時速100キロのスピードはすごいですよね。ただ、スピードって画面越しだと分かりにくかったりするじゃないですか。だから今回、台本を読んですごいスピードが出ていることを知って、生で見てみたいなと思いましたね。

最後に「アニ×パラ」の取り組みついて感じ取ったことを教えてください。

名塚 本当に力強さがすごくある作品だなと思いました。誰しもがいろんな壁にぶつかって本当に大変な思いをされて生きていると思いますが、それを乗り越えていこうという力や、生きようとする力がとても強く、普通のアニメーションとはまた違う希望ある作品になっているとすごく感じました。「アニ×パラ」を見ていただいて、いろんな方の力になれたらうれしいですし、私自身もこれからもっともっと応援していきたいなと思いました。

本日はありがとうございました。