第9弾

ボッチャ × ひうらさとる

テーマ曲・阿部真央さんインタビュー

“輝き続けること”が誰かの希望になる

撮影で実際にボッチャを体験してみていかがでしたか。

阿部 難しかったです。「ジャックボール(白い球)にいちばん“寄り添う”ことができたら勝ち」っていうルール、すごく独特ですよね。球を投げることは出来るけど、コントロールが全然出来ないんですよ。やはりコツというか、センスが必要なんだなと思いました。
でも、自分の投げた球がジャックにすごく近づいたときはうれしいし、相手が投げた球がどの位置に行くかを見て、笑いが起きたり、どんな方でもアットホームに楽しめる競技だなと思います。「楽しいよ!」と聞いていましたが、やってみてより魅力にハマりました。次にやるときは、「ジャックボールの上に球を乗せて勝つ技」を目指したいです!

アニメの中で球を投げた結衣(CV:花澤香菜)の「トスッとはまる感じ!」というセリフがありましたが、実際に球を投げた感覚はどうでしたか。

阿部 球が手におさまる感覚はあったのですが、私では「トスッとはまる感じ!」をうまく体現することができませんでした。一緒にボッチャをプレーをしてくださった日本ボッチャ協会の新井大基さんが投げた球は、きれいにジャックの近くにおさまっていて、「トスっ」と感じられたのですけれども。ボールって普通はハジくから、ボッチャのように球と球が吸いつく競技ってあまりないですよね。だから、言い方があっているのかわからないけど…「かわいい!」って思いました。勝敗をつけるゲームなので、必ず反発が起こり決着がつくのですけれども、投げられたポヨポヨした球同士がつながる感じが“かわいい”なって(笑)。

「的球(まとだま)は動く」というのがテーマ曲「READY GO」のキーワードにもなっていますが、どのように感じられましたか?

阿部 的球が動くのは「人生みたいな感じ」ですね、生きているのと似てるっていうか。スタートして終わるっていうことだけしか決まってないんですよね。相手にポンッて的球を飛ばされたことによって自分もそっちへ向かうことがあれば、自分で的球を動かして目標を変えることもできる。リモートで指導をしてくださった廣瀬隆喜選手(リオ大会銀メダリスト)が「最後の一球を投げないっていう手もありますよ」と教えてくださったように、球を投げないっていう選択肢もある。進むことも、あえてやめることも大事なことで、それらを流動的ではあるのですが自分で決められるというのは、すごく“生きる”っていうことと似てると感じました。

ボッチャの魅力をひと言で表すと何でしょうか。

阿部 楽しい!(笑)。すごくシンプルで、小難しいことは言わない競技なので。私は「楽しい」という言葉にはいろんなハードルがあると思っているので、あまり簡単に「楽しいですよ! やってみますか?」って人にオススメできるタイプじゃないんですよ。でも、本当に「楽しい!」って思えないと言わないし、あまり思うこともないので…。ボッチャは本当に楽しかったです!(笑)

パラリンピックに向けて日々努力している選手の皆さんにエールをお願いします。

阿部 2020年はいろいろなことが(コロナウイルスで)シフトチェンジした年だったと思います。そんな中で、以前とは形が変わったとしても「輝くことをやめない」というのは、すごく希望があることだと思うんです。だから、選手の皆さんがリモートでの練習になっても努力して、「必ず来るであろう次の大会に向けて頑張るんだ」って燃えてくれていることが誰かの希望であり、私も、形を変えたとしても「音楽をやり続ける」ことが誰かの希望になっていると思っています。
だから私が送れるエールは、「そのまま輝いてくれていて、ありがとうございます!」ということと、「自分がやりたい、やるべきだなって感じたことはぜひ続けてください!」ということです。それこそが“多様化”への一歩だと思うので。

テーマ曲「READY GO」でも、個が個として輝いて、その輝きを認めあうことで初めて“多様化”という現象が起きるのだというメッセージを込めました。まだまだ“多様化”を受け入れるまでは時間がかかるかもしれないけれど、それぞれの輝きが強くなれば「いろんなものを認めて受け入れる世界」に必ずたどり着けると思います。そのためには、先ほども言ったように、自分たちがどうあるべきかを選ばないといけないので、選手の皆さんには「輝き続けてくださって、ありがとうございます!」という気持ちですし、私も頑張ります。

本日はありがとうございました。