2016年01月15日 (金)先生をどう育てる?


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 学校の先生の若返りが進んでいる中で、先生をどう育てるのかが大きな課題になっています。文部科学省の中教審・中央教育審議会は、自ら学ぶ姿勢を持ち続ける先生を育てようという提言をまとめました。

■ 先生をとりまく環境は

 第2次ベビーブーム世代の教育のため大量に採用された先生たちが定年の時期を迎えていることで、全国的に急速な若返りが進んでいます。このため、管理職になる先生の不足が起き、これまで当たり前に行われてきた先輩が後輩の面倒をみるという教育内容や指導方法の伝承が難しくなってきています。一方、授業ではアクティブ・ラーニングという課題解決型の学習方法の導入が進められていて、力量の向上も問われます。中教審は、これらの課題に対応するための提言をまとめ、12月21日に馳文部科学大臣に提出しました。

■ 提言の柱は

 「教員養成」、「教員採用」、「教員研修」、これら3つの段階ごとの改革とそうした段階をつなぐ改革の4点に集約されます。具体的には、①「教員養成」の改革としては「学校インターンシップ」の導入を、②「教員採用」の改革としては都道府県ごとに作成してきた採用試験問題を国が作ることを、③「教員研修」の改革としては校内研修を充実させるため指導的教員(メンター)の配置を、④養成に取り組む大学、現場の学校、採用・研修を担う教育委員会をつなぐ協議機関として「教員育成協議会」をつくり、どんな先生を育てたいのか「教員育成指標」を設けることなどを求めています。

■ 「学校インターンシップ」とは

 これまでの教育実習に加えて、大学1年に入った時点から就業体験として行うものです。教育実習は教員免許状をとるための条件として、多くは4年生の春に4週間(高校の場合は2週間)程度行いますが、期間が短いこともあり、教科指導に偏りがちで、部活や事務などの実務を経験する機会に乏しいことが指摘されてきました。そこで先生をめざす学生に長期間にわたって学校に定期的に通い、子どもたちの遊び相手や先生の授業の補助、部活指導の手伝いなどを経験してもらおうというものです。就業体験を重ねることで、先生という職を選ぶことが本当に自分に合っているのかを考えてもらおうというのです。大学の判断によっては単位として認めたり、教育実習の一部に繰り入れたりすることもできるようにするとしています。ただ、多忙化が叫ばれている中、現場の受け入れ校や指導教員の負担が重くなり過ぎることはないのか、その点が大きな課題です。

■ 教員採用試験問題の作成は

 これまでは都道府県ごとに行ってきましたが、国が肩代わりする形で共通問題を作成できないか検討するとしています。問題の作成に人手をとられ、肝心な人物評価や選考に手が回らず、先生の質の低下を招いているのではないかとの批判を受けてのことです。都道府県の負担を軽くすることにはなっても、一方で、国が一律に問題を作ることで、地域ごとの教育課題にきめ細かく対応できなくなりはしないかという意見もあり、慎重な議論が必要です。

■ 指導的教員とは

 もっぱら後輩の指導に当たり、チームとしてまとまりのある校内研修を担うメンターと呼ばれる先生のことです。退職したベテランの先生を再雇用したり、将来の管理職候補とみられる中間層の先生の中から選んだりして配置を進め、若手教員育成の役回りを果たしてもらおうというものです。一部の自治体では新人の先生に担当の指導教員をつけてマンツーマンの指導をしている例もあり、そうした経験を全国に広げようというという意図があります。これについても、多忙化で現場の先生には後輩の指導をする余裕がなくなっている現実があり、どうやって指導的教員を確保するのか、人件費ともからんできますので、制度化と予算の確保が頭の痛い課題です。

■ 「教員育成協議会」「教員育成指標」とは

 国が都道府県の教育委員会に対して必ず設けることを求めるものです。「教員育成協議会」には、教育委員会のほか教員養成に取り組む大学、先生を受け入れる幼稚園から高校までの学校の代表に参加してもらい、これまでバラバラに行われてきた養成、採用、研修を一体的に行おうというものです。国が「教員育成指標」のもととなる大まかな方針、つまりどんな先生になってほしいのか、めざすべき方向性を示し、これに基づいて新たに設けられる育成協議会で都道府県ごとの育成指標をつくるとしています。研修を重ねた先生がより高度な免許状がとれるようにするなど教員生活を通じて「学び続ける先生」になってもらうこともめざしています。これに対しては、国が型にはまった先生像を示すことになり、学校現場が窮屈になりはしないかとか、先生が自分のことだけ考え、子どもの現実よりも自分の勉強にかかりきりになってしまったりしないかと心配する声があがっています。
 いずれにしても、これらの具体的な実施までには、法律の改正と予算の確保が必要になってきます。拙速に進めて現場に混乱をもたらすことのないよう、先生の多忙化解消を同時に考えながら、さらに議論を重ねてほしいと思います。

 

hayakawa.jpg 早川信夫(はやかわのぶお) 

1953年福島県生まれ。教育・文化担当の解説委員。

臨時教育審議会以来、20数年にわたり教育一筋に取材を担当。解説番組 時論公論 や おはよう日本「ここに注目!」、「暮らし◇(きらり)解説」などの番組で、教育問題のエキスパートとして活躍中。関西地方向けの番組 学校再発見バラエティーあほやねん すきやねん にも出演、“のぶにぃ”の愛称で若者に人気上昇中。

 

投稿者:解説委員 | 投稿時間:11:20

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