2015年10月23日 (金)深夜に出歩きたいのはなぜ?


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 この夏休み、大阪・寝屋川市の中学校1年生の男女生徒が、相次いで遺体で見つかる事件が起きました。今回は、私が出演している番組 学校再発見バラエティー あほやねん すきやねん (近畿圏のみ・ 総合  土曜日 午前10:50~午後0:00)が中高生を対象に行ったアンケート調査を手がかりに、この問題について考えます。
 
■ 子どもの声に耳を傾けて
 
 寝屋川の事件で亡くなった2人は、明け方近くまで駅前の商店街を歩いている姿が防犯カメラに映っていました。子どもたちだけで夜明かししていたことにとまどった方も多いのではないでしょうか。警察庁の統計では、深夜に町をうろついていて補導された少年は、去年(平成26年)1年間では43万人近くにのぼっています。深夜出歩くことについて、子どもたち自身がどう思っているのかを知りたいと、夏休みが明けた9月に大阪の中学校、高校を通じて調査をお願いし、4校の生徒合わせて1808人に回答をもらいました。
 
■ 深夜に出歩きたいかどうか
 
 「あなたは夜中に『家にいたくない』『友達と朝まで家以外の場所で一緒にいたい』と思ったことがありますか?」と尋ねました。すると、全体の29%にあたる中高生が「はい」と答えました。回答したのが学校を休んでいるわけではない生徒たちであることを考えると、これだけの割合にのぼることは、私はそれなりに多く、重みをもって受け止める必要があると思います。
 どんな時にそうした気持ちになるのか、「はい」と答えた生徒に自由記述で書いてもらいました。親子関係をあげた回答が最も多く、友人関係をあげる生徒もいました。
 親子関係をあげた中には「親同士がもめていて、家の中で居場所がないと思う時」(高2女子)、「親とケンカとかして、帰ってくんなみたいなオーラを出された時。そんなオーラ出してへんかもしらんけどそう感じる」(高2女子)、「お母さんとケンカした時とか、言いたい思いが言えない時とか」(中1女子)という答えがありました。家に居場所がないと感じた時、それを言葉に出せない時に夜の町に出たくなるということなのでしょうか。
 友人関係を上げた子からは「友達と親の前で話せないような話で盛り上がってしまった時」(高校生)とか、「学校とかで嫌なことがあった時。母に心配させたくないので」(中1女子)という回答がありました。友人と心ゆくまで話し込みたい、友人関係の悩みから自分を孤独に感じたりしていて心に空白ができている、といった時に出歩きたくなるのかもしれません。
 それだけに、子どもたちは心の居場所を埋めてくれる存在に引き込まれやすく、犯罪に巻き込まれやすいことがうかがえます。
 
■ 大人は何ができるのか
 
 その一つは子どもたちの声を受け止めることであり、もう一つは不審な人物から逃れるすべを伝えることではないでしょうか。二律背反にも思えることではありますが、子どもの命を守るためには、いずれも必要なことではないでしょうか。
 今回は、このうち子どもたちが自分で身を守る方法のヒントを紹介します。
 
■「逃げろ」と伝えるのはつらいけれど
 
 そうした活動に取り組んでいるのが西宮のNPO法人CAPセンター・JAPANです。声をかけられて「変だな」「嫌だな」と感じたときの危険回避のポイントとして4点あげています。
 
① 声をかけられても、おかしいと感じたら答えなくていい。
 子どもたちは「大人から話しかけられたら、答えなくてはいけない」と思っているかもしれないけれど、「嫌だな」と感じたら話さなくてもよいと伝えておこうというのです。
② 知らない人と話さなくてはいけないときは、手をつかまれない距離を保つ。
 相手が手を伸ばしてもつかまれない距離、相手と自分の手を伸ばしたぐらいの間隔をとって話を聞くようにする。この距離を保っておけば、相手がつかもうとしてもとっさに逃げられるのだと言います。
③「変だな」「嫌だな」と感じたら話の途中でも話すのをやめ、その場を離れる。
 たとえ話の途中であったとしても、「知らない人と話してはダメと言われています」などと話を打ち切って、その場を離れてもいいと教えておくことが大事なのだと言います。
④ 安心できる場所まで走って逃げる。
 安心できる場所とはどこか、あらかじめ確認しておくことが必要で、避難場所としてはコンビニエンスストアや公共施設、「こども110番の家」などが考えられるということです。
 
■ 深夜だけが危ないわけではない
 
 寝屋川の事件では、夜が明けて以降に事件に巻き込まれています。そう考えますと、夜の時間帯ばかりに子どもが連れ去られる危険があるわけではありません。警察庁の調べによりますと、子どもの連れ去り事件の83%が日中の時間帯に起きていて、しかも74%が自宅から1キロ未満で起きています。そうした意味からも、日頃から心構えをしておくことはたしかに有効だし、学校で折にふれて子どもたちに話をしておくことは必要なことではないでしょうか。
 
 次回は、町中で、子どもたちにどう声をかけたらよいのかを考えます。
 
hayakawa.jpg  早川信夫(はやかわのぶお) 
 
1953年福島県生まれ。教育・文化担当の解説委員。
 臨時教育審議会以来、20数年にわたり教育一筋に取材を担当。解説番組 時論公論 や おはよう日本「ここに注目!」、「暮らし◇(きらり)解説」などの番組で、教育問題のエキスパートとして活躍中。関西地方向けの番組  学校再発見バラエティーあほやねん すきやねん にも出演、“のぶにぃ”の愛称で若者に人気上昇中。
 
 

投稿者:解説委員 | 投稿時間:11:00

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