2016年01月07日 (木)オン・マイ・ウェイ!「動物と生きるためには?」 授業リポート


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オン・マイ・ウェイ! は、いろいろな困難に立ち向かう挑戦者たちが、人生の途中でなにを考え、どう行動したかを追うドキュメンタリー番組です。2015年12月11日(金)、神奈川県横浜市立東汲沢小学校6年2組で、オン・マイ・ウェイ!「動物と生きるためには?」 を使った道徳の授業が行われました。

★ 野生動物と人間の生活、どちらを守る?

授業が始まると、担任の吉田圭一先生は子どもたちに、野生動物というと何を思い浮かべるか尋ねました。「くま」「さる」「チーター」。そのイメージは「凶暴」「暴れる」「かっこいい」・・・。そして家でペットを飼っている人を聞くと、ほとんどの子が手をあげました。
先生は「今日は、野生動物について考えてもらいます」と言って番組を流しました。

===【 オン・マイ・ウェイ!「動物と生きるためには?」 あらすじ】===

今回の主人公は、北海道の獣医師・森田正治さんです。住民によって運び込まれる、傷ついた野生動物を助けています。中でも最近多く運びこまれるのが、エゾシカです。今、北海道ではエゾシカが増えすぎて、農業被害が相次いでいます。その額は北海道全体で45億円以上。そこで農家の人たちは、エゾシカの駆除に乗り出しました。
森田さんは、農家の人から「なぜ、シカを助けるのか」と言われ、悩みます。動物の命と、自分たち人間の生活。どちらを優先すべきなのでしょうか。

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先生は黒板に、番組のテーマである〈動物といっしょに生きていくためにはどうしたらいいんだろう?〉と書いた紙をはりました。
ある男の子は、「動物と生きていくには、動物と真っ正面から向き合うことが大事だと思いました」と発言し、多くの子がうなずきました。

ここでみんなで、登場人物の行動を振り返りながら、意見を出していきました。
まず森田さん。けがをして運び込まれた野生動物を助け続け、その数は2000頭以上になります。「ペット以外の野生の動物も無償で助けて、偉いと思いました」「動物の命か、人の生活か、どっちを優先するか迷っていて、すごく共感しました」と、次々に肯定的な意見が出されます。

一方で野生動物は、深刻な農業被害をもたらしています
農家の人について子どもたちは、「自分たちが育てた作物を、エゾシカに食べられてしまう」「電気柵を巻いたりしても乗り越えてくるから、ハンターに駆除してもらっている」と、事実関係をあげていきました。“駆除”という言葉は少し難しいため、すぐ辞書をひいてその意味を調べていました。
先生がエゾシカを始末することについてどう思うか尋ねると、「エゾシカがかわいそう」「でも、ハンターも農家の人も好きでやっているわけじゃない」「農家の人は、自分や従業員の生活もかかっているからしかたなくやっているんだよ」という意見があげられました。

★ 自分が森田さんだったら、どうするだろう?

先生は子どもたちに、ワークシートに〈もしも自分が森田さんだったら、農家の人の批判を受けても野生動物を助け続けますか〉という問いの答えと理由を書くように言いました。
そして黒板に、横一本の線を書き、左端に【つづける】、右端に【やめる】と記しました。自分がどちらの立場に近いか、またその度合いを示すためです。ワークシートを書き終えた子から、自分の考えに近い位置に名前のマグネットを貼っていきます。すると・・・全員がマグネットを、中心より【つづける】側に貼っていました。  

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先生は、一番【つづける】の度合いが強い子、つまり最も左端に名前を貼った子どもたちにその理由を聞いていきました。
「動物の命も、人間と同じ価値がある。だからぼくが森田さんだったらエゾシカを助けます」
「命は1回奪われるともとに戻らない。だから助け続けるべきです!」。

【つづける】側ではあっても比較的【やめる】に近いところにマグネットを貼った子からは、
「エゾシカを助けないという判断はしません。どうしてもだめだったら、助ける命を減らします」
「農家の人は生活がかかっているから駆除してもしかたないけど、森田さんは事故にあった動物を助けているんだからいいと思う。だからぼくが森田さんだったら助け続けます」といった意見があげられました。

ここで先生は、森田さんの活動が一部の人から批判されたことにふれ、「それでも助け続ける?」と念を押すと、子どもたちは力強く「助け続ける!」と答えました。

意見交換が終わったところで、最初に出た番組のテーマ〈動物といっしょに生きていくためにはどうしたらいいんだろう?〉にもう一度戻って、考えをワークシートに書きました。
ある男の子は「ぼくは今日の授業で、人間は自分が助かればいいから犠牲はしょうがないと思ってはいけないと感じました」と、自分の意見を発表しました。

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最後に先生は「今日は、みんなで野生動物と人とのかかわり方について真剣に考えたね。先生からは、農家の人たちは、仕方なく野生動物を駆除しているんだと改めて言っておきます。そうして作物を育ててくれている中で、ぼくたちは生きているんだよ」と語りかけ、授業は終わりました。

★ 授業を終えた吉田先生にお話を聞きました。

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――自分が森田さんだったら、野生動物を助け続けるか考えたとき、全員が名前のマグネットを「つづける」の側に貼りましたね。

そうですね。もう少し意見が分かれるかと思ったのですが・・・(笑)。本校の子の多くが比較的街に近い地域に住む家庭の子なので、農家の人の言っていることはわかるけど、気持ちはピンとこなかったかもしれません。
森田さんに共感する子が多いのは、ある程度予想していました。「続ける」派と「やめる」派で議論させるには、こちらで子どもたちを半分に割り振ってその立場で考えてみるといったやり方もありました。でもやっぱり、子どもたち自身が番組を見て感じた気持ちをスタート地点にしたいと思いました。

ワークシートを見ると、森田さんの気持ちも農家の人の気持ちもわかるから、決められないという子もいました。はじめそれを見て、どっちか決められなくて逃げているのかなと思ったのですが、そういう子は両方の立場に共感できているんだと気づきました。それはそれでとても大事なことだと思います。
大人でも解決できない難しい問題。解決策を出すよりも、課題について友達と真剣にいろいろ考えることができたことが、よかったと思っています。

――子どもたちが オン・マイ・ウェイ!を、とても真剣に見ていた様子が印象的でした。いつもそうなのですか?

はい。オン・マイ・ウェイ!を見るのは3回目ですが、いつも集中して見ています。miwaさんの語りも好きなようです。
この番組は、登場人物の一瞬一瞬の表情がすばらしいですね。出演しているのが実際にその活動をした人なので、説得力があります。これは映像教材ならではのよさだと思います。
番組が10分間なので、45分授業の残りの35分間をどう展開させ、道徳として落とし込むか、いつもすごく悩みます。でも、それこそが授業者として一番楽しいところです。

みんなでオン・マイ・ウェイ!を見て、いろいろなことを感じる。こうした時間を重ねることで、クラスが少しずつ変わってきていると実感しています。ただ子どもたちはそれを意識しているわけではないので、ぼくのほうから「これって、あの道徳の授業とつながっているんじゃない?」と投げかけるようにしています。
これから道徳が特別な教科となりますが、この授業のスタイルは変えないでいきたいなと思っています。これからも番組を見て子どもたちと一緒にいろいろ考えていきたいです。

  

オン・マイ・ウェイ!
< Eテレ (金)午前 9:50~10:00 >
番組ホームページ では、「動物と生きるためには?」を含め、これまで放送した回をすべて丸ごと見ることができます。

投稿者:デジタル教材スタッフ | 投稿時間:12:55

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