2015年10月06日 (火)未来広告ジャパン!「日本の食料自給率は低いままでよいか」 授業リポート


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未来広告ジャパン! は、日本の国土と産業について学ぶ番組です。
2015年9月9日、宮城県仙台市立錦ヶ丘小学校5年4組で、未来広告ジャパン!「日本の食料自給率は低いままでよいか」を活用した社会科の授業が行われました。
 
★ 日本の食料自給率の現状を知って
 
今日から日本の食料生産の単元に入ります。
担任の石井里枝先生が「今までは農業や水産業の勉強をしてきました。今日からはそれをふまえて日本の食料生産について考えていきましょう。そして、この学習の締めくくりには、自分たちの考えをCMにまとめて、未来広告ジャパン!のホームページに送りましょう!」と言うと、「やった!」という声があがりました。
 
先生は、食料を考えるうえで大切なキーワードとして“食料自給率”という言葉を紹介。その意味を知ろうと番組視聴に入りました。
 
===【 未来広告ジャパン!「日本の食料自給率は低いままでよいか」を視聴 】===
局長からお弁当の差し入れがあり、喜ぶカノとキラト。ここで早速クイズ!「お弁当に使われている、米、牛肉、大豆のうち、国産の割合が一番少ないのはどれ?」。正解は大豆で10%。そんなに低いの?二人は、日本の食料自給率は全体で39%しかないことを知ります。カノは言います。「でも安くておいしい物がいっぱい食べられたら、それでいいんじゃないの?」。
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ここで先生が番組とめて食料自給率の意味を尋ねると「日本人が食べるものをどれくらい日本で作っているか!」と元気な答えがかえってきました。
「何%だった?」「39%!」。
「じゃあ残りはどうしてるの?」「外国から輸入している!」。
 
先生は黒板に「日本の食料自給率は低いままでよいのか」と書き、今の段階でどう思っているかノートに書かせました。すると多くの子どもが「日本人が食べる物は日本で作るべき」と書いていました。その理由は「日本で作った物の方が新鮮だから」「国産のものが減ると、その価格が値上がりする。するとますます安い外国の物ばかり買われるようになるから」などでした。
 
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★“エキスパートグループ”で動画クリップを調べよう!
 
ここで子どもたちは、食料自給率について調べる活動に入ります。それまでの班学習の体制から“エキスパートグループ”と呼ばれるテーマ別のグループ (①輸入のメリット ②国産支援 ③輸入の問題点 ) に散らばって、番組に関連してホームページに用意された13本の動画クリップのうち、グループごとに指定した2本の動画クリップを、2人に1台のタブレット端末を使って見ていきました。
動画クリップを見てわかったことは一人ひとりが付せんに記し、クリップのあらすじをプリントアウトした紙に、はっていきます。そしてそれをもとに、エキスパートグループの中で意見交換をしていきました。
 
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〈輸入のメリット〉を調べるグループでは、「外国産の安い食料」と「輸入が支える豊かな食生活」のクリップを見て、輸入した肉や野菜は国産のものよりずっと安く売られていることや、今の日本の豊かな食生活は輸入品なしでは成り立たないことを知りました。
「オーストラリア産の牛肉は100グラム400円。日本産は1280円だって!なんでこんなに値段が違うの?」「アメリカの畑、大きい!外国はこれで大量生産するんだよ」。広い土地を少ない人数で大型の機械を使って作られる輸入品に、国産品は安さではかないそうにありません。
「でもわたしは、安くても輸入品は怖いから食べたくないな。高くても国産を買う」「でも、日本のものだけだと、肉は9日に1回しか食べられないんだって。私はやっぱりハンバーグが食べたいなあ」・・・。
外国から安い食品を輸入し続けた方がいいのか、国産の物を増やした方がいいのか、議論は続きます。
 
★ 自分のエキスパート分野を伝えながら、班の中で意見交換!
 
子どもたちはもとの班に戻り、エキスパートグループで学んだことを持ち寄って、「日本の食料自給率は低いままでよいのか」について話し合いました。一人ひとりが異なる動画クリップを見て得た情報を持ち寄って、それぞれの“エキスパート分野”の知識を共有するために、メンバーに伝え合うのです。
 
ここで石井先生は特製の“シンキング・メーター”を各班に配布しました!子どもたちはまず全員が、自分が理想だと思う自給率の数値に自分の名前をはります。そして,エキスパートグループで作成した付せん紙の内容についてもう一度確認しながら、班としての数値を決めていきました。
 
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 「安いから、やっぱりみんな輸入品を買うと思う」
「でも輸入に頼ってばかりもいられないよ。BSEとかが外国ではやったら、輸入がストップして、いきなり日本の食料がなくなっちゃうよ」
「そう。それに輸入が多いと、運搬の時に燃料を使うから、フード・マイレージが高くなるんだよ」・・・と、議論が展開。それを受けて、シンキング・メーターの数値も変更されていきます。
 
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★ 班の見解を発表して、クラスのみんなと白熱の議論!
 
最後に、班の見解をクラスのみんなに発表しました。
 
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4班は、自給率を39%よりも上げるべきだと主張しました。その理由は「外国の食料は安いから、といってたくさん輸入してしまうと、食料が余って、環境に悪いから」。
先生は「それは“食品ロス”ですね」と言って、“食品ロス”を調べたエキスパートグループのメンバーに説明するように言いました。「期限切れの食べ物や食べ残しなどが、毎日大量に捨てられていることです」。動画クリップで学んだ「日本で消費する1年分の食べ物8500万トンのうちの、1700万トンが捨てられている」ことを引用して発言しました。
 
それを聞いた先生が「じゃあ、賞味期限が切れていても食べるようにして、捨てる食べ物を減らせば解決するのかな?」と尋ねると「輸入するときに燃料を使うから、やっぱり環境に悪いと思います」という声があがりました。そこで今度は“フード・マイレージ”について調べたメンバーが「フード・マイレージとは、食料の重さに輸送距離をかけたものです。数字が大きいほど環境に負担を与えているとされています」と説明しました。これを下げるために、地元で作られた物を地元で食べる“地産地消”などが推奨されているということも、動画クリップから情報を得ていました。
 
日本は食料自給率を上げた方がいいという声が多い中で、「やっぱり輸入は必要だよ。肉が食べたいもの!」という声があがりました。
「じゃあ国内で肉の生産量を増やせばいいんだよ」「でも、国内で酪農をする人も減っているよ。国内でまかなうためには,生産者を元気にしないといけないと思う」「でも、すぐに生産者を増やすことは難しいんじゃないかな。輸入は増やしたくないけど,日本だけではやっていけないよ。どうしたらいいんだろう・・・」。
 
先生はこうしたやりとりを聞き、「私たちは今、外国とのつながりが深いから食べたい物が食べられるんだね」とにっこり。「今日は、これからの日本のために、考えた方がいいことがいっぱいあるとわかりました。これから、自分でもできそうなことやアイデアを、いっぱい出してくださいね」と言って、次の時間に取り組むCM作成に子どもたちの気持ちをつないで、授業を終えました。
 
 
★ 授業を終えた石井先生にお話を聞きました。
 
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――子どもたちは、授業の前半と後半とで、違うグループで活動をしていましたね。どちらも活発に議論が行われていました。
 
まず前半は“エキスパートグループ”で、動画クリップを2本ずつ調べました。後半はもとのグループに戻り、自分が身につけた“エキスパート分野”をほかのメンバーにも伝え、議論を展開していきました。
これは“ジグソー学習”という学習スタイルを取り入れたものです。子どもたちは農業、漁業についで3回目なので、子どもたちは見通しを持って取り組めていました。
ジグソー学習では、自分が調べたことをグループの子に伝えなければならないので、一人ひとりが責任を持って課題に取り組むことができます。自分だけが持っている情報を、いかにわかりやすくほかのメンバーに説明できるかというところも鍛えられます。
 
――今回の授業では、未来広告ジャパン! の番組だけでなく、動画クリップもフルに活用されていました。
 
子どもたちは 未来広告ジャパン! の番組が大好きなんです。今日もクイズが当たると「イエーイ!」と喜んでいました。毎回課題を提示してくれ、これからの学習の問題点をつかみやすいので、学習の動機付けのためにも見せるようにしています。普段は行けない現場の様子などを、みんなで楽しんでいます。
 
動画クリップがとても充実していることも、未来広告ジャパン! の魅力です。1本がだいたい2~3分と短いので、映像資料として、タブレット端末で利用するのにちょうどいいんです。短い時間で繰り返し見られるのもいいですね。そして、なんといっても種類が豊富なのが魅力です。ジグソー学習のような方法を取り入れようとしたとき,同じテーマについて,異なる視点からとらえた動画クリップがあるというのがとても役立ちます。クリップを見て考えたことを伝え合うことで、葛藤が起こり、子どもたちの思考が深まっていくのです。
 
――先生は、社会科を通して子どもたちにどんなことを伝えたいと思っていますか?
 
「見て・考えて・意見を表明する」ことができる人になってほしいと思っています。自分が取り出した情報を、友達とさまざまな視点や立場から整理・解釈する訓練をすることで、社会の出来事を自分自身に引きつけて考えられるようになると思います。
私が社会科の授業で大切にしたいのは、教科書にある知識を理解することにとどめず、さらにそれを使って深い思考をうながすことです。
未来広告ジャパン!は番組ホームページのコンテンツが充実しているので、今回はその活用に焦点を当てて思考を促そうと思いました。学習のゴールは、CM制作。作って送るのがとても楽しみです。
 
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< Eテレ (水)午前 9:35 ~9:45 >
 

投稿者:デジタル教材スタッフ | 投稿時間:18:00

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