2018年3月 8日

『コノマチ☆リサーチ』マンガ家・ハジメ役 岸田メルさんにロングインタビュー!


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3月7日(水)についに第20話を迎え、1年間の制作を終えた社会科番組コノマチ☆リサーチ(4月から再び第1話から放送されます。また、番組ホームページでは、すべての回の視聴がいつでもできます)。
突然やってきた宇宙人のズビといっしょに“マチのひみつ”を調べて、わかったことをイラストにまとめていくマンガ家・ハジメとして、1年間の長丁場の撮影を走り切った岸田メルさんに、番組出演の感想や思い出、先生や子どもたちへのメッセージをお伺いしました。個性的ながら温かい言葉でじっくり語ってくださったので、特別にロングインタビューをそのままお届けします!

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――――最初に番組に出ることになった時はどんなお気持ちでしたか?
岸田メルさん(以下「メ」):何回かEテレやBSにはゲストとして出演したことがあったんですけど、まさか社会科番組のレギュラー出演の依頼が来るとは思っていなくて驚きました。それまでの依頼は"ちょっと変わったイラストレーター"的な位置づけでしたから。
小学校の社会科番組と聞いた時は「え?僕が社会?」みたいな気持ちでした。
でもやっぱりEテレがすごく好きなんで嬉しかったですね。ただ「これはドッキリなのかな」とも思ってました。いや、僕はいいんですよ(笑)。僕は全然やりますけど、本当かなあ?と思っているうちに、あれよあれよとパイロット版の撮影になって「ああ、ドッキリじゃなかったんだなあ」と実感しました。
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――――もともとEテレがお好きだったんですか?
メ:ええ、大好きでした。子どものころから学校や家でよく見ていましたし、今はイラストレーターとしての仕事をずっと家でしているのですが、その時に音楽を流すよりはテレビをつけていることが多いんです。EテレだとCMが入らないので気が散らないし。ためになる番組も多いので、ちょうど落ち着くんですよ。

――――これまではどんな番組を見ていましたか?
メ:思えばNHK for Schoolの時間帯にテレビつけてることが多かったような気がします。それこそチョーさんが出ていらした『たんけんぼくのまち』は子どもの頃からずっと見てましたし、その後の社会科番組『このまちだいすき』も見てました。

――――番組を始めてから今まで、周囲で何か変化はありましたか?
メ:今まで僕の活動を知らなかった層からの反響がありましたね。子どもと一緒に見てるお母さんから「見てますよ」ってコメントもらったりしました。放送が始まるまであまり気がつかなかったんですけど、学校の教育現場で見て頂く以外に、朝9:10からの時間帯ってけっこう未就学児とお母さんが見てることが多いみたいなんですよ。『おかあさんといっしょ』の流れもあると思うんですけど。そのせいかサイン会にも小さなお子さんを連れて来てくださるお母さんが多くなりましたね。こんなことは今まで初めてで、ありがたいというか、新鮮でした。あと、ロケ中、バッグに入ってるズビを見て「あ!ズビだ!」とか「この番組知ってる!」と子どもたちに言われたりしました。

――――ご自身の変化はいかがでしたか?
メ:僕は昔は演劇をやっていたんです。今は絵の仕事1本にしぼっていて、お芝居らしいお芝居はずっとやっていないので、第一回の撮影はさぐりさぐりやっていました。それに経験があるといっても人間相手のお芝居で、キャラクターと共演したことがなかったので、最初は距離感が難しかったですね。動きや反応がやってみないとわからないので、ものすごくズビに気を使ってました(笑)。だんだんとその距離感がわかってきて、第20回では息が合った感じが出せてるんじゃないかなと思います。その距離感の変化が、見ている人に宇宙人のズビとマンガ家のハジメがだんだん理解しあってきたように見えてたらうれしいですね。

――――視聴者はきっと感じていましたよ。最初は「ええ?」とか「ああ?」とか、戸惑っているシーンが多かったですけど、最近はズビの言葉を受けて「そっかあ!」「なるほど!」ってリアクションが増えてきてコンビ感がありましたから。
メ:それを狙ってやりました、と言いたいんですけどね。ただの素なんです(笑)。スタッフさんも含めてだんだんチームワークが出てきたのが、画面にも表れているんだと思います。
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――――印象深かった回はありますか?
メ:港を探検して製鉄所に入ったのは印象深かったですね。港に行くことはあるとしても、製鉄所にふらりと入ることなんてまずないじゃないですか。すごい新鮮でしたね。(熱や撮影位置の確保で)スタッフさんが大変そうだったのも覚えています。
お菓子工場の回も面白かったです。全身防塵服で入って。撮影は真夏だったんですけど、お菓子工場だから涼しいんだろうと思ったんですよ。ちょうど前日がブドウ畑のロケでめちゃめちゃ暑くて、そのぶん工場の涼しさに期待してたんですけど、実際はあんこなどを煮ていてるから、部署によってはすごく暑いんです。扱う材料によっては冷えてるゾーンも多いんですけど、全体的には暑い場所が多くて、僕もスタッフも疲れ果てました。それもいい思い出です。
僕も視聴者のみなさんと同じようにお菓子工場にぼんやりとしたイメージしか持ってなかったので、やっぱり体験してみないとわからないことって多いなあと思いました。そういうことを始めとして、僕自身も知らなかったことをたくさん知ることができたので、全編楽しかったですね。

――――この番組を始めてから気にするようになったことってありますか?
メ:仕事で各地に行く時に「このマチはどんな成り立ちなんだろう?」とか、その土地ならではの生活様式とか、歴史とか、食べ物…いろんなことが気になって思わず看板を見ちゃったり、ご飯を食べにいった店の人に聞いたりすることが増えましたね。
先日山梨に行った時には「山梨の人間はブドウを買わない」と聞いて驚きました。それは必ず親戚や友人にブドウ農家がいるのが当たり前だから、もらったりあげたりして、買う必要がないってことらしいんです。そこまでブドウ産業が根付いているんだなあと改めて感じました。今までスルーしていたような地域や物の見方っていうのが、ついついリサーチ的に(笑)なってる部分はあるかもしれませんね。
特に商店街は何度も取材に行ったので、普通の商店街に見えてもそれぞれ工夫してるなあとか、ちょっと店をのぞくと各店主なりのアイデアが凝らされていて、さらに見ていると、その店は客が途切れない…とか、わかるようになりましたね。

――――工場でも店でも、そのマチの特徴を生かしてに努力している部分がわかっちゃうんですね。
メ:想像するようになりましたね。それまでは絵に描かれた背景のように「工場は工場、お店はお店」としか捉えられなかったものが、中には人がいて努力や工夫をして頑張っている場所なんだ、と自分の世界と通じて考えられるようになりました。それもこの番組で普段は話せないような人たちと交流を持たせていただいたおかげだと思います。リアリティを感じるなあと。
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――――それはまさに番組が子どもたちに届けたいことのひとつです。
メ:そうですね。消防士さんでも"魔法のようにやってくるヒーロー"ではなくて、普段から訓練を積んだからこそできる、もとは普通の人なのに。消防団の人はさらに身近ですし。すべてのマチの人は自分と地続きなんだなあ改めて思いましたし、見ている子どもたちにも伝わっていたら嬉しいですね。
たくさんの人にインタビューしましたけど、この職業だからこういう人、ではなくて、みんなそれぞれ違う人なんで、おもしろいなと思いました。

――――確かに「こんな性格の人が、こんな職業に就くんだろう」という思い込みは、子どもだけでなく私たち大人にもあるかもしれませんね。
メ:そういう偏見がなくなりました。もとからのおまわりさんはいないし、もとからの工場員はいないし、みんなもとは普通の子どもたちで、いずれ職業に就いたらその面が出てきたっていうだけで…。だから見ている子どもたちにも、「あれは未来の自分かもしれない」と思ってみてもらえたらと思います。僕が話した方々は、職業に関わらず、本当に普通の人々だったので。

――――社会科見学などの経験を、この番組のように児童自身でイラストでまとめさせたいと思っている先生は多いと思います。体験を1枚のイラストにうまくまとめるコツをお伺いできませんか?
メ:僕やスタッフも最初は手探りで、ディレクターの方が緻密なラフ絵を描いてくださったりして「どうしたらまとまるか」というのは試行錯誤していました。ただ、これは番組で多くの人に見せる前提だからです。
僕の意見としては、子どもたちが描くのなら、覚えていることだけ描けばいいと思うんです。それが一番印象深かったってことだから。僕もスタッフの要望は押さえながら、自分が取材して一番印象的だったこと、気になったことをこっそり入れることもありました。

全部均等にまとめて絵にしようとすると、散漫になりがちなんです。見る人に「何がわかったのか、伝えたいのか」が伝わりにくくなってしまう。
自分が「これはおもしろかったな」とか「これは楽しかったな」って思うところをまず単純に大きくフィーチャーして描く。あとは余ったスペースに次に覚えていることを描く。……それで充分だと思いますけどね。

あとは僕個人の心がけですけど「描き込みすぎない」ってことです。僕、元々こういう仕事なので、描こうと思ったらいくらでも詰め込めるんです。でも、目的はそうじゃなくて、見た人の心にスッと伝えることなんで、下手に描き込むより、多少は勢いみたいなもので描いて。逆説的にですけど、雑な部分があったほうがいいと思います。

僕も大好きだった『たんけんぼくのまち』でもチョーさんが絵を描いていますけど、チョーさんの絵はパッションなんですよ。殴り書きっぽいんだけど、ぐっと伝わってくる。そういう絵だからよかったっていうのが、視聴者だった僕が感じていたことなので。
ただ、僕の絵柄だとあのスタイルはかえって難しいし、一応マンガ家という設定なので、文字も入りつつ、重たくなりすぎないバランスの良い仕上がりを目指しました。
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――――学校の先生方にメッセージをお願いします
メ:僕自身、その地域の人とかマチの人と話をして、初めてわかってくることが多かったです。自分がこの社会の一員なんだっていうことが実感できるようになりました。そういった意味で、子どもたちが初めてフィールドワークをしてさまざまな人に話を聞くことがすごく大事だと思いました。

それを絵として、上手い下手関係なくて、自分が気になったこと、一番覚えているものをパパパッと描くだけで、多分、価値ある時間になると思います。
先生方も仕上がりにこだわらず「とにかくおもしろかったことを描こうよ」くらいで、やってもらえたらなぁと思いますね。
同じことを調べても、調べる子によって何がフィーチャーされるかは全然違って当たり前だと思うので、その子なりのマチへの目を大事にしてあげてほしいですね。

――――では最後に子どもたちに、お兄さん的にひとことお願いします。
メ:マチに出て人の話を聞くってとても楽しいことなので、どんどんやっていこうよ!っていうのと、それを絵にするってこともすごく楽しいと思うので、他の子と比べて下手とか関係なく、自分の気持ちを絵にしてみよう!って言いたいです。
僕はこの番組でマチに出て、体験を絵にできてすごく楽しかった。みんなにもこの楽しさを味わってほしいです。

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岸田メルさん、1年間、おつかれさまでした!

コノマチ☆リサーチ
<Eテレ 毎週(水)午前9:10~9:20>
※番組ホームページでも全エピソードが視聴できます。

投稿者:番組制作スタッフ | 投稿時間:12:00 | カテゴリ:番組紹介 | 固定リンク
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