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三重県の東部にある伊勢神宮。境内の背後には5500ヘクタールの広大な神宮の森が広がっています。この森では遷宮に使うヒノキを育成する一方、ほとんどの場所で人の立ち入りを禁じてきました。2000年に渡って守られてきた神域の森の中にはスギの木からサクラが生えた珍しい「宿り木桜」や、しめ縄のような不思議な形をしたシデの木など神秘的な光景もあります。さらに、原始の姿を今に残す森は珍しい生きものの宝庫。ミカドアゲハやジングウツツジ、イセヒゲボソゾウムシなど、他ではなかなか見ることのできない動植物が生息しています。神宮の森の多くはシイやカシなどの常緑広葉樹に覆われています。5月クスノキが赤い新芽をのばすと森は一年で最も鮮やかな彩りを見せます。豊かな森を移動しながら生活するニホンザル、繁殖のため南から渡ってくるオオルリやサンコウチョウなど常緑樹の森で躍動する命の輝きを見つめます。

番組内容

伊勢神宮 神域の深い森

面積5500ヘクタール、東京世田谷区とほぼ同じ広さを持つ神宮の森には、太古から人の手が加わっていない原生状態の場所もあります。

せめぎ合う常緑広葉樹林の木々

森の中で上を見上げるとツブラジイの枝や葉が互いに重なり合うことなくせめぎ合い、見事なモザイク模様を描いていました。

5月の常緑広葉樹の森

常緑広葉樹の森は4月下旬から5月にかけて木々の新芽が色づき一年で最も鮮やかな時を迎えます。手前は新芽を伸ばすクスノキ。

しめ縄のような姿の木

神宮の森の中で見た不思議な光景。深い森の中にある滝の上に誰かが作ったしめ縄のような姿のイヌシデの木がありました。イヌシデは上に伸びる落葉高木で普通このような生え方はしません。

スギから生えたヤマザクラ

神域の奥深くにある「宿り木桜」。特別な許可の元、撮影されました。

トベラの花の蜜を吸うミカドアゲハ

神宮の森を代表するチョウ。南方系の種類で日本ではこの地域が分布の北限にあたります。常緑広葉樹であるモクレン科のオガタマノキが食樹。一年に2回、春と夏に発生します。

雨の日のニホンザル

神宮周辺には3〜4つの群れがいるようで食べ物を探しながら森を移動しています。今回、雨の中ヤマザクラの実を食べているサルたちに出会うことができました。

森で子育てするサンコウチョウ

オスは全長45センチ。体の3倍もある見事な尾羽と水色に縁取られた目が特徴です。毎年5月のこの時期南から渡ってきて神宮の森で繁殖しています。

情報

語り 中村慶子(なかむらけいこ)アナウンサー
取材時期 2014年4月〜5月他、過去2年に渡って取材
取材地 三重県伊勢市伊勢の神宮の宮域林
伊勢神宮の森(宮域林)は立ち入りが制限されており、許可無く森の中へは入れません。撮影はすべて神宮の特別な許可の元で行われています。なお、空撮は一部、過去の映像を使用しています。
交通手段 伊勢神宮(内宮、外宮)へのアクセスは、近鉄「宇治山田駅」又は「伊勢市駅」よりバス又はタクシー。
登場する動物
  • イセヒゲボソゾウムシ
    ゾウムシ科。体長6mm内外。日本には本種に似た種類がたくさんいて同定は大変難しい。神宮の森ではよく似たコヒゲボソゾウムシが普通にいるが、本種はごく限られた場所でしか見つかっていない。
  • イセノナミマイマイ
    オナジマイマイ科。成貝の殻の直径3cmほどの大型のカタツムリ。伊勢を中心にした三重県だけに分布。ギュリッキマイマイの亜種。
  • ミカドアゲハ
    アゲハチョウ科。南方系のチョウで伊勢は本種のほぼ分布の北限。幼虫が常緑広葉樹であるオガタマノキ(モクレンの仲間)を食べる。伊勢神宮を代表する貴重なチョウ。
  • ニホンザル
    オナガザル科。神宮の森周辺では3〜4つのニホンザルの群れが食べ物を探して移動している。ここに住むニホンザルは警戒心が強く撮影するのは困難で2年間で数回しか遭遇できなかった。
  • オオルリ
    ヒタキ科。五月になると神宮の森で繁殖するため南から渡ってくる夏鳥。オスは美しい声で囀り、五十鈴川源流部の湿った崖などで営巣する。
  • サンコウチョウ
    カササギヒタキ科。オスは体の3倍もある長い尾羽をもつ美しい鳥。名前の由来はオスの鳴き声を「月・日・星・ホイホイホイ」と聞きなすことからきている。神宮の森で毎年営巣が確認されている。
登場する植物
  • クスノキ
    クスノキ科。伊勢神宮の森にある常緑広葉樹のひとつ。春に古い葉が紅葉して葉を落とすと同時に赤い芽を出すものが多く、春の一時期、赤い若葉が新緑の山を美しく彩る。
  • イヌシデ
    カバノキ科。本州から四国、九州の山に生える高さ10〜15mになる落葉広葉樹。番組に登場するイヌシデは蔓のようになって横に伸びる通常では考えられない伸び方をしている。
  • ジングウツツジ
    ツツジ科。伊勢神宮近くで発見されこの名がついている。5月〜6月に大ぶりの鮮やかな花を咲かせる。オンツツジやミツバツツジによく似ているが、葉の表面に金色の微毛が生えているのが特徴。多くの他の植物が生育できないアルカリ性の強い土壌を好むので見られる場所は限られている。
  • 宿り木桜
    神宮の神域、深い森の中にあるスギの巨木にヤマザクラが生えた不思議な木。スギの大きさは幹周り5m以上、高さ27m。地上8mの洞からヤマザクラの木が伸びている。サクラの樹齢は推定250年以上。約200年前、本居頼長がこの木を見て歌を詠んでいる。神域の森の中で公開されていないので一般に見ることはできない。

取材日記





2年以上にわたって取材を続けてきた伊勢神宮の森は、当初あまりに広大でどこから手をつけて良いかわからないほどでした。4月から5月にかけてのほんの数日、山がクスノキの赤い新芽に美しく彩られる…神宮の森を守る技官の方に聞いていたその言葉を今回初めて目の当たりにすることができました。深い森の中では様々な動植物との出会いがありましたが、特にスギの木からサクラが生えている奇跡の「宿り木桜」には驚かされました。スギの緑の葉とサクラの花のコラボレーション、さらにその周囲に広がる神域の森の美しさ。伊勢神宮の森は日本の自然の豊かさを象徴するような場所です。
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