NHK札幌放送局

料理本から“アイヌの心”を

ほっとニュース ミニ

2019年5月7日(火)午後6時00分 更新

アイヌ文化の新しい発信拠点「ウポポイ」の建設が進む中、アイヌ文化への関心が道内外で高まっています。自然の恵みに感謝する気持ちを決して忘れない「アイヌの心」。 こうした精神を料理を通じて伝えようと、1冊の本がことし4月、出版されました。

アイヌ料理本 その中身は?
札幌市中央区にある大型書店。“北海道の本”というコーナーを見ると、「自然の恵みアイヌのごはん」と名付けられた本が平積みにされていました。

中を見てみると、ワカサギやホッキ貝を凍らせて刺身にした「ルイペ」やエゾシカを使った料理を写した鮮やかな写真が掲載されています。
本には、ホタテやサケといった、スーパーで手に入る食材を使ったレシピ、80品以上が紹介されていて、北海道アイヌ協会によりますと、これほど多くのアイヌ料理について詳しいつくり方や写真とともに紹介した本は初めてだということです。

レシピ本 監修者の思いは
本を監修したのは、北海学園大学名誉教授の藤村久和さんです。藤村さんは半世紀にわたって主にアイヌの儀礼や暮らしなどの文化を研究してきました。

関心が高まる今だからこそ、身近な“食”から、アイヌ文化をより知ってもらいたいと考えています。

藤村さん
「今だから残せるのかもしれないし、今だから残さなきゃいけないのかもしれません。北海道に住んでいる人たちに“こういう食べ方がありますよ”というのを知ってもらいたい」

レシピ本 料理に挑戦!
料理に込められた、アイヌの人たちの思いとはどんなものなのか。アイヌ文化を学ぶ大学生のグループ・ウレㇱパクラブの皆さんに本で紹介されている料理を実際に作ってもらいました。
まず作ったのは、旬の魚や野菜を煮込んだ「オハウ」。アイヌ料理を代表する一品です。

メインとなるニシンに5ミリ間隔程度の切れ目を入れます。
続いて、鍋に水と昆布を入れて、だしを取ります。
この昆布は細かく刻んだ上で、具材として再び鍋の中に。
食材に対するアイヌの人たちの感謝の心が表れています。
味付けは塩だけ。
素材のうまみがとけ出した「ニシンオハウ」が完成しました。
ほかにも、ギョウジャニンニクを刻んで混ぜるだけでできる「ぎょうじゃにんにくご飯」や、おなじみのいも団子も作りました。アイヌ料理では「イモシト」といいます。

藤村さんは料理の並べ方でもアイヌの人たちの考え方が表れていると説明してくれました。「オハウ」は食べる人から見て左側に置きます。藤村さんによると、和食では、主食のごはんを左側に並べるのが一般的ですが、アイヌ料理では主食は“汁もの”なので逆になるそうです。

調理をしたウレㇱパクラブのメンバーの感想は?

「調味料を多く使わず、塩だけで味付けをしましたが、野菜の味や野菜のだし、それに昆布のだしがすごくきいていて、おいしかったです」
「思ってたよりも簡単だったので、1人暮らしを始めたばかりですが、アイヌ料理は自宅で作れそうかなって感じました」

アイヌ料理 その“精神”は
藤村さんに料理を通じて感じてほしい“アイヌの精神”とは何か聞きました。

藤村さん
「私たちは食べることで別の生き物の命を自分のエネルギーに変えて、継いでいく。そういう原点を知ってもらうことはとても大事です。食べる人のことを思いやって作る。そういう楽しみを持って作ってもらうならば、最高じゃないかなと思います」

本には、身近な食材で手軽に作れるアイヌ料理がたくさん載っていますが、それだけではありません。
「とうもろこし」の記事には「豆と一緒にあえて食べることが多かった」とほかの食材との組み合わせも紹介。ジャガイモの欄では、保存方法を写真付きで説明するなど、アイヌの人々の生活を垣間見ることができます。まさに“アイヌの食文化のガイドブック”です。
この本は、道内の書店で手に入るということです。アイヌ料理が私たちにとって、もっと身近な存在になりそうです。

(2019年4月25日放送)

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