NHK札幌放送局

WEBニュース特集 運転免許証返納 道内の現状は

北海道WEBニュース特集

2019年6月21日(金)午後5時00分 更新

もはや社会問題とも言える高齢ドライバーの交通事故。6月19日には、伊達市で70代の女性が運転する車が建物に衝突するなど、道内でも後を絶ちません。こうした中、対策の1つとして全国的に増えているのが高齢者による運転免許証の自主返納です。道内ではどういう状況になっているのでしょうか。現状を取材しました。             (2019年6月20日放送)

【連日、高齢者の返納相次ぐ】

札幌市中心部にある中央警察署。6月19日の朝、訪れてみると、さっそく免許を返納しようという高齢者の姿がありました。このうちの1人、69歳の女性に話を聞いてみると「もうちょっと運転してもいいかなと思ったけど、事故起こしたら困る」とのこと。また、妻に付き添われて返納に来た80歳の男性は「年を取ると自分の思うようにいかないし、気持ちもついていかない」と話していました。印象的だったのは、最近目立っている重大な事故が共通した返納の動機になっていたことでした。

免許証返納の臨時相談窓口 〈新ひだか町〉

道警によりますと、道内で去年1年間に免許証を自主返納した高齢者は1万3500人あまり。ことしはさらに増加傾向で、5月までに返納した高齢者はおよそ6200人と去年の同じ時期より7%増えています。

【自治体も増加を後押し】

免許証の返納が増えているのは、自治体の取り組みも関係しているようです。北広島市では、自主返納した65歳以上の人に独自に2万円分の交通費を補助しています。当初はバスの利用だけを対象にしていましたが、今年度からはさらに返納を促そうと、タクシーも補助の対象に加えました。反響は上々で、19日までの申請件数は168件。わずか3か月足らずで昨年度1年間の件数に迫っています。

担当している市の橋本征紀企画課長は「高齢者の事故が増えている中で免許をどうしようか考えている方も増えていると思っていて、この制度が免許を返納することへの後押しになるのかな」と増加の背景を説明していました。このほかにもたとえば、十勝の芽室町では返納した高齢者に対してコミュニティバスの運賃を1年間無料化しているほか、空知の雨竜町などでは商品券を支給して返納を促すなど、支援策は道内各地に広がっています。

【返納で気をつけることは】

九州大学大学院 志堂寺和則教授

ただ、返納すると今までの生活が変わってしまうという制約も出てくるので、返納する前にその後の暮らしをしっかりイメージすべきという指摘もあります。交通心理学が専門の九州大学大学院の志堂寺和則教授は「皆さんが返納されているからといって、流行に遅れないようにというように、何も考えずに返納してしまうとあとで『しまった』と後悔してしまうことがある。返納したあとどうするか、生活の足をどう確保していくか。加えて、返納したあとに家から出なくなってうつ気味になってしまうと、認知症が始まってしまうという変化も起きてしまうようなので、返納したあとの生活の楽しみなども考えて返納することが必要だと思う」と話していました。

【まずは家族や知人に相談を】

事故を起こして後悔するのはもちろんあってはならないことですが、返納で生活に支障が出て後悔するというのも避けたい事態です。ですから、運転は不安になってきて返納するかどうか迷っているという人は、まずは家族や親しい人たちとじっくり相談することが必要なのではないでしょうか。

 札幌放送局:太細真弥キャスター 
高橋潮美ディレクター
永田真澄記者    

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