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WEBニュース特集 育児での孤立を防ぐには・・・

北海道WEBニュース特集

2019年6月20日(木)午後5時00分 更新

札幌市で2歳の女の子が衰弱死した事件では、母親と交際していた男が暴行を加えてけがをさせた疑いで逮捕されました。今回の事件の動機などは明らかになっていませんが、各地で相次ぐ幼児への虐待の背景のひとつとして指摘されているのが、子育てに悩む母親の“孤立”です。悩みを聞いたり、解決方法を一緒に考えたりするには、地域や人とのつながりが重要となります。

【“転勤族”につながりを】

千歳市で親子を対象にしたバスツアーが6月18日に開かれました。市内に引っ越してきておおむね3年以内の保護者と幼い子どもたち39人が参加しました。千歳市は、自衛隊や航空関連などの会社に勤めるいわゆる転勤族の家庭が多く、年間の転入者はおよそ6000人に上ります。
ツアーは、新しい地域の中で子育ての不安を抱えたまま孤立しないようにと、千歳市が開きました。集まってきた母親からは「4月に引っ越してきたので、どういったところか知りたかった」とか「同じ年代のお子さんを持つお母さん方と楽しくしていきたい」といった声が聞かれました。

【遊び場を案内】

一行は、新千歳空港に向かいました。ターミナルビルにある子どもたちが遊べる施設を案内されました。慣れない土地では、子どもたちの遊び場の情報を手に入れるのも難しいといいます。母親の一人は「遊ぶところがあまりなくて、ここだと自由に歩き回れるのでいい」と話していました。

【母親のつながりを!】

そして、ツアーの最大の目的が、母親どうしのつながりを作ってもらうことでした。子どもたちを預けて、母親たちだけで交流する場が設けられました。母親たちは「ママ友がなかなか作れない」など、ふだん打ち明けにくい悩みについて情報交換をしました。ツアーを終えた母親は「自分がいっぱいいっぱいになってしまうと、まだ2歳3歳なのに子どもにも『しっかりして欲しい』と言ってしまうが、こうした交流の場にいると許してあげられる」と話していました。
この催しを開いた千歳市こども政策課の井鳥秀司係長は「同じような境遇の方々と共感できるような場があって、とってもよかったという意見をいただいている。子育てを終えた方、これから結婚して子育てに向かっていく方々にもつながりができれば『子育てに優しいまち』が実現できる」と取り組みの意義を強調していました。

【つながりの場 他にも】

子育て世代の孤立を防ごうという取り組みは、他にも広がっています。札幌市のNPO法人はアパートの一室に「子育てサロン」を設けました。週に3回、地域の母親たちが集まり、子どもを遊ばせながら育児の悩みを共有しているといいます。サロンを設けたNPO法人「子育て応援かざぐるま」の山田智子代表は「地域で子どもと触れ合う機会がないまま親になる人が多く、子育てが大変な状況になっている」と最近の子育て世代を見ています。このNPOでは、サロンなどに参加できない人には、電話や面談で相談に応じています。

【育児の悩みは?】

相談で特に多いのが、▼子どもが泣き止まない▼育児に追われ自分の時間が持てずにストレスがたまってしまう▼自分だけがつらい思いをしているのではないか、というものです。

【1人で抱え込まないで】

このNPOでは、深刻なケースになる前に、母親のもとを訪問してアドバイスをすることもあるといいます。
山田代表は「みんなの話を聞いたら、大変なのは自分だけじゃなかったから、もう少し頑張ってみようかなと思ったとか、自分もちゃんとやれてると安心したという反応がある。1人で抱え込まないでいろんなところとつながって、ちょっと勇気がいるかもしれないけど、ぜひ来ていただけたら」と支援を求めることを呼びかけています。

【“声”に耳を傾けるには…】

札幌市によりますと、母親たちの交流の場となるサロンは、市内におよそ300あります。それでもまだ十分な態勢とは言えないということです。人とのつながりの様子が変わっていくなかで、育児に悩む人たちの声をどう聞き出し、不安の解消につなげていくのか。社会に突きつけられた課題の1つです。 

(2019年6月18日 放送)

札幌放送局:太細真弥キャスター 
高橋潮美ディレクター
米澤直樹記者    

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