NHK札幌放送局

樺太・千島戦争体験の絵(9)樺太地上戦、生と死の分かれ目

樺太・千島戦争体験の絵

2018年8月31日(金)午後6時00分 更新

終戦後の樺太。真岡に上陸したソビエト軍を前に逃げ遅れた家族は押し入れで息を潜めた。そこにソビエト兵士が近づいてきた。当時8歳の男の子は生と死の分かれ目を目の当たりにした。

ソビエト兵に見つからないように

絵を描いたのは北海道登別市の秋葉薫さん(81)。当時8歳だった秋葉さんは昭和20年8月20日、ソビエト兵が樺太南部の真岡に上陸した際、真岡から4キロ離れた漁村で家族11人と暮らしていた。

一家は列車で逃げることができず、ソビエト兵に見つからないようにと家の押し入れの中に身を潜めた。すると突然、ソビエト兵が怒鳴り声をあげて、家の中に入ってきた。押し入れのふすまを隔てて1メートルあまり。

ソ連兵の息づかいから足音まで分かった。この恐怖は忘れられない

幸いにもソビエト兵は気づかすに出て行ったが、翌日、近所の男性が射殺されたことを聞き、秋葉さんたちは逃げることを決意した。

民間人が巻き込まれた戦場

ソビエト兵から逃げる途中、秋葉さんは民間人が巻き込まれた戦場に足を踏み入れた。4本の足を天に向け息絶えた馬、ムチを持ったままの男性の死体。

そして若い女性の死体があった。隣を歩く母親は秋葉さんに「見るな」と強く命じた。

そこで目の当たりにした光景は今でも忘れられないほどショックだった

話す秋葉さんの顔がゆがんだ。

戦争さえなければ

多くの民間人が巻き込まれた樺太の地上戦。あの戦場での生と死を分けたものはなんだったのか。未だに秋葉さんは問い続けている。

罪のない民間人が無残に殺された。自分もいつ死んでもおかしくなかった。なぜ生き延びることができたのかは分からない。ただ、ひとついえるのは戦争さえなければ誰も死ぬことはなかった

秋葉さんは唇をかみしめた。


※動画はこちらでご覧いただけます

(2018年8月30日放送)

#樺太千島戦争体験の絵

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