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WEBニュース特集 夏休み明けの子どものケアは

北海道WEBニュース特集

2019年8月23日(金)午後3時57分 更新

道内の多くの公立小学校では2学期が始まりました。夏休みが明けると生活環境が大きく変わることで心の動揺が起こり、不登校になりやすいと言われています。実際、札幌市教育委員会に寄せられる不登校の相談件数は、例年9月から10月にかけて増える傾向にあります。「学校に行きたくない」、そんな悩みを抱える子どもや家族をどのようにケアするべきなのか、取材しました。
                          (札幌放送局 永井華子キャスター) 

【夏休み明け、どんな悩み?】

まず、札幌法務局が設けている電話相談窓口にお邪魔しました。この窓口には、子どもの子育てや学校生活に関することなどさまざまな相談が寄せられます。夏休み明けのこの時期は、「長期の休みを挟んでもいじめがなくならない」といった保護者からの悩みが特徴だということです。相談員を務める松山和與志さんは理由について、「夏休みという長期の休みを挟むことによって子どもの問題が改善されるのではないかと考えます。ところが学校が始まってまもなく全然改善されていないことが分かれば、学校側では何もしてくれないのかと思い、親御さんからの相談となるケースが多くなると思う」と説明しました。

【子どもたちの新たな居場所】

それでも学校に行くのが難しいという子どもたちの、居場所作りをしているところがあります。子どもたちを受け入れている札幌市南区にあるNPO法人「不登校の子のための居場所あれとぽ」です。取材に行った日には、小学生から中学生までの6人が集まっていました。ここに来る子どもたちは、週に1度は学校に通っていたり、新学期などの節目には学校に行ったりとそれぞれのペースで登校していますが、NPOでは学校に通うことを無理強いせず、本人の意思に任せることにしています。ここに来ていた女子中学生に話を聞いてみると、「楽しいです」と笑顔を見せていました。

代表の菅原禎子さんによると、夏休み明けのこの時期は、ほかの時期にも増して子どもたちや保護者の様子を注意しているということです。菅原さんは、「新学期に入る時や新学年に上がる時、子どもたちは毎日、自分でも気がつかないような緊張感で過ごしている。その緊張感を少しでもゆったりとした気持ちで過ごしてくれたら良いと思っています」と話していました。

【大人たちはどう対応すべき?】

夏休み明けの子どもたちの異変。大人たちはどう対応したら良いのか、北海道教育大学札幌校の平野直己教授に話を聞いてみました。平野教授は子どもの気持ちについて、「僕たちも『仕事に行きたくない時に気持ちが立ち直らない』と相談して相談相手に『わかるわかる』って言ってもらったら、ちょっと気持ち軽くなりますよね。だけど『そんなこと言わないで学校行きなさい』と言われちゃったら、自分のこの気持ちは救われないままになる。そういうのが繰り返されるなかで、どんどん子どもはみんな理解してもらえないとか、言ってもうまく表現が受け止められないから態度に出てくるようなことが増えてくるように思う」と解説しました。そして、仮に子どもが不登校になった場合でも、家庭だけで抱え込まずに気軽に相談することが必要だという点も強調していました。平野教授は、「どうしてもお父さんやお母さんの責任って押しつけられやすいので、すごくプレッシャーを感じてしまう。それが子どもも家族全体も苦しめてしまう。でも、子育てのしかただけで不登校になるっていう話はまずない。自分の評価が問われると悩むかもしれないですが、相談を受けることは恥ずかしいことではない。例えばカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーといった人たちがお手伝いできることがあるかもしれない」と話していました。

【決して抱え込まないこと】

取材を通じて、大事なのは抱え込まずに、周りを頼ることが子どものためにもなるということを実感しました。相談にはいろいろなところが対応していますが、窓口の一例に先ほど紹介した法務局があります。ここでは、例年夏休みが終わると電話による相談件数が増える傾向にあるとして、8月から9月にかけて対応を強化しています。ことしは今月29日から来月4日にかけて、土日も相談を受け付けるほか、午後7時まで2時間近く延長し、電話回線も2本に増やすことにしています。

【不登校も受け入れる必要が】
また、子どもが不登校になったとしても、現実を受け入れることが必要です。国も、おととし、教育機会確保法を施行しました。学校を休んでも良いことや学校以外の場の重要性も認め、不登校対策は変わりつつあります。平野教授によると、子ども自身も学校に行かないことに罪悪感を持っていて、親の期待に応えたい気持ちは十分にあることが多い、にもかかわらず「行きたくない」と言っているケースがほとんどだということでした。だから、親としてはまず、子どもの気持ちを受け止めて話を聞いてあげる、そして、夏休み明けであっても、場合によってはもう一息つかせてあげるという勇気も必要なのかなと感じました。

(2019年8月22日 放送)

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