NHK札幌放送局

WEBニュース特集 火山とどう生きる?

北海道WEBニュース特集

2018年6月6日(水)午後0時00分 更新

草津白根山からの噴石がゴンドラにたたきつける不気味な音。新燃岳から流れ出た真っ赤な溶岩。今年に入って発生した2つの噴火の様子を覚えている方も多いのではないでしょうか。 私たちは火山とどう生きていけばいいのでしょうか。

避難計画で火山に備える

火山の噴火を予知することは数万年単位の地球の出来事を予測することなので、難しいのが現状です。しかし、噴火に「備える」ことはでき、各地で対策が進められています。そのうちの1つが 「避難計画」で、▼どんな状況の時に、▼どの範囲の人たちが、▼どこに避難すればいいのかがまとめられています。 避難計画は4年前の御嶽山の噴火をきっかけに、全国49の火山で作成が義務づけられていて道内では9つが対象です。

重要なのは「住民の意識」

この避難計画、道内各地で作成が進んでいて、5月には樽前山と倶多楽の計画案が相次いで発表されました。

このうち、樽前山の計画案作成にあたっては、「住民の防災の意識」がより実効性のある計画作りにつながりました。 樽前山のふもと、苫小牧市の西部にある「樽前地区」の人たちは、これまでは火砕流の通り道となる「覚生川」をわたって東方向の苫小牧市街地に避難することになっていました。

なぜ、わざわざ危険な場所を通って避難する計画になっていたのでしょうか。背景にあったのは“行政のタテ割り”意識です。樽前地区のすぐ西側は別の自治体の白老町、自治体の枠を超えての避難は想定されていなかったのです。 苫小牧市危機管理室の前田正志主幹は、「慣例的に、住民は自分たちの地域に避難してもらって面倒を見るという考えがありました」と話します。

樽前地区の人たちは以前からこの覚生川を渡る避難の計画には不安を感じていて、去年、苫小牧市で開かれた火山防災のフォーラムで、「すぐ近くの白老町側に避難したい」と要望。 苫小牧市は要望を受けて白老町と協議し、白老町側に広域避難を受け入れてもらえるようになりました。 日頃の住民の防災意識が行政を動かしたのです。

住民の意識は異変察知にも

この「住民の意識」は、火山防災でもうひとつ重要な「噴火の兆候をいかに早くつかむか」ということにもつながります。

倶多楽がある登別市では40年以上前から市民を「防災協力員」に委嘱し、災害につながりそうな身近な異変を通報してもらっています。今年度は100人の市民が委嘱されました。委嘱によって防災への意識を高めてもらい、例えば散歩や山菜採りの時に噴火につながる異変をいち早く発見できれば、安全な避難につなげることができます。

専門家も期待する監視の目

40年以上にわたって火山の研究を続けている北大有珠火山観測所の大島弘光特任准教授も、「地震計や傾斜計だけでは噴火の予知や予測はできず、実際に現場を人が見るという作業が必要だ」と指摘します。 そのうえで大島さんは、「住民たちが『今日は様子が変だな』とか『今日はにおいがきついな』という情報が行政に集まれば、その地域の防災力はすごく上がる」と話しています。 さらに大島さんが挙げるキーワードは「我がこと意識」です。 これは、噴火のニュースや防災の情報にふれた時に、「うちはどうなっているか?」、「あの火山はどうなりそうなのか?」と考えることが地域の防災の原動力になるという指摘です。 平穏な時にこそ、備えについて自分のこととして考えてみる必要があります。(2018年6月5日放送)

室蘭放送局 吉田 亮 記者


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