NHK札幌放送局

大泉洋 大地の息吹あふれる十勝の旅

北海道中ひざくりげ

2018年10月12日(金)午前11時40分 更新

今回の旅人は、俳優の大泉洋さん。舞台は日本を代表する農業地帯・十勝。人々の努力がこの土地を日本一の “豆王国” にしていました。そして、太古の時代から人々を魅了し続ける不思議な芸術作品も。昔も今も、大地の息吹あふれる十勝を旅します。

肥沃な大地は豆の産地

旅の始まりは、十勝平野のほぼ中央にある幕別町。ここは道内でも有数の農業のまち。平均耕作面積は全国の14倍以上で、日本の食料基地とも呼ばれています。

今から150年以上前、この地を探検家・松浦武四郎も旅していました。農業に向いた豊かな土壌だと感心し、記録に残しています。

大泉さんは大地の恵みを堪能できる場所があると聞き、訪ねました。

「おしゃれでかわいい!」

「あ、豆だ。豆なんですね。」
「すごい、めちゃくちゃ種類ある。」

十勝といえば、この “豆”。小豆と大豆の生産量は合わせて4万トン以上。日本一の豆王国です。このお店では、豆だけで43種類もの商品があるのだとか。

「これはなんですか?」

「いり豆ですね。松浦武四郎さんも大好きだったんですよ。」

武四郎の旅の日誌にもその証拠が。「いり豆を食べながら書きました」とわざわざ記しています。

さらに亡くなる直前に「いり豆をお腹いっぱい食べたいけれど、もう食べられないなあ」と残念がったという記録も残っています。

「こちらは小豆ソフトです。」
「おいしい!小豆感がありますね。」

「たくさんの人に、十勝で十勝ならではのものを食べてほしいなと思っています。」(帯広百年記念館 学芸員 大和田さん)

豆はいつの時代にも人々に愛される、十勝の自慢です。

受け継いだ豊かな土地

いかにして十勝が “豆王国” になったのか。そのヒントを求めて、大泉さんは近くの小豆畑へ。
この地で五代続くという農家・七海さんが迎えてくれました。

「これが小豆です。」
「うわあ。ちゃんと農家で、こういう風に見るの初めてです。」

「どのくらいの広さがあるんですか?畑は。」
「小豆を作っているのは札幌ドーム2個分ぐらいの面積かな。」

他にも小麦やビートなど様々な作物を栽培。全部で札幌ドーム13個ほどの畑があります。

広大な畑を管理するための自慢の相棒がいるという倉庫に案内してもらいました。

「これは小麦を刈る機械。収穫に使っていたんですけど。」
「うわあ、大きいですね。もうなんか、ちょっとしたマンションみたいな。」

こちらは、位置情報を測る装置を使って自動操縦してくれる、最新のトラクター。

さらに、後ろを見ながら効率的に作業ができるよう、小型カメラを設置する自分流のカスタマイズも。

十勝の農家はこうした機械を導入することで、大規模化に対応してきました。
農家のたゆまぬ努力が、豆王国・十勝を支えています。

あたたかい家族の絆

大泉さんは七海さんの自宅へ。ちょうどお盆の時期で、親戚10人が勢ぞろい。

「あら、何か出てきました。」
「おばあさんの手作りのおはぎです。」

豆から手作りのお手製おはぎ。

「おいしいです、おはぎ。」
「ここで取れたもので、ここで食べて、本当にぜいたくですね。」

開拓農家三代目にあたる富弘さんが、先祖の歴史が書かれた貴重な資料を見せてくれました。

「先祖が苦労して耕してきた畑を、孫の代まで継承していくのが僕の宿命かな、と思っています。」

開拓者たちが残した豊かな土地とあたたかい家族の絆は、未来へと受け継がれていきます。

人々を魅了し続ける “トカチ石”

実は武四郎は石のコレクターでもありました。ここ十勝で探し求めたのは、大雪山系の噴火によってできた黒曜石 “トカチ石”。その起源は200万年前にさかのぼるといわれています。

現代でもトカチ石に魅了されている人がいると聞き、大泉さんは上士幌町を訪ねました。

工房主の陶守統一さん。天然のガラスとも言えるトカチ石の奥深さに魅了され、作品を作り続けています。

「これがトカチ石。へえー、きれいですね、こんなにぴかぴか光ってるんだ。」
「そうなんです、磨くとね。」

トカチ石は、地元ではとても身近なもの。

「これは縄文の人が作ったもので、5〜6千年前のものです。小学校後半か中学生ぐらいだったと思うんですけど、学校の帰り道に畑で拾ったんですよ。」

至る所に眠っていたというトカチ石の矢じり。武四郎もここ十勝で見つけ、大喜びで持ち帰ったことでしょう。

陶守さんにこの石の魅力を教えてくれたのは、工芸作家だった父・哲夫さん。トカチ石を磨くことに人生を捧げた人でした。

親子二代、合わせて50年以上トカチ石を磨いてきた陶守さん。その集大成と言える作品があります。

「たとえばこの、ふくろう。頭は自分でつくれるんですけど、ほかは地球がつくってくれたもの。」
「ちょっとだけ私が手を加えさせてもらう、という組み合わせの面白さがあると思います。」

体は原石のまま。大地の躍動が生み出した石の魅力を、最大限に生かしました。

「地球がつくった造形ですね。」

大地の力にまっすぐ向き合う。昔も今も、そのたくましさが十勝の人々の誇りです。

「農家の方たちが何代にも渡って自分の土地を伝えていくことにすごく重きを感じていたり、トカチ石の陶守さんもお父様とのエピソードがすてきだったり。」
「家族のあたたかさのようなものを感じる、とてもほんわかした旅でした。」

2018年9月28日(金)放送
北海道中ひざくりげ
「大地の恵みとともに生きる〜十勝〜」より

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北海道中ひざくりげ

旅人が北海道各地の素敵な人たちと出会い、その土地の風土や自然を伝える「北海道中ひざくりげ」は、昭和62年(1987年)から始まり、テーマソング「北の旅人」とともに親しまれてきました。今年度で33年目。自然災害とのたたかい、産業構造の変化、人口減少。試練にさらされるふるさと北海道で生き抜く人々の力強さと底力を、丁寧に見つめる紀行ドキュメントです。

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