NHK札幌放送局

ひぐまっぷ デジタル技術で野生を見ると・・・ #ヒグマ

0755DDチャンネル

2019年5月31日(金)午後7時30分 更新

ひぐまっぷは、ヒグマ+地図、読んで字のごとく、ヒグマの出没情報を地図の上で管理できるクラウドシステムです。北海道立総合研究機構環境科学研究センターと27の市町村が運用しています。デジタル技術がもたらした、新たな野生管理の方法論に迫りました。

出没情報がリアルタイムに地図上に

環境科学研究センター道南地区野生生物室で釣賀一二三室長にひぐまっぷの管理画面を見せてもらいました。モニターに映しだされた「ひぐまっぷ」には、出没情報が青い丸印で並びます。中には赤い丸印もあります。
釣賀さんは「出没から1週間以内の情報は赤く表示されるんです」と説明。さらに赤い丸印をクリックすると、「2019/05/11」の文字が浮かび上がり、この取材の日から6日前の情報であることがわかりました。

道南地方は平地が少ないことなどから、人の生活とヒグマとのあつれきを減らすことが、長年の課題になってきました。
「ひぐまっぷ」はその道南地方の20の自治体を中心に厚真町や鶴居村など全道あわせて27の市町村が利用しています。

スピードと正確さが格段にアップ!

ひぐまっぷの仕組み

ひぐまっぷでは、ヒグマ出没の通報を受けた市町村の担当者が、位置情報や頭数、被害など、確認した情報をネット上のフォームにあわせて入力。送信されたデータは一か所に集められ、地図情報として閲覧できる仕組みです。
このシステムによって、正確な情報を、ほぼリアルタイムで把握できるようになります。

ひぐまっぷを運営 環境科学研究センター 釣賀一二三さん
「どんどん普及が進めば、情報がひとつの画面の上で管理できるようになりますので、例えば、市町村職員だけでなく、各振興局や本庁の担当者が、地域や全道でどういうことが起こっているのか、つぶさにわかるようになりますので、対策も立てやすいという面が出てくると思います」

現場を確認・報告する市町村にもメリットあり

森町は、2016年の開発段階から、システムに関わってきました。ヒグマ対策の担当者、農林課林務係長の淺利誓史郎さんは、ヒグマ目撃の通報を受けて現場に出向くときに、スマホを持っていきます。通報者から状況を聞き、現場を確認したその場で、ひぐまっぷにスマホを接続、情報を入力することができるからです。

森町農林課林務係長 淺利誓史郎さん
「現場でのなまの情報をすぐにスマホで入力できるので、助かっています」

さらに現場の担当者にとって「助かる」ことがもうひとつ。年に1度必要な道庁への報告ファイルの作成が、ひぐまっぷでは「ワンボタン」でできます。
森町の場合、2018年度の出没情報は55件。それまではひとつひとつ表計算ソフトに入力していました。

データは町のホームページで公開

森町は、目撃情報の中から個人情報を取り除いて、どんな状況でヒグマが出没したのかをHPの地図上で公開しています。ひと目で、どこにヒグマが出没しているのかわかるので、山菜とりなどで山に入る人にとっては、気になるヒグマ情報を知る方法の一つになります。

森町農林課林務係長 淺利誓史郎さん
「こんなに出没情報があるとは思わなかったという声が、多く聞こえてきています。これまでも広報などで周知していましたが、インターネットで公表することで、違った年代の方にも見てもらえる形になりましたので、大きな効果があったと思います」

さらに便利になる!?データを公開したからこそのアイデア

ひぐまっぷの情報を公開するかどうかは、各市町村の考え方によります。ただ、森町については、情報を公開=オープンデータにしたからこその「可能性」がわかりました。それは、東京のエンジニアが独自に開発した「ひぐまっぷ LINE bot」(テスト版)です。※2017年度のデータで制作したβ版です。
このチャットボットは、自分の位置情報を入力すると、近くの出没情報を検索。どんな目撃があったのか、自動応答してくれます。

開発したエンジニアの若狭正生さん
「日常使っているSNSを使って、会話と変わらないユーザーインタフェースで情報が得られます。スマートフォンで、WEBページで見ようと思えば見られるんですが、いますぐ見たいとか、ただ会話をしている延長線上で見たいとか、そういったことが可能になるので、便利かなと思っています」

このチャットボットは、将来的に役立ちそうな機能も備えています。それは、ユーザーが、ヒグマを目撃したり、痕跡を見つけたりしたときに、入力して通報することができる機能です。

若狭正生さん
「知り合いにクマが出たよという情報を送るのと同じような手軽さで、役所なりに出没情報を伝えられるようになっています」

こうしたプログラム開発は、行政が情報をオープンデータにしていることから可能になりました。エンジニアの立場からはどう見えているのでしょうか。

若狭正生さん
「情報が定期的に更新されて、ライセンスがしっかりしていて、こちらとしては使いやすいので、便利だなと思います。位置情報を含むデータはものすごく価値のある情報が多いので、そういったものが、うまく住民にかえせるようになりやすいのかなと思います」


動画版はこちら

(2019年6月1日放送)

ひぐまっぷ以外の仕組みで地図情報を公開している自治体も

こうしたヒグマの出没情報の「見える化」は、札幌市や旭川市のHPでもひぐまっぷ以外の方法で行われています。

札幌市 ヒグマ出没情報をHPで公開

NHK札幌放送局のヒグマ情報まとめページ

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