NHK札幌放送局

WEBニュース特集 自動運転は北の大地から!?

北海道WEBニュース特集

2018年11月22日(木)午後7時14分 更新

AI=人工知能や、衛星による位置情報を活用した自動運転。自家用車だけでなく、タクシーやバス、トラックなどにも活用されれば、不足する運転手の負担を軽くし、人手不足解消の「切り札」になることも期待されています。 この自動運転の先進地、いったいどこだと思いますか?東京、大阪、いやいや実は北海道なんです。 なぜ北海道が?自動運転で何が変わるのか。最前線を取材しました。 

ロボットがひとりでに…

10月11日の昼過ぎ、札幌市中心部の狸小路商店街はいつもの通り、“爆買い”する観光客であふれかえっていました。その中を走っていたのが、画像の台車。写真で見るとただの台車に見えますが、これ、AIを搭載したロボットなんです。自動運転の技術を応用したもので「人の荷物を運ぶ」という目的でつくられました。人工知能が地形や障害物を学習し目的地をあらかじめ登録しておけば、自動で目的地に荷物を運んでくれます。

センサーで障害物や人を感知し、よけながら進むすぐれもの。 観光客が大量にお土産を買いながらも、手ぶらで観光ができる。そんなアイデアを実現したロボットです。
これは、自動運転技術の開発を推進する道が、民間と共同で行った実証実験で、公道、それも人の往来する商店街で自動走行するロボットが走るのは、全国で初めてです。
どうして北海道でこのような全国初の実験が行われているのか?正直、私もこれまで、北海道に「最先端」のイメージはありませんでした。しかし、取材を進めると、ある北海道特有の環境が背景にあることが分かりました。

自動車開発とゆかりの深い北海道

こちらの地図は、北海道にある、自動車開発のためのテストコースを示しています。
その数、28か所。全国でもっとも多い数字です。
高度経済成長を経て、一家に一台のマイカーが当たり前になった1980年ごろ、家庭用の自動車の安全性を求める声が高まり、北海道に試験コースが作られ始めたといいます。
90年代には、各メーカーの開発競争が加速し、さまざまな自動車が世の中に生み出されるとともに、試験コースの数も増えていきました。
しかし、北海道と言えば、雪が深く積もり、寒さも本州の比ではありません。
「自動車のテストなんてできないのでは・・・」。そう思った私は浅はかでした。
マラソンランナーの高地トレーニングはご存じでしょうか。
標高が高く酸素の薄い環境で厳しいトレーニングをすることにより、過酷な環境に慣れさせ、平地に戻ったときに楽に走れるようにするトレーニングです。
北海道での自動車の試験走行は、いわばこの高地トレーニングだというのです。
北海道の寒い中でも、雪道でも走ることができれば、全国どこでも通用する。このため自動車メーカーは、こぞって北海道にテストコースを設置したのです。
自動車の発展に伴い、このテストコースが今度は、自動運転の実験に活用されはじめたのです。
さらに自動車メーカーの中には、広大な土地を利用して、自動運転の試験専用のコースを新たに設置したところもあります。
寒さと積雪といった過酷な環境、それに広大な土地。これらが、今、北海道が自動運転界から熱い視線を送られている背景にありました。

例えば、この写真は、旭川市で行われた大手電機メーカーの走行試験の様子です。
雪道では、舞う雪で自動運転に使うカメラの視界が遮られるうえ、センサーも道路の白線を雪と混同して認識せず、機能が有効に働きません。
このメーカーは、衛星からの位置情報を自動運転にも応用し、位置情報を元に自動車を正しく走行させる、最新の運転アシスト機能で課題を克服しようとしています。

今後の可能性は?

こうした状況を見ていると、雪道でもどこでも、車が単独で走る完全な自動運転の実現も夢でないと感じます。
メーカーの担当者に実現のメドを聞いてみると「実用化の時期は秘密です」との回答。こうした技術の開発を、さまざまなメーカーが道内で行っているのです。期待はいやが上にも膨らみます。
道も、自動運転の開発や研究が道内で盛んに行われている現状に目をつけ、地元の産業を活性化させるため、自動車メーカーだけでなく、AIやカメラ、センサーなどの部品の開発会社の道内への誘致を進め、北海道を自動運転のさらなる先進地にしたいと考えています。

道の担当者 野村聡産業振興局長「一つでも多くの実証実験を北海道でしてもらえれば、北海道が技術のスタンダードになる。そうすれば、移動手段や輸送手段など、いろんな意味で社会が直面する課題に対する回答が北海道から提供できるようになるんじゃないか。そうなるよう道としても努力していきたい」。

実現すれば、社会はどう変わる?

「自動運転の技術がさらに進歩すれば、より様々な場面で応用できるようになるのではないか」。
取材の中では、流通業者や農業関係者から、こんなアイデアも聞かれました。
自動販売機が自分で倉庫に行って商品を補充する!?
寝ている間にトラクターが自動で畑を耕してくれる!?
まさに夢のようなアイデアですが、実現に向けた研究も進められています。
道内でも少子高齢化や過疎化が進み、人手不足や担い手不足が課題となる中、新たなアイデアが実現すれば、こうした課題の解決にもつながります。
さらには「ロボットの先進地」として地域の売りにし、観光振興にも活用できるのではないかとの期待もあります。
今後の自動運転の技術の進歩に注目が集まっています。

(2018年11月20日放送)

札幌放送局 生田隆之介記者



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