NHK札幌放送局

WEBニュース特集 市街地へのヒグマ侵入を防げ #ヒグマ

北海道WEBニュース特集

2019年10月10日(木)午前11時01分 更新

札幌市などで出没が急増しているヒグマ。北海道では市街地にヒグマが出没することは珍しく無くなってきています。こうした中、道東の網走市では今年度からヒグマの侵入を防ぐ効果的な対策を探ろうと、ヒグマの生息状況の調査を本格的に始めました。(2019年10月3日放送)

【ヒグマの事故を減らす】

昨年度、網走市内ではヒグマに関する通報が44件と平成27年からの3年間で2倍以上増え、過去最も多くなり、市街地での目撃情報も相次いでいます。こうした事態を受けて、網走市が今年度から本格的に始めたのが、ヒグマの生息状況の調査です。

網走市で鳥獣害を担当する網走市農林課の佐藤岳郎課長は調査の目的について、「人的被害のリスクが高まるなかヒグマを理解して事前に我々が対処する方法や実際に出たときや居ついたときにどうするかをある程度長期的な取り組みで考えていく必要があるため」と話します。


【知床と同様の管理が目標】

調査は世界自然遺産・知床でヒグマの保護や管理を行う知床財団の協力を得ました。財団はヒグマの個体識別での管理を進めています。網走市は最終的に財団と同じように市内に出没するヒグマの個体ごとの行動を把握していきたいと考えています。


【ヒグマの行動を調べる】

ヒグマの行動把握はどのように行うのか。網走市はまず財団の助言を受けて足跡や目撃情報などをもとに市内の8か所に定点カメラを設置しました。

知床財団保護管理係の葛西真輔係長は、定点カメラによってヒグマの大きさや毛色などからある程度の個体識別ができるほか、移動ルートや生息状況の判別にもつながると言います。

また、ヒグマの痕跡の調査も行います。フンが見つかった場合は網走市の職員が回収しています。いつごろ何を食べているかを調べるためです。去年、市内で見つかった10個のフンのうち6個に農作物が含まれていました。食べ物を農作物に依存したヒグマは、市街地にも出没するおそれがあります。


【調査結果をピンポイントなヒグマ対策につなげる】

これまでの調査で明らかになった冬眠明けからのヒグマの出没地点をまとめた地図です。5月前半までは網走市ではなく隣町の大空町などで出没しています。5月後半になると10キロ以上離れた網走市で痕跡や目撃情報が寄せられるようになります。そして網走市内では農作物の被害も発生し始め、6月後半から7月前半にかけては山林をつたいながら市街地にも徐々に近づき目撃情報も寄せられるようになります。
市は今後もこうした調査を重ねて個体ごとの行動を分析し、出没が想定される場所に電気柵を設置するなど、市街地にヒグマを侵入させない、効果的な対策を見つけたいとしています。


【市民にも調査結果を開示】

調査結果は市民にも伝えられました。9月、市は住民向けの講習会を開催。いつ、どこに出没して何を食べているかを住民が理解を深めていくことで、ゴミの管理の徹底などヒグマが人里に近づくきっかけを与えない行動につながったり、家のそばで突然ヒグマが出没するような事態になった時に落ち着いた行動につながると考えているからです。
網走市農林課の佐藤課長は、「私たちはクマのことを理解せずに騒いでいることが多いですが、北海道にいる以上はクマの気持ちや行動を理解しなければならないと思う。市民を含めてみんなで勉強して安全に過ごせるようにしていきたい」と話しています。


【広域連携が必要】
ヒグマは、年間、数十キロから数百キロを移動し、周囲の森林から市街地に入り込むため、完全な行動把握はひとつの自治体では手に負えません。網走市では隣町の大空町とも協力しながら調査を継続する方針で、市街地に出没するヒグマ対策には広域的な自治体の連携が求められています。

(北見放送局 五十嵐菜希記者)


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