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WEBニュース特集 人口減少で病院があまる

北海道WEBニュース特集

2018年9月19日(水)午前11時58分 更新

道内の都市の多くが直面する人口減少の影響が地域の医療にも及んでいます。 地方都市は、医療機関が不足していると思いがちですが、実は、人口の減少にともなって病院が余剰になるケースが出てきています。 人口が減る、そして患者が減る、そうした現実にきちんと対処しないといずれ病院はつぶれて無くなってしまうというのが、地方都市が直面している現実です。 人口減少による地域医療の問題。解決に向けた動きが道内で最も進んでいる室蘭市のケースを取材しました。 

【人口半減、歯止めもかからず】

室蘭市は、道内の主要な都市の中でも人口減少が激しく進んでいます。1970年ごろをピークに市の人口は右下がりに減少。現在は8万4500人あまりとピーク時の半分です。さらに2040年には今よりも2万人以上減ると予測されています。

【患者も減りベッドの空き増】

室蘭市内にはそれぞれ20以上の診療科を備える市立室蘭総合病院、日鋼記念病院、それに製鉄記念室蘭病院の3つの総合病院がありますが、人口減少に伴って患者の数が減っています。

3病院の1年間の入院患者の延べ人数は、2010年はおよそ35万人でしたが、2014年には2万人以上少なくなっています。3つの総合病院のベッド数はあわせて1000を超えます。1年間にのべ38万8000人余りを受け入れることができます。これを2014年の入院患者の合計と比べると1日あたり168のベッドが空いていたことがわかります。

【患者減で医師確保も困難に】

医師の採用にも支障を来しています。3つの病院はいずれも23から24の診療科を備え、7割の診療科が重複しています。患者が3つの病院に分散するので症例数が少なくなり、医師の確保の面で不利になっているといいます。
たとえば若い研修医の場合、数多くの症例を見ないと認定医とか専門医の資格が取れません。その結果症例数が少ない病院は敬遠されてしまいます。

室蘭市医師会 野尻秀一会長

常勤の医師が1人も確保できない診療科も出てきました。遠くに住む非常勤の医師が、限られた日時に訪れるだけでは、急患を受け入れることも困難になっています。

【共倒れ回避へ議論開始も・・・】

目の前に迫る事態をこのまま見過ごせばいずれ共倒れしかねないとの共通した認識のもと、3つの病院を再編・統合するための検討会が去年11月に始まりました。半年あまり議論が続きましたがまとまりませんでした。なぜまとまらないのか?問題は、不採算な部門をどこがどのように受け持つかということでした。

【赤字を民間が納得するか】

たとえば、市立室蘭総合病院には結核専門の病棟がありますが、1日平均の入院患者は3人ほどで赤字になっています。精神病棟も赤字で、市立室蘭総合病院は、ここ数年は、年間1億円から3億円あまりの赤字を出しています。
市立室蘭総合病院が不採算な部門を受け持っている一方で、民間の2つの病院の経営は黒字です。

市立室蘭総合病院の結核専門病棟

3病院の再編議論に参加している室蘭市医師会の野尻秀一会長は、市立病院の赤字をどうするのか、皆が納得できるまで議論することが必要だと話し、民間病院のうちの一つ、製鉄記念室蘭病院の前田征洋病院長は、「不採算だからやめるというわけにはいかない。維持するためにはどういう組み合わせが必要なのか、話し合う必要がある」と指摘しています。

製鉄記念室蘭病院 前田征洋病院長

室蘭の病院の再編・統合問題を巡っては、ことし9月から議論が再開されます。再編・統合に向けた課題を洗い出して、地域住民のニーズにしっかりと応えられる病院を作ってほしいと思います。

(2018年8月28日放送)

室蘭放送局 種川次郎記者


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