NHK札幌放送局

樺太・千島戦争体験の絵(1)地上戦の記憶

樺太・千島戦争体験の絵

2018年8月14日(火)午後3時00分 更新

終戦直後の樺太。 13歳の少年は北海道へ渡ろうと 満員の列車に飛び乗り 南部の港を目指した。 しかし、 少年を待ち受けていたのは ソビエト軍の銃撃と 激戦地の凄惨な光景だった。

兵士たちは列車に向けて銃撃を始めた

絵を描いた千葉県習志野市の吉田順平さん(85)は昭和20年8月20日、住んでいた塔路を出て、北海道へ向かう船が出港する大泊に向かうため満員の列車に乗っていた。

13歳の吉田少年を待ち受けていたのはソビエト軍の銃撃と激戦地の凄惨な光景だった

列車が途中の真岡駅を発車した直後、「ドーン」という腹に響く音が聞こえた。ソビエト軍の艦砲射撃だった。窓の外に見えたのは、海から近づく軍艦、そして船から浜に上陸する銃を持った兵士の姿だった。兵士たちは列車に向けて銃撃を始めた。吉田さんはとっさに手持ちの毛布を頭からかぶった。弾を防ぐことができないことは分かっていたが、その時は弾をよけようと必死だった。吉田さんは毛布の隙間から辺りをうかがった。

通路を隔てた反対側の席に座っていた女性は顔を両手で覆い、その指の間からは血がぼとぼとと流れていた。その向かいの席では、小さな子どもが母親の足に抱きつきながら、恐怖でぶるぶると震えていた。車内にはケガをした人のうめき声や、お経を唱える人の声が響いた。銃撃を受けた列車は速度を落とし、やがて停車した。

みんなうつぶせのまま倒れ息絶えていた

けがのなかった吉田さんは列車の窓から飛び出した。そこから港のある大泊までは距離にして40キロだった。吉田さんは途中まで行ったものの、町は人であふれているとの話を聞き、途中で引き返した。

その途中の峠道で、吉田さんは忘れることのできない光景を目にした。道に散乱する空の薬莢、そして、日本軍やソビエト軍の兵士たちの死体。みんなうつぶせのまま倒れ息絶えていた。

吉田さんが足を踏み入れたのは樺太の激戦地の1つ「熊笹峠」だった。

「戦争って人殺し」

銃撃の現場、そして地上戦の生々しい爪痕を目撃した吉田さん。戦場と化したふるさと樺太の記憶をときどき思い返す。

やっぱり生まれ育ったところだから、本当に忘れがたい。

これまで自らの戦争体験を積極的に話してはこなかった吉田さんだが、樺太の戦争体験があまり語られていないと感じ、今回、絵を描くことにした。

戦争って人殺しだから、絶対やっちゃいけない

吉田さんは力を込めて語った。

※動画はこちらでご覧いただけます。

(2018年8月13日放送)

#樺太千島戦争体験の絵

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