NHK札幌放送局

内藤大助の大冒険 アラスカ 大氷壁に挑む

NHK北海道

2019年2月15日(金)午後6時16分 更新

元ボクシング世界王者、内藤大助さんが、壮大な自然に挑む冒険シリーズ。今回の舞台は北米のラストフロンティア、アラスカ。広大な氷河の迷宮を大冒険します!
氷河の旅は試練の連続。行きつく先は神秘の絶景。なぜ人は氷河に行くのか?内藤大助の大冒険が始まります!!

アンカレッジから氷河へ

大自然を求めて世界中から旅行者が訪れる、アラスカ州南部の町、アンカレッジ。目玉は何と言っても、周辺に点在する巨大氷河です。
内藤さんがアンカレッジを訪れたのは、7月上旬の夏。ガイドのベッカさんと待ち合わせ、氷河を求めて北東へ200キロ移動します。

「あれ~あそこ行くのか?」
「いや~すごいね。」

「これがマタヌスカ氷河よ。目指すはグランドキャニオンと呼ばれる谷。そこにはとても巨大な氷壁があって登ることができるわ。」(ベッカさん)

6日分の食料、テントや寝袋、全部自分で運ばなければいけません。荷物が重すぎると事故につながります。

内藤さんの荷物は19.5kg。約20kgのバックパックを背負って歩くことになりました。

いよいよ旅の出発点へ!

氷河にはヘリコプターで移動します。

下に流れるのは氷河がとけてできた川。氷河の地形は変わりやすいため、着陸場所は熟練パイロットの判断で決まります。

「いや~すごい、これが氷河。うわ~しょっぱくない。」
「うわ~ツメタそう、これは何万年前の水になるんだ?これは。」
「何万年前の氷ですか?ふふふ。」

ここが旅の出発地点。ヘリコプターが戻ってくるのは6日後です。

今回のルートは、およそ10キロ、6日間の行程。途中に巨大な崖や垂直の壁など様々な難所が立ちはだかります。そして、最終目的地であるグランドキャニオンと呼ばれる谷で、高さ20メートルの大氷壁を登り切るとゴールです。

内藤さんにとって、氷河を歩くのは初めての経験。ベッカさんが坂の登り方を教えてくれました。

「登り坂ではつま先の爪を使うの。斜面にまっすぐ刺して登るのよ。」(ベッカさん)

20kg以上の荷物を背負って坂を登るのは、氷河でなくとも体に大きな負担がかかります。氷河では、わずか2本の爪で100kg近くの重量を支えるので、バランスを崩しやすく転倒の恐れもあります。

「うわ!すげ~」

奥に続くマタヌスカ氷河。幅6キロ、全長43キロもの長さがあります。かつて氷河は、地球の大部分を覆っていました。数万年前の景色が今でも残っているのです。

巨大氷壁を降りる

2日目。内藤さんたちは、谷を降りて反対側の氷河に渡る準備をします。挑戦するのは、高さ20メートルの巨大な氷壁です。

「まじか。これダメだろう。断崖絶壁とはこのことだ。」
「いや正直こんなに怖いとは思わなかった。」
「これ、下向いたらいけないパターンだな。」

足を常に壁と垂直にしなければいけません。足が壁から離れると、体が回転してぶつかってしまう危険性があります。

「腹筋も使う。腕の力もいるねこれ。」
「これはしんどいぞ。足もつかれる。」
「そう簡単には降ろしてくんないな。」

内藤さん、苦しみながらもついにフィニッシュ!

「よくやったわ!」(ベッカさん)

「ベリーベリータイアード(とっても疲れたよ)。」
「こんなに難しいとは思わなかった。あー、腰も痛いし。」

青の洞窟

無事に谷を降り、先に進む内藤さん。ベッカさんの指差すほうを見ると・・・

「何これ洞窟?カマクラ?おー!でけ~」
「なんで穴があいてるの?」

実はこの穴、水が作ったもの。水が穴を削りながらどんどん広がって、さらに氷河全体が長い年月をかけて横にねじ曲がり、横穴になったそうです。

「うわ~、きれいだな~。」

数百年かけ圧縮されてできた氷河は透明度が高くなります。その氷は太陽光の青色を反射しやすいので、幻想的に青く輝くのです。

洞窟の入り口を登る

ベッカさんにうながされ、洞窟の入り口、高さ10メートルの氷の壁を登ることになった内藤さん。アイスクライミングは初挑戦です。ここを登り切れるかどうかが旅の分かれ目。
特に後半にあるオーバーハング(壁が手前にせり出した部分)を攻略できるかがポイントとなります。壁が90度よりほんのわずか手前に傾くだけで、60kgの体重が腕にかかるのです。

「こんなとこどうやって登れって言うんだ。」

初心者が挑戦するレベルの壁ではありません。普通なら、腕の力が限界に達し動けないはず、とベッカさんはいいます。
鍛え抜かれた腕や肩など、人並はずれた身体能力がある内藤さんだからこそ登れるのです。

「見えた!ゴールのカラビナ、見えた!」

「よくやったわ。初めてなのに、ほんと良かったわよ。あなたもこれでアイスクライマーよ!」(ベッカさん)

クライミングの力を認められた内藤さん。グランドキャニオンに一歩近づきました。

氷河に魅せられて

その日の夜、ベッカさんが氷河について話してくれました。

「氷河はとても特別な存在。ゆっくりと流れる川に見える時もあれば、速く動く巨岩にも見える。ガイドとしては大変よ。見せたいものがあってもいつの間にか無くなっているし、まったく別の新しいものが現れて、いったい何なのこれ!って興奮しっぱなし。ここに来ると毎回そんな感動に出会える、世界でこんな素敵な場所はなかなか無いと思うわ。」(ベッカさん)

氷河は、人の力の及ばない自然の世界。なぜベッカさんがここに来るのか、少しだけ分かった気がする内藤さんでした。

この旅、最大の危機

グランドキャニオンまであと1日の距離までやって来た内藤さん、ここまで20kgの重い荷物を背負い、険しい地形の氷河を5日間にわたって歩き続けてきました。次第に、足のふんばりが利かなくなってきます。

「あぶねーあぶねー」

転ぶことも多くなり、そのたびに身体を痛めてきました。
そしてついに、この旅で最大の危機を迎えてしまいます。

「あー、あー!」
「はああ、チクショー!」

転倒し、右足に痛みがあるといいます。緊急医療の資格を持っているベッカさんが、旅を続けられるかどうか判断することに。

「グキいったんですよ。でも大丈夫、そんなんでもないと思うよ。」

「彼の荷物を軽くしよう。それで様子を見るわ。」(ベッカさん)

しかし、重量を減らそうというスタッフの提案を、内藤さんは強く拒みます。

「大丈夫、大丈夫、もしキツイようだったら言うって。」
「これで迷惑かかるようだったら、ちゃんと減らしてってやっぱ言うから。」
「うん、ちょっと減らしたくない自分がいる。ごめんな。」

ちょうど1年前。カナダでのトレッキングの最中、とつぜん背中を激痛に襲われ緊急搬送された内藤さん。ゴールまであとわずかのところでリタイアとなってしまった、その悔しさをずっと抱えていました。

(2017年放送 「黄金のラストフロンティア」 より)

「もう本当ね、ほんとドキドキする。俺あのトレッキングの回、あれ(リタイア)やっちゃったでしょ?だからね、もう迷惑かけたくないの。ほんと迷惑かけたくないの。ごめん。安心させられない自分がいるんだ。ほんとに、申し訳ないわ。」

結局この日はひとまず用心のため荷物を減らし、翌日大丈夫そうだったらまた戻すという妥協案で、内藤さんはスタッフの説得に応じてくれました。

絶対にゴールする。強い思いで今回の大冒険に臨んだ、内藤さんのリベンジマッチです。

決戦!グランドキャニオン

ついに最終目的地、グランドキャニオンの上に到着。

「この辺りでは一番深い谷よ。自分の目で確かめて。」(ベッカさん)

「これダメだろう~、わ~!」
「大丈夫かこれ、グランドキャニオンだよまさしく。あ~~~」

グランドキャニオンとは、数百年の氷河活動で形作られた、神秘の谷。
内藤さんが登るのは、ビル7階の高さに匹敵する20メートルの大氷壁です。最初に挑戦した氷の洞窟の2倍、オーバーハングも2か所あります。

「なんか、テレビとか映画でしか見たことないな、こういうの。」
「でもこれ、テレビショーでしょ(笑)」(ベッカさん)
「(笑)まさか自分がやるとはな・・・」

6日間の氷河の旅。泣いても笑っても、これで最後です。

「最後に一つだけ。楽しむことを忘れないで。」(ベッカさん)

「ヤー、アイムハッピー(ワクワクするよ)!」

いよいよ、決戦です。谷底の氷はもろくて崩れやすい性質をもっています。まずは一つ目のオーバーハング。

「あ、これ難しい。」
「ワーオ!ワーオ!」
「よしゃー!」

オーバーハングで腕の力を使ってしまいました。残りはまだ15メートル。

「は、わー、くそ!」
「マジか。負けっか。」

2つ目のオーバーハングです。氷の壁が頭上にせり出しています。スタート地点から15メートル、ビル5階ほどの位置まできました。

「もしかしたら落ちるかもってシーンあったもん、自分のなかで。諦めたら落ちるのね。諦めたらだめ。落ちてから言えと。あー、落ちちゃったなって。あ、落ちるかもしれない、落ちちゃおう、じゃダメなんだよね。」

「ボクシングと一緒よ。1から11ラウンド、全てのラウンドとってても、残り10秒あれば負けるんだから。最終ラウンドのゴングが鳴るまで、勝負だから。」

フィニッシュ!グランドキャニオンの大氷壁を登り切りました!

「ハハハ、力が入んねえ~」
「いや~、ヤッター!びっくりした。やっぱり疲れるね。」
「でもね、すごい楽しかった。これは楽しいよ!分かるわ!!」

「なぜ人は氷河に行くのか、考えてみたの。それは、自分の限界に挑戦でき、乗り越えた先に新しい世界が待っているからよ。本当に難しいことをやり遂げたダイスケを誇りに思う。厳しい環境の中で彼の笑顔に何度助けられたかわからないわ。」(ベッカさん)

グランドキャニオンに勝利した内藤さんに、最後のご褒美!

ウイスキー・オン・ザ・ロック。もちろん氷河の氷です。

「うめ~~!」

内藤大助の大冒険。次はどこに?

2018年12月15日放送
内藤大助の大冒険
「アラスカ 大氷壁に挑む」より

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