NHK札幌放送局

WEBニュース特集 違法薬物の密輸を防げ! ~対策最前線に密着~

北海道WEBニュース特集

2019年7月11日(木)午後2時30分 更新

俳優でミュージシャンのピエール瀧元被告。人気アイドルグループ「KAT-TUN」の元メンバー、田口淳之介被告。芸能人の相次ぐ検挙で、違法薬物の問題が再び注目されています。芸能人だけではありません。最近は主婦やサラリーマン、学生など一般の人にまで薬物の使用が広がりつつあります。
こうした中で増えているのが密輸です。全国の税関が去年、摘発した密輸の件数は886件と前の年より13%増加。押収した違法薬物は、覚醒剤を中心に3年連続で1トンを超えました。
道内でも去年、新千歳空港で10件の密輸が摘発され、過去5年で最も多くなりました。背景には、新千歳空港から入国する外国人の急増に加え、規制が緩い東南アジアを経由する便が増えたことがあり、税関は検査態勢の強化を余儀なくされています。
こうした中でどのように対策を進めているのか、新千歳空港で税関の検査の現場に密着しました。 
                            (2019年7月9日 放送)

【不審な人物を見極めろ】

新千歳空港の国際線ターミナル。ここで警戒にあたるのは、函館税関千歳税関支署です。職員はおよそ90人。この人数で、1日あたり5000件を超える手荷物などを検査します。

空港に荷物が到着すると、まず人の1億倍の嗅覚を持つとされる麻薬探知犬が出動。薬物独特の匂いがないか、すべての荷物を嗅ぎ分けます。続いて、入国審査を終えた乗客を職員が1人1人チェックし、不審な人物がいれば、荷物の中身を詳しく調べます。密輸で最近目立つのは、スーツケースなどに細工をしたり、カップラーメンなど食品の容器の中に隠したりする手口です。職員は荷物だけでなく、薬物常習者特有の言動にも注目するといいます。
千歳税関支署の塩野谷佳幸統括監視官は「目が血走っていたり、季節にそぐわない服装をしているケースが多い。夏で暑いはずなのに上着を着ているとか、汗をかいても上着を脱がないとか。10人中1人くらいの割合で少し違う印象の乗客がいるので、そういった乗客を中心に検査を行っています」と話していました。

【1億8000万円分を密輸】

去年12月、ここで覚醒剤3キロあまり、末端の密売価格でおよそ1億8000万円分を密輸しようとしたとして、カナダ人の男が起訴されました。男はカンボジアの空港から韓国経由で到着。当時、東南アジアからの密輸が相次いでいたことから警戒していたといいます。ボストンバッグの中からは、覚醒剤が入った袋、あわせて10袋が見つかりました。また、ことし2月に摘発されたマレーシア人の男は、スーツケースの内側に縫い付けられたポケットの中に、覚醒剤400グラムあまりを隠し持っていました。

【密輸に関与の人物発見?】

そして、取材したこの日も、麻薬探知犬が反応した荷物がありました。持ち主は、中国の北京から到着したフランス人の男性です。別室に連れて行かれ、ボディチェックを受けました。男性は、違法薬物の所持を否定したということです。この間、職員が荷物のX線検査を行い、中身を1つ1つ調べました。

さらに、荷物を専用の紙で拭き取り、特殊な機械にかけます。麻薬や爆発物などの微量の粒子も検出できるというこの機械。結果を尋ねると・・・。「今回は非探知ということで、麻薬、爆発物の反応はありませんでした」(千歳税関支署 塩野谷佳幸統括監視官) 結局、男性は問題なし。こうして詳しく調べるケースは1日に2、3件あり、中には海外で薬物を使用して入国したというケースもあるということです。

【『いたちごっこ』続く】

一方、密輸の手口は年々巧妙化。最近では、薬品を加えると覚醒剤に変化する液体まで登場しています。

税関は去年12月、こうした液体を検査できる最新の機器も導入しました。しかし、対策はいたちごっこの状態が続いているといいます。千歳税関支署の塩野谷統括監視官は、「1つ見つかるとまたすぐに新しい手口という形でどんどん変わっているのが現状です。傾向分析を行いつつ、乗客1人1人の丁寧な検査を心がけるしかない」と話していました。

【水際と末端 両輪の対策を】

いたちごっこの状態をどうすれば解消できるのか。最新機器の導入には限界がある中、千歳税関支署では、不審な人物を見逃さないよう、さまざまな情報を分析することで対応しています。国籍や経由地はもちろん、航空券を購入したタイミングなどの細かい情報を総合的に判断して検査の対象者を絞り込んでいるのです。税関では、この5年間で職員を2倍近くに増やしましたが、入国者が増え続ける中、ギリギリの態勢だと話していました。
一方、忘れてはならないのが、密輸された違法な薬物を使う人たちです。かつては密売人などと接点をもたなければなりませんでしたが、今はインターネットの闇サイトやSNSを通じて比較的簡単に入手できます。違法薬物に手を染める人が今後、さらに増えるおそれがあるのです。
水際で密輸を食い止めることと、末端の薬物乱用を防ぐこと。この両輪で対策を急がなければなりません。

(札幌局 有水崇記者)

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