先輩たちの仕事

映像で語れることは何なのか
自分の感性が日々試されている

映像制作とは
映像制作 報道局 映像制作部 中野 貴世 (2009年入局)

授業で体験した「編集」に魅力を感じた

大学の授業で10分のショートドキュメンタリーを制作する授業がありました。大学の横にあるお寺の境内で月に1度開かれる手作り市に密着しました。アポイントを取って、インタビューして、撮影して、編集する。全てが初めての体験でした。自分たちが取材・撮影した映像を最終的に作品に仕上げていく「編集」に一番苦労しましたが、そこに無限の可能性と魅力を感じました。
就職活動をする中で、NHKの説明会で「編集」に特化した職種があると知りました。映像という観点から、世の中で起きているあらゆる事象を伝えられる仕事はこれしかない!と思い、NHKを志望しました。

企画提案や取材もした宮崎放送局

初任地は宮崎放送局です。大学で編集をやったといっても、実際は何もわかりませんでした。いきなり「やってごらん」と言われ、なんとか繋いでみたら、「これだとまだ放送には出せないね」と。先輩が繋ぎ直すと、やっぱり全然違う。ニュース独特のノウハウなどもあって、先輩に教えてもらいながら仕事をおぼえていきました。
日々のニュースを編集することはもちろん、企画提案や取材も積極的に行いました。野生の馬を追いかけたり、漁船に乗ってデジカメ撮影をしたり、動物園のカンガルーのお見合いを見つめたり、宮崎に来たアーティストに密着したり、興味のおもむくままに取材しました。いきなり取材依頼した先で、店主のおじさんが「飛び込み営業の時には、まず名刺をこうやって出してね…」と、社会人としての常識を教えてくれたこともあり、良い思い出となっています。

ニュースは放送ギリギリまで勝負!

現在は、「ニュース7」や「ニュースウオッチ9」などのニュース番組を制作しています。例えば「ニュース7」なら、昼過ぎに今日取り上げるニュースを編責が決めます。ニュース毎にチーフディレクター、編集者、担当の制作記者が割り当てられます。編集担当者はチーフディレクターと議論し、ニュースの伝え方について、大きな流れを決めます。今ある素材や資料映像などを集めておいて、追加の取材映像が伝送されるのを待ちます。
でも、5時になっても来ないときもあります。来たらすぐ編集して、最初の試写をするのが6時ぐらい。ニュース項目の長さに合わせて切ったり足したりして、放送ギリギリにできあがります。最後の1時間が勝負になることも。「ニュースウオッチ9」だと放送が2時間後なので、もう少し作り込んだ企画が多いです。
映像で語れることは何なのかや、ニュースの構成、映像表現方法など、「編集」だけでなく「映像ディレクター」としての実力が日々試されていると思います。

映像には編集マンの感性がもろに出る

例えば、阪神淡路大震災や東日本大震災関連のニュース。悲しむ人の顔だけでなく、それでもがんばろうという気持ちを取材映像から感じとって構成する。編集された映像は編集マンの感性がもろに出ます。何をニュースとして伝えるのか、そのことは常に考えています。編集マンは映像ベースで構成を考えています。この構成だと、ここに無理があるとか、これだけでは伝わらないのではと、試写をしながら話し合って解決策を探ります。
海外でのスポーツ大会や国際ニュースの大きなイベントの際には現地に行き、現場での編集や東京に映像を伝送するオペレーションもあります。緊張感はありますが、機材の知識や語学なども学び続けることができますし、国外に出ることで視野を広げることにもつながっています。

私のリアルとは

ニュース映像は究極のリアルだと思いがちですが、映像制作者として10年たった今、それだけがリアルだと思わないことが大事なのではないかと感じています。映像に写っていなくても、その人には感情があり生活があり家族がいる。それこそがリアルです。映像に写る事象の奥にある、ひとつひとつの物語へ思いをはせることが、映像制作者として大切なことだと思います。