先輩たちの仕事

大型フレキシブルディスプレーで
壁一面テレビを実現したい

技術(放送技術研究)とは
技術(放送技術研究)新機能デバイス 宮川 幹司 (2015年入局)

電機メーカーからキャリア採用で入局

「自分の作ったデバイスで世の中をあっと驚かせたい」、「生活が豊かになる新しい技術を生み出したい」、という思いが学生のころからありました。学生時代は半導体物性の研究室に所属し、有機材料を使った半導体の研究にひたむきに取り組みました。卒業後、ものづくりがしたくて電機メーカーに就職。テレビ用ディスプレーの研究をしていました。ものづくりも楽しかったのですが、一方で、ディスプレーに映る映像を見るうちに、より基礎的なデバイスの研究にも取り組んでみたいと思うようになりました。
最先端の放送技術およびサービスの研究を進めているNHK放送技術研究所(技研)は、放送の制作現場と常に協力しながら新しい技術を生み出している世界的にも珍しい研究所です。放送は日々の生活と密接に関係しています。その放送を映し出す「新たなデバイス」を生み出すことができれば、非常にやりがいのある大きな仕事ができる、という思いでNHKを志望しました。

海外派遣で大いに刺激を受ける

メディア環境が大きく変化する中で、放送技術も大きな変革の時を迎えています。入局4年目に、「新しい放送サービスの創造につながる、研究の核となるテーマをより広い視野に立って探索したい」という思いでNHK内の海外派遣制度に応募し、アメリカのスタンフォード大学で半年間、デバイス技術を学んできました。
ここでは自分の研究テーマから少し離れ、米国の大学で研究室の一員となって、最先端のデバイス研究に携わりました。半導体デバイスを作製するには、手間のかかるプロセスを一つ一つ積み重ね、研究室のメンバーと協力してようやく完成します。苦労して作ったデバイスで、求めていた特性が得られた時には、大きな喜びにあふれました。
研究室は「Nature」など著名な学術誌に次々と発表するような所で、研究を通じて、技術的な点で学ぶことはたくさんありましたが、それ以上に研究に取り組む姿勢や熱意は、参考になる点が多々あり、自分自身を振り返る上で、よい転機となりました。また海外での生活においても、さまざまな経験ができ、人としても一回り成長できたと実感しています。

大画面フレキシブルディスプレーの開発

現在は、丸めて持ち運びができ、どこでも見たいときに広げて使えるような、「大画面フレキシブルディスプレー」を印刷で作る塗布形成技術の研究に取り組んでいます。フレキシブルディスプレーはプラスチックフィルムのような柔らかい材料を基板に用いることで実現可能な、薄くて軽いディスプレーです。さらに、半導体のインク(液体材料)を用いて作製することで、より簡単に、素早く、大画面テレビをつくることができるようになります。
いつか、スクリーンのように壁一面に貼ることのできるテレビを実現したいと考えています。ディスプレーは視聴者の方と一番近い接点です。放送の見せ方が変われば、人々の暮らしも変わるかも知れない。そういう意味ではインパクトの大きなデバイスだと思っています。これまでのさまざまな経験を生かしながら、放送の進歩を夢見て、デバイス研究を進めています。

20年、30年先を見据えた研究ができる

NHK技研の魅力は、さまざまな職種、専門性を持った人が集まっているところです。放送技術の研究という点だけ見ても、カバーする領域は多岐にわたり、デバイス研究のみならず、伝送技術、放送通信連携技術、番組制作技術など、放送に関する技術研究を幅広く行っています。このような幅広い専門家集団が集まっていること自体、とても恵まれていますし、NHK技研の強みだと思います。
また、メーカーなどでは20年、30年後を考えて仕事をすることは現実的になかなか難しいと思います。NHK技研では、誰もが利用できる放送サービスを実現するため、基礎的なデバイス研究から新しい放送技術の開発・応用まで、さまざまにチャレンジできる環境があります。

私のリアルとは

研究を進めている中では、実験結果がすべて。試行錯誤しながら進めても、多くの場合、失敗ばかりというのが「リアル」です。でも、日々、失敗の連続ですが、それを乗り越えて粘り強く実験し、結果を得られた時が何よりも嬉しい瞬間です。