先輩たちの仕事

多くの人が訪れる地域放送局や
最新の音響スタジオの建設に携われる

技術(建築技術)とは
技術(建築技術) 技術局 建築施設部 松尾 彩花 (2012年入局)

テレビの世界で建築の知識が活かせる

大学時代は建築計画を専攻しました。建物内での人の行動や、空間が与える印象評価などを勉強しました。大学の同期は設計事務所やゼネコンに勤める人が多く、私も最初はハウスメーカーを受けていました。NHKに建築の仕事があることは全く知りませんでした。大学のホームページでたまたま知り、もともとテレビが好きでNHKを見て育ったので、建築の知識を活かしてテレビ局で働けるなんて良いなと思って応募しました。
また、全国にある地域放送局の建設にも携われると聞き、地域の皆さんが訪れる放送局を作るのは面白そうな仕事だと思いました。
今でも友達から「ドラマのセット作っているの?」と聞かれます。そんなときは「ドラマのセットを置くスタジオを作っているよ」って答えています。

私の設計した奄美の小さな放送所

最初に任された仕事は、奄美諸島の喜界島にある放送所の新築設計・工事管理でした。放送所は電波を出すための施設で、通常は無人です。経験のために一から建物の図面を作りました。最初は「なんだ無人の施設か」と思いました。しかし、電波を送るという大事な役割を持った施設です。全国各地にある放送所は、地域特性にあわせて細かい工夫があります。雨水で漏水しないように、塩害でサビないようになど、放送に影響を出さないための小さな知恵がたくさん詰まっているのです。
コンパクトでありながら機能性も必要です。長く使えるように、メンテナンスがしやすいように。放送設備や電源設備の知識も必要なので苦労しました。上司や現場の方々に指導してもらいながら無事に放送所が完成し、その放送所から送出されたラジオ番組を聞いたときの喜びは今でも忘れられません。

22.2chの最新の音響スタジオを設計

現在は音響の編集スタジオの設計を担当しています。スタジオ内できれいに音が聞こえることはもちろん、外からの音をどう防ぐかという遮音も大切になります。大学時代はアマチュアオーケストラに所属していたので、音楽には興味がありましたが、音響の勉強はしたことがありません。新たに勉強して、現場経験を積んでいるところです。
今まさに担当しているのは、22.2chの音響スタジオです。24個のスピーカーを配置するには、2層吹抜の大きなスペースが必要です。それを新たな試みとして1層分の高さで設計しています。スピーカーをパズルのように配置して、配線なども工夫しなくてはいけないので苦労しています。NHKにはプロフェッショナルがたくさんいるので、簡単に妥協することはできません。今できる最善のものを作ろうと努力しています。

図面を書くよりも人との交渉がメイン

建築技術というと、図面を書く仕事がメインと思われるかもしれませんが、人との交渉が多い仕事です。交渉するための土台として、自分で図面を書いて知識をつけます。その上で、設計事務所や施工業者、NHKの現場サイドと詳細に打合せして、調整・判断を重ねていきます。
最近では、金沢放送局の新会館を担当しました。現場サイドの要望をまとめて建物のレイアウトやスタジオの仕様を検討したり、設計事務所や施工業者と建物の詳細部について打合せをしたりします。だんだんメイン担当を任されるようになり、金沢には頻繁に通いました。これからも地域の皆さんに親しまれ続ける放送局になればと思います。
現在は、東京オリンピック・パラリンピック関連の施設や渋谷の放送センター建替にも携わるようになり、業務の幅が広がってきています。

私のリアルとは

私にとってリアルとは、公私問わず多くの方々に意見やアドバイスをいただきつつ、最終的には自ら選択・判断をしていくことです。各分野のプロフェッショナルたちと仕事をしていますが、私も建築を専門とする者として、「しっかりやらなくちゃ」といつも気を引き締めています。