宮﨑 大寿 背景

宮﨑 大寿 「ダイレクトに視聴者とふれあえるのが、イベントのやりがい」 放送管理・営業企画(放送管理) 宮﨑 大寿

この記事は2013年に取材し、所属も当時のものです

プロフィール

平成16年入局。初任地の宇都宮局で編成や事業に携わった後、名古屋局事業部へ。平成24年より東京の視聴者事業局事業部。

仕事の内容

事業部の中で「教育・こども」班というグループに所属し、主に学校・生徒・児童向け、さらにファミリー向けのイベントに携わっています。「NHK全国学校音楽コンクール」や、「NHK放送体験クラブ」、「おかあさんといっしょファミリーコンサート」などを担当しています。

自ら企画したイベントが成功して一人ガッツポーズした初任地

高校では文化祭の実行委員、大学時代はサークルの中で「企画」担当をやっていました。自分の考えたこと、企画したことで参加者が笑顔になってくれるのが非常にうれしかったです。イベントを仕事にできたら、そんな気持ちをずっと味わい続けられると思ったことがNHKの放送管理を志望した大きな理由の一つです。
初任地の宇都宮局で入局3年目に、ボロボロの状態から復元された、スクエアピアノと呼ばれる古いピアノのコンサートを企画しました。きっかけは、宇都宮局が制作した番組でした。学校の音楽教育の普及を目指し1875年に輸入され、日本に初めて西洋音楽を伝えたとされるピアノを栃木県にいる修復家が苦労して修復する話でした。貴重なピアノが鳴るようになるのなら、そのピアノを使ってコンサートを開き、100年以上前の音色をお客様に楽しんでいただくことができないだろうかと思ったのです。
そこからが大変でした。企画書を書いて、ピアノの借用交渉をしたり、輸送や展示の方法を考えたり、歴史考証の裏付けを検証したり。コンサートの出演者は誰が良いか、現代のピアノとの弾き比べをしてはどうか、修復中の映像の活用方法はないか、修復家や音楽史の専門家を当日会場に迎えてお話を聞いてみようなど、演出についていろいろ考えました。何日も悩むこともありましたが、たくさんの人に助けられてなんとか本番を迎えることができました。戦災などを乗り越えて、一時はボロボロになった100年以上前のピアノの音色が会場に響きお客様が静かに歓声を上げた時や、一番の見せ場で客席が自分の狙い通りにどよめいた時、それに終演後に一人でアンケートを読みながらガッツポーズをした時のことは、忘れられない思い出です。

「NHK全国学校音楽コンクール」の当日

NHKのイベントは、番組作りのためそして視聴者のために

なぜNHKがさまざまなイベントを行うのかというと、まず第一は番組作りのためです。例えば、「NHKのど自慢」は視聴者参加番組で、会場では一般のお客様が観覧しています。視聴者参加番組と言うイベントだから、人前で歌う真剣な表情や家族が応援する姿などを撮影できます。スタジオ収録ではあのような番組は作れません。
そして、第二は視聴者サービスのためです。イベントは実際に視聴者の方と接することのできる貴重なチャンスです。番組を広報するイベントや、受信料を払ってくださっている方への感謝を込めたファミリーイベントなどを行っています。
イベント担当者はカメラも、照明も、音響も、演出もできません。でもNHKにはいろいろなスペシャリストがいます。こんな風に撮影して欲しい、こんな風に照明をあてて欲しいと頼めば、プロが手助けしてくれます。僕の夢を現実にしてくれる人がいっぱいいます。頼りがいがあるし、とても楽しいですね。イベントではダイレクトに視聴者の方とふれあうことができます。自分の意図した演出通りに感動を与えられているか、客席を見ていれば実感できますし、とてもやりがいがあります。

出場する中学生への説明も担当

緊張のリハーサルも舞台そでからサポート

子どもたちと接するイベントはリアクションがストレートで楽しいですね

現在担当しているイベントの一つが、ことし第80回を迎える「NHK全国学校音楽コンクール」。小中学校と高校の生徒を対象とした合唱コンクールです。コンクールはEテレやFMで放送し、インターネットでも動画配信しています。全国規模なので、毎日のように何かしら質問が寄せられますし、参加する学校への連絡や情報のとりまとめなどもすべて行います。さらに案内状を作成したり、賞状を各局に送ったりする事務作業も全国的なイベントを成功させるための大切な仕事です。
小学生に放送局の仕事を楽しみながら学んでもらう「NHK放送体験クラブ」も担当しています。子どもたちに接する仕事は楽しいですね。リアクションはストレートなので、面白ければ思いっきり笑って喜んでくれる。このような仕事ができて、恵まれていると思います。

子どもたちのリアクションを直に感じます

「この企画をなぜNHKでやるのか」を常に意識することが大切

企画は常に考えています。何か思いついたらメモして、上手く育てばいいなと思うことをストックしておきます。イベントはアイデアも大切ですが、時期を捉えないと実現できないことも多いのです。名古屋局にいた頃、名古屋港水族館とコラボレーションしたコンサートを企画しました。生演奏に合わせてイルカがパフォーマンスをし、さらにNHKだからこそ撮影できた美しい映像や珍しい動物たちの映像と重ね合わせることで、より感動的に演出しました。これは当時、名古屋でCOP10と呼ばれる、世界各国の代表が「生物多様性」について話し合う大規模な国際会議があったので、「生物多様性について考えてみよう」というメッセージを込めました。面白いから、やりたいからやるのではなく、「この企画をなぜNHKでやるのか」を常に意識することも大切だと思っています。
一つ一つのイベントに本気で向き合っていると、時としてプライベートの充実につながることもあります。宇都宮局時代、日光自然博物館と一緒にイベントを行ったことをきっかけに解説員の方と親しくなり、その後山登りに誘われて、何度か一緒に登りました。名古屋港水族館のイベントでは水族館の専門家とも知り合いになれて、「今度新しい生物が入るので見に来てください」と誘ってもらいました。普通だったら、こんな風に誘ってもらえないですよね。普通では入れない場所や、見ることができないもの、会えない人、得られない情報に触れることのできるチャンスがたくさんあることも、この仕事の楽しいところだと思います。仕事がきっかけで、興味の範囲が広がり、趣味も増えました。

社内で次回イベントのミーティング

子どもたちの感想文には全て目を通す