生誕の門ガイド | NHKスペシャル 世界遺産 サグラダファミリア 徹底ガイド

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Sagrada Familia

生誕の門ガイド

絶対に見逃せない 生誕の門扉

 

 生誕のファサードの彫刻を堪能したら、いよいよ大聖堂の中へ。と言いたいところですが、ぜひ足を止めて、入り口にあるブロンズ製の色鮮やかな扉に注目してください。

サグラダ・ファミリアの開館後は、扉が開け放たれているため、気づかず通り過ぎる人が多いのですが、この扉こそが、日本人彫刻家・外尾悦郎(そとお・えつろう)さんが作った“生誕の門扉”です。サグラダ・ファミリアのスタッフから“ソトオズ ドアー”と呼ばれています。

 

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ツタとかぼちゃの葉で愛情を表す 

慈悲の門

 

生誕の門の中央、イエスを抱く聖母マリアと夫ヨセフの夫婦像の下の扉には“命のつながり”が描かれています。

 

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“慈悲の門”と名付けられたこの扉を、ツタとカボチャが覆い尽くしています。強い根を張るわけでもなく、どんな場所でも壁の形に合わせて従順に従っていく。風で今にも落ちそうな枝は、もう一つの枝によって支えられている。

 

ツタとカボチャの姿は、「夫婦」の象徴です。

ツタは、「マリアのツタ」と呼ばれているトゲのない種類を外尾さんは彫刻にしました。

 

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さらにここには、カブトムシやカマキリなどの虫たちが遊んでいます。子どもが大好きだったガウディの心を受け継ぎ、世界中の子供たちを喜ばせたいと、外尾悦郎さんは実際に自然の中で虫を観察して製作しました。
じっくり見ていると、仲の良さそうなカップルの虫たちの姿も。

 

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力強さを象徴する葦とアヤメ 

希望の門

 

左手のエジプトへの逃避の場面の下には、“希望の門”と名付けられた扉があります。

 

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描かれているのは、バルセロナのあるカタルーニャ地方に多く生息する「葦(カーニャ)」とアヤメの花。

カーニャは、トマトなど野菜の添え木などに使う農作業には欠かせないものです。川べりに自生し、洪水に流されても、たどり着いた先で根付く強さを持っています。

 

knya.jpg葦(カーニャ)

 

そしてアヤメは、カタルーニャの聖地モンセラットで、年老いた修験者たちが断食し、最期の時間を送る場所で育て愛でていた花です。外尾さんは、希望の象徴だと考えました。


monserat.jpgモンセラット


この門扉は、救世主であり、我が子であるイエスを救うため、エジプトへ向かう砂漠と荒野の中を、希望を捨てずに勇気を持って前へ進んだ、イエスの父ヨセフに捧げられたものです。
ドアが開けられている昼間は見ることができない門扉の裏には、砂漠と荒野の向こうに広がるエジプトの海の魚も描かれています。魚は、キリスト教徒の象徴です。よく見ると日本でおなじみの秋の風物詩の魚にそっくり。外尾さんは、サンマをイメージしたのだとか!?

 

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野バラの花が与える安らぎ 

信仰の門

 

右手のイエス・キリストの青年期が描かれた彫刻の下の扉は、野バラで埋め尽くされています。

 

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“信仰の門”と名付けられた扉。高価なバラではなく、貧しき人たちのために咲く野バラ。聖母マリアを象徴したという野バラにはトゲがなく、蜂や小鳥たちも集まっています。

“信仰の深い人は、心にトゲのないバラの花を咲かせている”外尾さんの言葉です。

外尾さんは、小鳥も虫たちも、さみしがらないようにとつがいで作っています。でも1種類だけ、ひとりぼっちの生き物が!それは昔々、ガウディを刺したあの生き物。ガウディが怒ってつぶしてしまったという「サソリ」です。
外尾さんは、ガウディに嫌われてしまってかわいそうだと思い、扉に描いたそうです。是非、探してみて下さい。

 

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