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佐賀 さよなら デパートのレストラン街 43年の歴史に幕

ニュースただいま佐賀
  • 2023年09月05日

ハンバーグやお子様ランチ。とんかつに、パスタ。
8月最後の日曜日、佐賀で長年にわたって愛されてきたなじみの味に、
大勢の人たちが別れを惜しみました。
(NHK佐賀放送局 藤岡信介 記者)

レストラン街がなくなる

佐賀県唯一のデパート「佐賀玉屋」。
県庁やオフィスの並ぶ、
佐賀市の中心市街地に立地しています。

地域の人たちが、衣料品や食材などの買い物に訪れる
身近な百貨店として親しまれてきました。

レストラン街もまた、この百貨店を彩る存在でした。

ところが、8月下旬。

利用客の減少を理由に、
レストラン街が閉店することが決まったと発表。

徒歩3分の距離で利用者も多かった
NHK佐賀放送局にもショックが走りました。

レストラン街は、
1980年に建てられた南館の7階にあります。

もともと6つの店舗が食事を提供していましたが、
最近では、ファミリー向けのレストランや和食料理店など、
あわせて4つの店舗が営業していました。
 

レストラン街の最後の営業日は、8月27日。

私たちは、この日の朝から現場に密着することにしました。

最後の営業日

8月28日(月)放送のニュースより

最終日の午前10時すぎ。

まだ、レストラン街の飲食店は開店していないにもかかわらず、
すでにフロアの各店舗の前には長い行列ができていました。

1週間ほど前に閉店のお知らせが発表されると、
連日にわたり、多くの客が訪れていたということで、
佐賀玉屋の担当者も
「ここまで賑わうとは想像していなかった」と驚いていました。

ファミリーレストラン

そして、午前11時前。

イタリア料理の「イタリーボン」、
日本料理の「桔梗」、
とんかつの「玉かつ」、
それに「ファミリーレストラン」。

お店がオープンしていくと同時に席が埋まっていきました。
 

食事を味わう人たちにマイクを向けると、
家族で訪れた思い出を聞くことができました。

母親と訪れた女性
レストラン街が閉店するという話をラジオで聞き、
驚いて「本当に閉店するんですか?」って確認の電話をしました。
私が幼少のころからずっと連れてきてもらっていたから、絶対に来るぞと思って。
ここのハンバーグが好きだったんです。

娘と訪れた母親
最後に、娘とよく食べていた「玉屋ランチ」とハンバーグを選びました。
さびしいですね。なくなるのは。

定番の「お子様ランチ」を注文した家族連れは、
最後の営業日に孫と初めて来店したといいます。

祖母
小さい頃に佐賀玉屋のお子様ランチを食べるのが唯一、1か月に1回の楽しみでした。
小さなスパゲッティをフォークでくるくると巻いて食べることを、
レストランで学んだんですよ。
孫が私と同じようにお子様ランチを食べているのを見ると、じーんと思い出しますね。

どの店舗でも、
手作りにこだわってきたという料理の味わいが、
客の心を引きつけていました。

イタリア料理店で順番待ちをしている人の中には
3世代で食事を楽しんできたという人も。

祖母
娘が小学校ぐらいの頃から
夏休みになったらいつもここに来ていました。
パスタやグラタンを喜んで食べていたんです。


母と来た思い出もありますが、
今度は、私の子どもが3人いるんですけど、
母にずっと連れてきてもらっていました。


小さな頃から、
ここのめんたいパスタを食べていました。
ちょっと悲しいけど 
最後に食べられるので、よかったです。

そのイタリア料理店では、
シェフに感謝の花束を贈る人の姿もみられました。

カウンターの上には いくつも花束が

最後に賑わいを見せたレストラン街。

運営してきた福岡市の企業、
「玉屋食品」によりますと、
4つの店の利用客は新型コロナウイルスの
感染拡大の影響で、大幅に減ったということです。

その後、感染が収束に向かう中でも、
客足が回復せず、
以前の7~8割ほどの水準にとどまっていたそうです。

ピークの時間帯を過ぎると、
次第に料理が売り切れていきました。

夕方には順次、閉店

午後3時。

ファミリー向けのレストラン以外の店が
順次、閉店していきました。

フロアからは行列が消えて、
だんだんと人が少なくなりました。

レストランの閉店の間際に訪れた女性は、
料理の見本が並んだショーケースをじっと見つめていました。

食事の感想を尋ねると、
数十年にわたってレストラン街に足を運んだ思い出を、笑顔で語ってくれました。

女性
レストランの料理の中に、天ぷらそばがあるんです。
その天ぷらに、青じそがのっているんですよね。
3歳の孫と一緒に食事に来た時、しその葉は嫌いだろうなと思って、もらったんですよ。
そうしたら、“おばあちゃん 私はそれが好きだった” と言われて、とてもびっくりしました。
家族の思い出のひとつです。

お友達と来た時は、そこの和食のお店に来て、
話しながらおいしく食事を頂いて。

娘たちと来た時は、あそこのパスタ屋さんに行って。

ここは、なじみがあって、ほっとする場所でした。

そして午後5時。

食器などの片付けが終わり、フロアの照明が落とされました。

レストラン街は、
43年の歴史に、静かに幕を下ろしました。

レストラン街の閉店を受けて
「玉屋食品」は、
「誠に残念ですが閉店いたします。
 長い間、ご利用を頂きまして感謝いたします」とコメントしています。

そして、「佐賀玉屋」では、
新たなテナントを探しているということです。

取材後記

年季の入ったレストラン街を眺めていると、
たくさんの記憶が隅々にしみこんでいたように感じました。
訪れた人たちは、食事を楽しみながら、
家族や友人との懐かしい思い出を振り返っているのが伝わってきました。
最後の営業日の食事も、大事な思い出として残ってほしいと思います。

  • 藤岡 信介

    NHK佐賀放送局

    藤岡 信介

    青森、福井、科学文化部を経て2022年から現所属。
    小さい頃、デパートでレモンスカッシュを初めて飲みました。

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