ローカルアイドルも起業! 注目の「福岡モデル」

ざっくり言うと
2019/01/15 NHKジャーナル 福岡ではアイドルも起業! 行政が全力支援
スタートアップ企業を支えるしくみ
地元起業で「支店経済」からの脱却を

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2019/01/15

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2019年1月15日(火)放送より

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福岡市では創業して間もない会社、いわゆる「スタートアップ企業」をさまざまな面から支えて事業を軌道に乗せる取り組みを積極的に行っています。


アイドルが“アイドルの卵”を応援!

私がまず訪ねたのは、創業して1年足らずの福岡市にあるIT企業です。
メンバー12人で運営する会社を立ち上げたのが「せんりたん」こと梅野せんりさん。現役の福岡発ローカルアイドルです。
梅野さんたちの会社では、アイドルの卵たちが自撮りの写真などをネット上で売り買いできるサービスを展開しています。ファンは、お気に入りの写真にコメントをつけたり、お金を支払ってダウンロードしたりすることによって、好きなアイドルを応援。会社はその売り上げの一部を収入として得るというシステムです。来月にはスマホのアプリもリリースする予定です。
自分自身もアイドルとしてもっと売り出していきたいと思い、このビジネスを立ち上げた梅野さん。「アイドルやってみたいなとか、アイドルじゃなくっても、いろんな芸能活動を始めてみたいなあとか、何がしたいか分からないけれど夢がある子とか。そういった最初のきっかけになればと思ってますし、なれるアプリだなと思っています」

サポートしたのは“福岡市”

事業を始める際、梅野さんたちが受けた支援が、福岡市の進める「スタートアップ資金調達サポート事業」です。創業して間もない、いわゆる「スタートアップ企業」が申し込んだビジネスプランを、行政がさまざまな面から支えて事業を軌道に乗せようという取り組みです。

まず、福岡市や民間のコンサルタントが、ビジネスプランを審査します。
審査項目は、戦略や収益性、社会的意義があるかどうかなど。審査を通過すると、無料で経営のプロの指導を受けたり、財政に関する勉強会に参加できたりします。
事業を行っている福岡市の創業・大学連携課 橋本大介さんは「メジャーなアイドル以外にも光をあてて、そこのマーケットがより拡大されて、より可能性のある事業になるんじゃないかという意見がありました。ゆくゆくはそういった新しい雇用が生まれたりですとか、より新たなビジネスサービス価値が生まれることによって、生活の質の向上だったりそういったことは期待されます」と話します。

また、福岡市は梅野さんたちの会社に対して、東京や福岡にあるベンチャーキャピタル4社を仲介し、面談も行われました。その中で、「株式会社化など条件を満たせば、投資もする」という提案も受けることができました。
福岡市では、こうしたスタートアップ企業の支援事業に、今年度およそ1億7000万円の予算を組んでいます。

企業の輪を広げる「場」の提供

福岡市ではスタートアップ企業同士が協力し合える「場」の支援も行っています。

浅野アナ: 福岡市の中心部の廃校となった小学校です。2017年4月から、官民協働で起業を支援する施設になっています。1つの教室に2つから5つほどの企業が間借りしています。農産物の加工品の会社、そしてその隣にはAIの会社、といったように、さまざまな業種の会社が1つの建物に集まっています。

取材した<フクオカグロースネクスト>にはおよそ160社が入居しています。
家賃は安いところでは、ひと月1万2000円。毎週のようにビジネス関連の講演会や勉強会が開かれています。施設にはカフェのほかスタンドバーも入っていて、入居企業の人は飲み物1杯目が無料、という日もあります。自然と交流が進むような仕掛けになっているのです。

この施設は「日本進出の足がかりにしたい」という海外の企業からも注目されています。
そのひとつが、台湾に本社があるゴルファー向けアプリの会社。
ゴルフ場の予約や決済、スコア管理やコース攻略のアドバイスなどが集約されたアプリの開発で欠かせなかったのが、ドローンで空撮したゴルフコース全体の俯瞰(ふかん)映像です。プレーをしているゴルファーからは見えない位置のバンカーや池も、アプリを使うと一目で分かると好評です。
このドローンでの空撮を、同じ施設の5つ隣に入居している企業に依頼しました。
台湾企業の陳湘藍(ちん しょうらん)さんは「日本でのコネクションがなかったということで、空撮専門分野もなにもわからなかったんですね。一番いいのはすぐ打ち合わせしたい時にすぐオフィスに行ける。とても便利だと考えています」と話していました。

一方、ドローンの空撮の依頼を受けた会社は5年前に創業、ドローン操縦の指導や、被災地の調査などを主力事業の1つとしています。
今回、台湾企業からゴルフ場の空撮の仕事を受けたことは、メリットが大きかったと言います。
社長の増本衛(ますもと まもる)さんは「豪雨のあとに土砂崩れとか河川の氾濫というところがあるんですが、ゴルフ場の空撮をするのとその河川を空撮するのって似てるんです。150ホールぐらいまわりましたので、そこをこう繰り返し撮影することがわれわれにとっても大きなノウハウになりました」と話していました。

支店経済からの脱却を目指せ

創業間もない企業同士が交流できる「場」に外国の企業も受け入れることで、ビジネスの幅を広げるだけでなく大企業の支店を中心に動く地域経済を変えるチャンスにもなると、福岡市では考えています。

福岡市 創業・大学連携課の橋本さんは「海外からの外国人起業家を呼び込むことで、逆に福岡のスタートアップが海外展開をする足がかりになるんじゃないかと思っています。地方になりますので、支店経済からの脱却というのが福岡でもやっぱり課題となっております。景気に大きく左右されますので、福岡発の企業を育てることで、強い地方経済をつくっていきたいという所でスタートアップ支援に注力しています」と言います。

福岡市の一連の施策は「福岡モデル」と呼ばれ、毎週のように国内外から視察が相次いでいます。
今回取材していて特に強く感じたのは、スタートアップ企業の人たちの、挑戦する気概・チャレンジスピリットです。それが、文化として福岡で培われているということが、こうしたスタートアップを支援する制度の最大の成果なのかもしれないと思いました。

福岡放送局
浅野達朗アナウンサー

平成14年入局。
趣味:ランニング(山道を走るトレイルランニングも!)、音楽鑑賞(パソコンに数万曲入れてます!)、ヨガ、読書、将棋、一眼レフで写真撮影。

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2019年1月15日(火)放送より

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