歩きながら日本の魅力を発見! 長い山旅の道「ロングトレイル」

ざっくり言うと
自然に親しむだけでなく、土地柄や文化も知ることができる「ロングトレイル」は地域の活性化にも貢献
総距離1万キロ!? 沖縄から北海道までを旅する「JAPAN TRAIL」を構想中
2020/10/17 石丸謙二郎の山カフェ

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2020/10/17

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登山を趣味とし、山を愛する石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする「石丸謙二郎の山カフェ」。
今回は、「山をつなぐ道 ロングトレイル」と題してお送りしました。登山道のように山頂を目的とするわけではない、自然の中を歩く旅のための道。その魅力をNPO法人日本ロングトレイル協会代表理事の中村達(なかむら とおる)さんに伺います。
(冒頭の写真は三俣蓮華岳山頂に立つ中村さん)


感動のヒマラヤ登山は、1冊の本から

山本: NPO法人日本ロングトレイル協会代表理事の中村達(とおる)さんにリモートでご来店いただきます。
石丸: 中村さん! おはようございます。
中村さんにロングトレイルについてお尋ねしたいことがいっぱいありまして!
中村: よろしくお願いします。
山本: まずはプロフィールをご紹介させてください。
中村達さんは1949年、京都生まれ。そして日本山岳会の会員でもいらっしゃいます。
海外への遠征登山やハイキングも多数経験したのち、20年ほど前からロングトレイルの普及に関わっていらっしゃいます。また、自然体験や環境教育に力を入れる安藤百福センターのセンター長や全国山の日協議会の常務理事も務めていらっしゃいます。
石丸: 中村さん、突然お聞きしますが、小学校のときに「遠足の日」ってあったじゃないですか。あの前日ってどんな感じでした?
中村: ナップサックを枕もとに置いて、興奮して寝られなかったというのはありますね。
石丸: やっぱり(笑)。僕もそうです!
ナップサックを置いて、水筒も置いて、「早く寝なさい!」って言われているのに、眠れなかった思い出があります。
その中村さんが今までの登山、ハイキングで特に印象深かったのは何でしょうか?
中村: 中学校でワンダーフォーゲル部に入って、高校のときに山岳部、大学のときも山岳部やったんですけど……。一番印象に残っているのは、高校のときに北杜夫の『白きたおやかな峰』という本を読んだんです。京都の登山家がみんなでカラコルムに登山に行くんですが、それを読んでかなり感動しました。それでカラコルムに行こうと思ったことですね。
石丸: 行こうと思っちゃった!?
中村: それが17歳のときだったと思うんですね。それで、20歳のときに行っちゃったんです。
山本: おぉぉ…!(笑)
中村: 50年前ですね。1ドルが360円の時代ですから、ちょっと大変だったんです。西パキスタンに行って、そこから四輪駆動車で砂漠を走ってペシャワルまで行っちゃうんです。そこに降り立ったときに現地の人が「この道は何か分かっているか?」って。「何?」って聞いたら、「シルクロードだよ」って言うんですよ。僕らは何も知らないで走っているので、ガンッとやられちゃって。そこから山の方へ、北へ上がっていく。そうすると白い山がどんどん見えてくるんですよ。それで感動して、「これがヒマラヤか!」って。今も頭に焼きついて離れないですね。
石丸: 最初に壮大なロングトレイルにガーンッと殴られたようなものですね。

ロングトレイルは「長い山旅の道」

石丸: 日本ロングトレイル協会はどのような活動をされているんですか?
中村: ロングトレイルを運営している団体が集まって、普及、啓発活動をしているんですけど、ロングトレイルってまだまだ知られていないですよね。簡単に言うと「長い道」、もう少し優しく言うと「長い山旅の道」。
石丸: 「旅」という言葉がくっついちゃうわけですね。
中村: 昔から日本には、たくさんの「トレイル」って言葉はあるんですけれども、この団体はロングトレイルを作る側。地域の活性化を、自然を通してやろうということが大きな目的です。
山本: 地域の活性化にもつながると。
中村: それが結構多くて。県単位、市単位でみなさんトレイルを作っているんです。
山本: これからまた増えていく感じなんですか?
中村: 今、私たちの協会に入っている運営団体が25あるんですが、実際のトレイルは30くらいあると思います。総距離が3500キロ。
山本: すごい! ロングトレイルというのは「長い山道の旅」というイメージがあったんですけど、こういうものだという決まりとか定義はあります?
中村: ロングトレイルを作るときに、「100キロ作ろう、200キロ作ろう」って、最初はあまり考えてないと思うんですね。その地域でいろんなブロックや地区の人、山好きや自然が好きな人、観光関係の人や自治体などいろんな人が集まって、「自分たちの地域はこの道がすごくいい」「ここの地域はすごく景色がいい」「ブナの森がすごいよ」と、意見をみんな集めてくるんですね。自分たちが一番人に見せたいところ、来てほしいところ、歩いてほしいところに線を引くんです。そうすると「80キロになったね」って。「じゃあ、これをトレイルして皆さんに来てもらおう」というのが、今のロングトレイル。
山本: 自然に親しむだけではなくて、その土地柄や歴史、文化も知ることができそうですね。
中村: だから、単にピークを登るわけじゃないんですね。登山でしたら「ピークハンティング」って僕は言うんですけど、ピークの往復や登って帰ってくるのが多いですよね。だからロングトレイルというのはピークを目指すだけじゃないんです。里山を歩いたり、神社に寄ったり、温泉につかったり、峠を超えたり、花を見たり、という“山旅”なんです。それが日本的なロングトレイルなんでしょうね。
石丸: 縦走という山の言葉がありますけど、縦走というとどうしてもピーク……。
中村: ピークハンティングの連続ですよね。
石丸: ピークに行かなくてもいいということだな……。
中村: ただ、日本の地形は山ばっかりでしょ? 70%が山の国ですから、歩けばピークに行っちゃうんです。
石丸: 昔の方が作った道はピークに行くように作ってありますよね。
中村: だから、日本の地形は必然的に山登りになっちゃうんです。ロングトレイルはそれを連続して歩こうと。しかも山に泊まったり、温泉に泊まったり。長い旅をしていこうという感じじゃないかと思いますね。

各地の魅力がつまった日本のトレイル

山本: 今、日本にはどんなロングトレイルがあるのか教えていただけますか?
中村: 各地域のトレイルって、性格が全部違うんですね。
九州の国東半島には「国東半島峯道ロングトレイル」というのがありまして、昔の修験者の道をトレースして、なおかつ里山を歩くような道ができています。
石丸: 大分県ですね。そこの一部を歩いたことがあります。秘境になっている……。
中村: 国東半島は今、頑張って作っているんですよ。
山本: 修験者の道ですか!?
石丸: 怖いところを歩いたりね……。
山本: 雰囲気がありそうですね。
中村: ずっと里山を歩くように作っていますから、全部で100キロ近くになるんですね。
あとは広島の「広島湾岸トレイル」も200キロくらいあるかな。
山本: 湾岸と言うからには海沿いですか?
中村: しまなみ海道も歩くんです。
石丸: 自転車で行く、しまなみ海道ですね。
中村: 広島市内をグルッと回るようなトレイル。
それから、日本海側には鳥取県の「とっとり横断ロングトレイル」というのがあります。
石丸: 横断!?
中村: 鳥取県をずっと横断するんです。境港から鳥取砂丘あたりまで。それをさらに東へ行くと、日本海側が全部ジオパークになっているんですね。「山陰海岸ジオパークトレイル」というのが220キロくらいあります。それがことし(2020年)の3月にオープンしました。
山本: ことしできたロングトレイルですか!

沖縄から北海道へ 夢の「JAPAN TRAIL」

石丸: 日本という国を端から端までロングトレイルできますかね?
中村: 実は、そういう委員会を作っていまして。まだオープンしていないんですけれど、「JAPAN TRAIL」というのを今、構想中なんです。
石丸: 「JAPAN TRAIL」!?
中村: 沖縄本島を縦断して、九州から北海道まで。できるだけ私たちのトレイルと皆さんのトレイルをつなぎながら北海道まで行っちゃおう! と考えています。
山本: 何キロくらいになります?
中村: あちこちあちこち回るので、1万キロくらいになっちゃうと思うんですね。この話はあくまで構想ですけど、外国の人たちに話すとすごく喜んでくれるんです。「それはすばらしい!」って。
山本: それはなぜですか?
中村: 「それで日本が分かるね!」って。彼らは日本の植物の豊かさや歴史の深さを知っていますから。「日本を知るにはどうしたらいいの?」と聞かれると、「日本を歩くといい」って僕は言っている。
山本: 自然を知ることもできるし、歴史やその土地の魅力、物語を知ることができるという。
中村: だから、日本が一番分かるのはトレイルかなって思います。
山本: いつごろできそうでしょうね?
中村: 今、雑誌の編集者や地図の専門家、山岳ガイドの人たちに集まってもらって、委員会を作っていて。地図は1万分の1の地図ができそうです。しかも、今はスマホで簡単に見られますし、GPSがついていますから、スマートフォンが1個あったらずっと行けちゃうんです。そういう地図作りを今、やっています。
石丸: 僕は大分出身だから、例えば、大分の子どもがその地図を見たら、今立っているところ、「大分県から北海道までの道は続いているんだ!」と実感できるということですよね。
中村: 今立っているこの道が、「北海道の知床から九州まで続いてるんや」って実感できれば、日本列島が分かると思うんですね。
石丸: 夢だ!
中村: そういうことをやりたいなって、ずっと思い続けているんです。
山本: 日本の広さを体感できますね。
中村: つながっているって考えれば、日本の豊かさと、地域と地域のつきあいが分かるじゃないですか。
そういうのって、みんなの頭の中に今までなかったような気がするんですね。それができれば楽しいなぁって、夢みたいな話をいつも思っているんですが、「夢は夢で終わらせずやっちゃえ!」と思っています。
石丸: 今ふと、中村さんの遠足の前の晩の気持ちが伝わってきましたよ。
中村: 石丸さんも、ぜひ歩いてみてくださいよ。

自分のスタイルを見つけて楽しんでほしい

山本: これからロングトレイルをやってみたい人へのメッセージはありますか?
中村: 決して焦らずに、ゆっくり歩いてもらったら結構です。それよりも自分のスタイルをしっかり持ってほしい。トレイルと言っても山ですから、安全対策、準備をして、しっかり調べて歩いてほしいと思います。
石丸: 中村さんにロングトレイルの話を聞きだすと、時間もロングにしたいくらい(笑)。
山本: もっともっと聞きたいですね。
石丸: 最後に1曲、曲を選んでいただきたいんですよ。
中村: 「On the sunny side of the street」という曲です。
石丸: どうしてこの曲なんですか?
中村: フランスのブルゴーニュ地方のワイン街道へ行くときに、立ち寄ったパリの街角でジャズのライブ演奏をやっていたんですよ。そのときにCDを買いまして、この曲が入っていたんです。「いいな」と思って、ずっと聴いていたんです。
石丸: そういう思い出大好きです! 現場で買ったCDに入っている曲ね!
中村さん、ありがとうございました。次はどこかの道でお会いしましょう。

現在構想中の「JAPAN TRAIL」が実現すれば、日本の端から端をつなぐロングトレイルになるそう。その総距離はなんと1万キロ! 日本の魅力や物語を知ることができる道はどんな道になるのか、ワクワクしますね♪

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