何のため? 石丸マスターが気になる「山のテープ」

ざっくり言うと
テープの色に意味はないし、道しるべでもない
マスターのお願い「山で迷う人を減らすために、統一ルールを!」
2019/09/14 石丸謙二郎の山カフェ

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登山歴40年の石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする「石丸謙二郎の山カフェ」。
今回のテーマは「マスターの気になる山のアレ」。
石丸マスターがずっと気になっていたのは…、登山道で見かける「山のテープ」。
「一体何なの? 気になる!」ということで、山で生きる様々な立場の方々に、情報やご意見を聞いてみました。


井田: 改めてマスター、今回のアレは?
石丸: う~ん、疑問に思っているのがね~、登山道を歩くと、テープ。つまり、リボン。赤だの黄色だの、ぶら下がってたり木に巻いてあったりするんですよ。あれって、頼りにしてたりするんだけども。「一体何なんだろう? 誰が付けているの? どういう意図があるの?」っていうのが、昔から疑問だったんですよ。
井田: マスターはこのテープに沿って歩いて、迷ったことがあるんですよね。
石丸: あるんです。そうなん、ですよ。……いやいや、今のはしゃれたわけじゃないんですよ(笑)。遭難しかけたことがありましてね。何のためにという……。僕が遭難しかけたのは、神奈川県の「丹沢」の山を登っている最中なんですがね。あれ、同じように迷った方おられると思う。
井田: いらっしゃるかもしれないですね。
石丸: 謎というか、「実はあれは何なのか?」ということを山カフェで調べました。まだ、分からない部分もあります。
井田: そうしたところ、さまざまな目的のため、また、テープだけではなくいろいろなものが使われていることが分かったんです。まずは、マスターが迷ったということで丹沢で登山に関わるお仕事をしていらっしゃる方に、誰が、何のために結んでいるかをお伺いしたところ、このようなお答えをいただきました。
「神奈川山岳ガイド協会」の武川俊二さんです。
「丹沢では積雪が多い際、登山道が見えなくなることがあるので、ガイドがルート表示として赤布などを巻くことがあります。時々、頭上高くにテープが巻いてある場合は、そこまで積雪があったことを示しています。」
石丸: 雪が降ったときに、そこまでと言うよりも、要するに雪の上に立ってそこに結んだから、「その深さまでありますよ」っていうことですね。
井田: 積もった雪の高さですよね?
石丸: いや、リボンが雪の高さではなくて、雪の上に人間が立って、手を伸ばして結んだぐらいのところまでいきますよ。
井田: この場合は、赤い布ということですね。
続いてはこちら、丹沢の山小屋「尊仏山荘」のご主人、花立昭雄さんによりますと、「丹沢では、山小屋関係者が登山道を示すためにテープを結ぶことはありません。ただ、登山者が帰りのルートのための目印として、巻いていることがあります。正直、これにはちょっと困っています。」
石丸: (巻くのは)山小屋の人じゃないんだね。
井田: そのようですね、丹沢では。
石丸: ああ、丹沢では。ほかでは巻いている方もおられるのかな?
井田: かもしれません。ということで、丹沢では積雪がある時期、登山道を示すためにガイドさんなどがテープ、赤布を巻くことはあるそうですが、積極的に結んでいるわけではないということです。でも、マスターは多くのテープを見かけたということですね。
石丸: そうなんだね。テープを目印に歩いてるというのは、わりと一般的な登山者じゃないかと思うんですよ。
井田: 実はガイドの竹川さんと尊仏山荘のご主人・花立さんお2人とも共通しておっしゃっていたのが、「丹沢では、林業に従事する方が多く結んでいる」と認識しているそうなんです。ということで、ここからは一般の登山者目線ではなく、林業のために山に入っている方のお話を伺います。
神奈川県山北町森林組合理事長の池谷知美さんです。
石丸: きょうね、おいでいただいて。あれ? 今、何か出されてるのはテープですね。黄色とピンクのテープを……、あ、もう1つ!
井田: テープをお持ちになっていますね。ちなみに池谷さんの所属されている森林組合なんですが、国や県などの公共の森から個人の私有林まで、幅広く伐採や管理などの業務を請け負っています。なお、神奈川県の西に位置する山北町は丹沢湖などがあるところです。で、そちらにお勤めだと。
石丸: さっそくなんですけれども、僕らが林の中で目にするテープ? リボンとも言ったりするんですが、あれは林業のやられる方の目線で言うと何なんでしょうか?
池谷: いろいろな使い方があります。1つは山をね、「将来的にどういう山を作っていこうか」ということで、事前にペーパー上で見るわけですよ。それにのっとって、標準値10メートル角、または10メートル20メートルの山の中で適宜なところを取って、中の草木(そうぼく)、立木(りつぼく)、下層植生(かそうしょくせい)、全部調べるわけです。「将来、こういう山にしたい」っていう思いにしたがって、切る木にこういうテープをどんどん巻きつけていくわけです。その四隅には、「ここに標準値を取りました」っていうことで、テープをやはり付けておきますね。
石丸: 四隅っていうのは、10メートル×20メートルの?
池谷: そうです。10メートル、20メートル角です。
石丸: 端っこの、4本の木みたいに。今、目の前にピンクと黄色と、それからちょっとビニールテープっぽいピンクと言いますかね。これは色に決まりはないんですか?
池谷: 特段、決まりはございません。ただ、四隅に付ける場合はですね、林の中に残っちゃいますので、このピンクのテープを四隅に付けます。
石丸: 付けるときには、木に巻くんですか?
池谷: ええ。目の高さに巻きつけて、ただそれだけですね。
石丸: じゃあ、太さが例えば40センチメートルあったら、グルーっと巻きつけて、結んで。
池谷: そうです。このテープは良いことにですね、環境対応のテープでありまして。
井田: かなり蛍光色の、目立つ色のピンクですね。
池谷: 1年ちょっとで取れちゃいますね。
井田: 自然に取れて自然に還(かえ)るんですか。
池谷: そうです。おっしゃるとおりです。
井田: 環境に配慮した物。
石丸: ビニールっぽいけど。紙ではないですね?
池谷: 紙じゃありません。
石丸: 紙じゃないんだ。少し伸びる。
池谷: バチッと切れますよ。
石丸: ああ、今引っ張ったら切れました。
井田: じゃあ、テープは回収せずに調査が終わったあとも、そのままあるわけですね。マスターが見たのは、こんな感じのピンクですか?
石丸: はい、こんな色のピンクです。今はほとんどピンクが多いの。ここに黄色もありますね。
井田: 黄色はちょっとピンクより3倍ぐらいの幅がありますね。
池谷: 何種類かありますけど。まあ、その人の使い勝手によって使ってます(笑)。
井田: 色分けは、あまり意味はないわけですね。
石丸: 色分けないんですか?
池谷: 特段していないです。
石丸: そのときの気分ですか?
池谷: 気分って言うとちょっとおかしいんですけど。境界がありますよね。「そこに境界がありますよ」って意味合いでは、これはところどころに付けます。測量杭がありますよね。測量杭でわれわれも範囲を回るときがありますので、そこに行くときに「あっ、次はあれだな」っていうそういう目安になるように、ちょこっちょこっとつりさげることがあります。
石丸: 今10メートル、20メートルの範囲って言いましたけども、そこから次の場所に行くときに、目安として迷っちゃいけないって言うんで、リボンをさげる。
池谷: 迷っちゃいけないんですね。「境界がここですよ、隣の山の持ち主とうちが整備している山の境界はここですよ」っていう意味合いで、50メートルくらいの間隔でちょこちょこっと付けますね。
石丸: それは木に巻くのではなく、枝にぶらさげる?
池谷: ぶらさげます。
石丸: まるで僕らが登山道で見る、赤いリボンと同じですね。
井田: テープは標準値。調査に使われているっていうことなんですね。ただ、マスターのように、テープを頼りに道しるべだと思って迷ってしまったという方も、やはりいらっしゃるようで、神奈川山岳ガイド協会の竹川さんにも伺いましたら、「実際、ピンクのテープを登山道と間違えて道に迷う方がいて、特に寄(やどりき)から雨山峠(あめやまとうげ)が多かった。」
石丸: そこです! まさにピンポイント。
井田: そこですか、まさに。「そのために神奈川県環境保全センター公園課と対策をして、この地域だけ黄色のテープで登山道を表示し、看板で表示していることをお知らせした」という。
石丸: 黄色。
井田: 黄色のテープで対策して、看板も立てたということをおっしゃってました。
石丸: 今は黄色になっているんだ。
井田: かもしれませんね。
石丸: ピンクじゃなくて、黄色。ここでまた混乱がさらに拍車をかけだした(笑)。え~と、黄色かぁ。ということは、池谷さんも今、黄色をお持ちで、林業関係の方もピンクも黄色も使われていると。
井田: 確かに使っていると。池谷さんのところにも問い合わせってありますか? 「このテープ何ですか?」とか。
池谷: 今までないですね。
井田: まさか登山者の方は、林業のために付いてるとは思って行ってないんでしょうからね。
石丸: ただ、うすうす僕はね、杉とか植林の巻いてあるのは、「たぶん、これ林業の方なんだろうな……」ぐらいの。ただ、林業の方はわりと分かりやすいのは普通のビニールテープでたくさん巻いてたりするから、「たぶん、違うんだろなぁ……」と、これ、ただの想像です。
井田: あくまでテープで、赤布とかそういうものは使わないわけですよね。林業ではテープ。色もそれぞれだと。丹沢を例に池谷さんにお伺いしているんですけども。
石丸: 全国的には、どうなんだろう? 今まで僕は全国の山でピンクのリボン、見ましたね。森林限界を越える前ね。森林の中では、ピンクのリボン。特に雪の多い地区にはよく見ましたね。さぁ、どうなっているんでしょうね。
井田: これまで山カフェに協力いただいた、山小屋の方とか林野庁にも、伺ってみました。まずは、八ヶ岳です。八ヶ岳観光協会の会長も務めていらっしゃる、「硫黄岳山荘」の浦野岳孝さんに聞きました。
「降雪直後に道に迷わないようにするため、山小屋の関係者が赤テープを巻くことはある。ほかに八ヶ岳では地元の地区が所有する山林に、その地区の人たちが境界などを点検する際の目印のために巻いている。ただし、これは登山道ではないので注意をしてください。」
石丸: そうなのかぁ。
井田: 八ヶ岳では山小屋の関係者が赤テープを巻くこともあると。さらには、所有する山林に、その地区の人が境界などを点検する目印のためにも入っていることもあると。
石丸: ほかはどうだろう。
井田: 「白馬岳」に聞きました。山岳遭難救助隊として活動されている「唐松岳山荘」の中川惠市さんによりますと、「降雪、残雪時に登山道が分からなくなったときに、石に巻きつけたり、危険箇所にロープを張って、そこにピンクのテープを巻いたりする。白馬村のふもとの山林では、森林整備のために地権者に了解を得て、テープを巻いたりしている。明らかに登山道を示す場合もあるが、そうではないこともあるので一概に信じないでください。」
石丸: 難しくなってきたぞぉ。
井田: さらにもうお一方、林野庁の松井さんにも伺いました。
「すべてが登山道の道しるべではなく、事業のための表示であったり、危険周知のために記して使用しています。なお、日本の山林のおよそ3分の1を占める国有林では、林野庁の職員や関連事業者が結んでいて、標示テープ、マークテープなどと呼んでいます。なお、テープの色に関して、ローカルルールはあるかもしれませんが、全国共通のルールはありません。」
石丸: 色に関して、共通のルールがない。確かにね、今、目の前にピンクと黄色、薄いピンクがありますけども、今まで青、白、見ましたね。
井田: 青も白もあった。
石丸: ありました。それから、黄色と黒の「トラテープ」って言うんですか? それもあったところもありました。
井田: 池谷さんの言うように、丹沢の中でも、「色の決まりはない」ってことだったので、全国で見ても、やっぱり色の決まりはないと。
石丸: 僕ら登山者、勝手な意見なんですけどね。迷ってしまうのが、困るじゃないですか。何かルールって出来ないものなんですかね?
池谷: これ、私もですね、この話を聞いて、これはやらなきゃだめです。私ども、月に1度ずつ安全衛生会議っていうのを16人でやっているんですよ。その中でこういう話も時々出るんです。私どもは森林の中を整備するとき、整備しやすいように歩く道を作るわけですよ。そのときは必ずね。「これは登山道ではありません」と必ずステータスをさげます。
石丸: 看板みたいなものを?
池谷: 出します。こういう印をしたビニールテープは整備して終わったあとには、ほとんど確認できません。全部切り倒されちゃってるんで。
石丸: 木が切り倒されているから、テープごとなくなっている。
池谷: なくなっています。で、刻んで横になっていますので、まずないと思いますけども。特にこの標識テープで迷うのはね、さっき言われてた雨山峠。雨山峠を抜けて「檜岳」を行くっていうのは、1つのコースなんですね。だけど人が少ないからね、なかなか難しいですよ。とすると不安なんで、どうしてもそういう標識テープを求めちゃうのかなと。
石丸: そうですね。僕が迷ったときも、よく首を振ってみればルートが分かるはずなのに、どうしても「テープ、テープ」と行くと、それにつられて行く心理になるんですね。途中でテープがね、色が変わったりしても、「いや、これテープがなくなって、違う色になったのかな?」ぐらいのね、本気で疑ってない。この登山者側の問題もあるんでしょうが、せめて色だけでも、統一できたらなと。例えば、今一番多いのが、このピンクのテープ。これを登山者用にして、黄色とか青とかを、森林の方にするとかね。これは今すぐには無理だと思うんですが、いつか全国的に、つまり山側の人間と森林組合側とそれから山小屋、みなさんが集まってね。ルール作りができたら、少なくとも遭難者が減るんじゃないかなというふうに思ってるんですよ。
池谷: そう思います。
石丸: うれしいお言葉ですね!
池谷: うちの管内では、山北のエリアの中では、それは早ければ来月からでも可能です。例えば、「登山道には付けるな! それ以外のところに付けるときには、必ずステータスをさげなさい」と。
石丸: ステータスというのは、「看板を出しなさい」と。
池谷: 看板を。それは可能ですよ。
石丸: うれしいですねぇ。
池谷: ただ、県のほうにも、この話があって僕は問い合わせたんですけども。とりあえず環境に対しては、指示書のなかで出ているけども、それ以外はまだ統一されてないですね。
石丸: 今回、テープのことで、森林関係の方にお聞きするのは池谷さんが初めて。今まで雑誌とかでも、恐らくですけど、僕は読んだことはないんですよ。テープのことに関して、疑問みたいなことを。だからどこかで話し合いをして、良い方向に行けたらなと。という意味でも、結論と言うわけじゃないんですが、僕ら登山者はまず、あのテープを信用してはいけないと。残雪のころね、上のほうに付いてるのは、ひょっとしたら正しいかもしれない。夏道のときはね、地図を見る。それから下の道の人が歩いた跡は分かりますから、登山道かどうかっていうのは。そこをしっかり見ながら歩く。コンパスを持ってね、方位を確かめながら、これをまずは原点に帰って徹底する。テープを信じるというのを、1回やめてみるのもいいかもしれません。
井田: 今のところは、すべてが登山道を示すことではない。そして、色に全国的なルールもないということです。登山者視点でこのテープについて今回お伺いをしましたガイド・山小屋の方々は声をそろえて同じことをおっしゃっていました。
「登山道を示すテープも中にはあるが、基本的には紙と電子地図、コンパスを持って自分がどこにいるのか、ルートを外れていないかを確認しながら、登山をしてほしい。」
石丸: やっぱりね、基本的には僕ら山に登るっていうのは、地図がなくても登れる人もいるかもしれませんけども、一応、地図とコンパスでね。それから案内書みたいので登りましょうと。どこにもね、案内書の中にも「テープを見て」とは言ってないんですよ、考えてみれば。僕らは習い性になって、「おい、テープ見つけたかーい!」なんてみんなで言いながら、あれになっているのが、ひょっとしたら間違いなんじゃないかってことをね、今、気付きましょう。1度ね。ただ先々では、そうは言ってもやっぱりテープを信頼したくもなるところもあるから、林野庁の方、それからいろんなテープを付けている方たちと話し合って、「統一ルールを作ろう」という方向に持っていきたいです!
池谷: 今、おっしゃられましたけどね、まさにその通りですよ。テープを頼りに歩く、これは間違えていますよね。ただ、僕はその中でね、自然の勘を磨かなきゃだめだと思います。例えば、山を歩いててね、「これは絶対、人が歩いた跡じゃないな」と、そういう勘を磨かないと。やはり、これはどうしても起きるんじゃないですか。特に今は、丹沢の場合は鹿の踏み跡っていう、結構立派な踏み跡がありますからね。そういう面でも、今、言われたように地図と方位磁石があれば、自分がどこにいるかっていうのは、すぐ分かります。どういう方向にどういうものがあるかっていうのも分かるんで、「この方向だ」っていうのが分かるわけなんで、その辺から見てやっぱりね、自然の山を見る目を研がないとだめじゃないかなぁ。
石丸: 良いお言葉ですね! ありがとうございます。僕らの大先輩からのすてきなお言葉をいただきました!

これから山へ登る方は、くれぐれも山で見かけたテープを信じて道を進むのはやめましょう。必ず、地図とコンパスを持って登山を楽しみましょう!

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