【慢性疲労症候群 Vol.01】単なる疲れではない症状

ざっくり言うと
2018/11/26 NHKマイあさラジオ 健康ライフ「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とは何か①」
関西福祉科学大学教授 倉恒弘彦さん
疲労感がいつまでも回復しない、生活に支障をきたす病気

くらし・健康

2018/11/26

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2018年11月26日(月)放送より

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疲労感があるとき、いわゆる慢性疲労ではなく、まったく別の病気があるのですか。

倉恒さん: 最近、「慢性疲労症候群(まんせいひろうしょうこうぐん)」という病気が注目されています。アメリカで、約30年前に提唱されました。
単なる疲れの蓄積と違うのは、いくら休んでも、疲れやけん怠感が抜けない、回復しない、ということです。最近の研究では、健康な人が感じている慢性的な疲れとは、まったく異なっていることもわかっています。特徴的なのは、これまで健康に生活していた人が、何らかの感染症にかかったあとに、発病する人が多いことです。また、働きすぎなどのストレスで、免疫力が低下したことなどがきっかけに、発病する人も見られます。

どんな症状が出るのでしょうか。

倉恒さん: 激しい疲れやけん怠感が6か月以上続くために、日常生活や社会生活がうまくできない、ということが大きな特徴です。患者によっては、いすに座るのもつらい、箸やペンさえ持つこともできない場合もあります。また、微熱や頭痛、筋肉痛、脱力感、思考力の低下、中には不安や抑うつなど、さまざまな症状が見られます。
月に数日、自宅で休憩すれば、なんとか学校や会社に行けるケースから、1日のうち、半分以上は横にならないと生活できないケース、さらにひどくなると、常に横にならなければ生活できず、介助が必要となり、寝たきりに近い状態になってしまっているケースまで、さまざまです。こうした病気は、「筋痛性脳脊髄炎(きんつうせい・のうせきずいえん)」もしくは「慢性疲労症候群」と呼ばれています。

体が重い、けん怠感が強い、というのは、うつ病でも見られますが、どんな違いがあるのでしょうか。

倉恒さん: うつ病の場合、朝起きたときに非常に調子が悪くて、ベッドから出ることができない。お昼を過ぎてくると、少しずつ動ける力が出てくる。夕方になると、外に出て少し活動ができる。こういった方が多くおられます。
しかし、筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群の場合は、朝は無理をすれば学校や会社に出ていける。しかし、お昼を過ぎると、次第に微熱が出てくる。そして、少し動くだけで疲れがたまるために、学校や会社で生活できず、早退してしまう。うつ病とは、1日のリズムが大きく異なります。

診断はどのように行うのでしょうか。

倉恒さん: 厚生労働省の研究班は、次のような診断基準を定めています。

1.6か月以上、強い疲労やけん怠感のために、日常生活ができないという症状があること。
2.これまで問題なくできていたような軽度の作業で、疲れが非常に悪化すること。
3.睡眠障害。いくら寝ても疲れが回復しない、熟睡感がない、といった睡眠の問題があること。


この3つがあることを必須の項目としています。
そして、認知機能の障害(思考力や集中力の低下)、または、起立性調節障害(立ちくらみや動悸など)のどちらかの病態がある場合は、臨床的な診断基準として慢性疲労症候群を満たす、とされています。
また、こういった体調不良は、生活習慣病、がん、脳血管障害、心臓の病気、糖尿病、肝臓の病気などでも起こるので、こういった病気は除外する。そして、精神病性のうつ病、統合失調症、依存症も除外する。除外すべき病気がないことを条件に、診断を満たすとしています。

日本にはどれぐらいの患者がいるとみられているのでしょうか。

倉恒さん: これまでの調査では、全国で約8万人から24万人程度はいるとみられています。
ただ、この病気は、血液検査、脳のCT検査、MRI検査など、いろんな検査をしても、異常が見られないことも特徴です。患者さん自身も、自分の病気が何なのか、よくわからない。そして、周りの方から「心の病気じゃないか」と思われてしまって、なかなか対応してもらえないという問題があります。
しかし、2017年にアメリカの医学研究所は、「この病気は体の病気であり、すべての医師は、この病気を理解して診断と治療に取り組むべきだ」と勧告を出しており、世界中で取り組みが始まっています。ですから、この病気を正しく理解して対応することが大切です。

2018/11/27 NHKマイあさラジオ 健康ライフ「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とは何か②」につづく

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2018年11月26日(月)放送より

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