久しぶりのドラマ主題歌『天使のはしご』創作秘話 ~音楽家・大貫妙子~

ざっくり言うと
2018/10/27 マイあさラジオ 「サタデーエッセー」 音楽家・大貫妙子
未来に光が差してくるイメージで名付けた『天使のはしご』
作詞は歌入れのギリギリまで粘る!

音楽

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2018/10/27

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2018年10月27日(土)放送より

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土曜日の「マイあさラジオ」は、「サタデーエッセー」と題し、各界で活躍中の方々に仕事や人生・日常の気づきなど、さまざまなテーマでお話しいただいています。
10月27日は音楽家・大貫妙子さんの、NHK土曜ドラマ『不惑のスクラム』のエンディングテーマの作詞についてのお話でした。


おはようございます。大貫妙子です。
ホントに気が付けばもう秋。「今はもう秋~♪」なんてありましたっけ。(トワ・エ・モワの)「誰もいない海」でしたね。
えー、カレンダーも残り2枚ほどで。いつもながら早いです。今年も早いです。

わたしの中で秋といえば、やっぱり「サンマ」ですかねえ。
うちの庭にカボスの木があって、1年おきぐらいにすごく(実が)なるんですけど。お隣のご夫婦に10個ぐらいついてる枝を差し上げたんですよ。すごく喜んでいただいて。それがね、午前中に差し上げたんですよね。そしたら午後にピンポンってきて、「今気仙沼からサンマがたくさん届いた」って。まさにそのカボスと、あ、大根おろしは自分でね。「待ってました」というぐらい。本当にすごくおいしいサンマをいただきました。もう大好きなんで。やっぱりサンマですねぇ。

えーと、この秋、今年はわりとライブが多くて。年末まで毎月なにかあるんですけど、その間にテレビドラマの主題歌を担当させていただきました。主題歌ってよりエンディングテーマですけどね。つい先日、最終回を迎えたばかりのNHKの土曜ドラマ『不惑のスクラム』というドラマの主題歌、エンディングテーマですけれども、『天使のはしご』というタイトルです。
『天使のはしご』って、こう雲間から光が差してくる。タイトルを考えたんですけど、やっぱりなんかこう救いのある、未来に光が差してくるような、そんなタイトルにしたいなということで『天使のはしご』というタイトルにいたしました。作曲が岩代太郎さん。そしてわたしが作詞をしまして歌いました。

ここのところドラマの主題歌をやってなかったので、ミーティングの時間もたくさんとってくださるので、そういうこともあってお受けしたんですけれども。ドラマのあらすじを聞いて、とても光栄なんですけれども、その監督さんも若い時からわたしのファンだった、ということを言って下さったので、余計ちょっとプレッシャーを感じてですね。でもまあ逆に言えば、わたしの音楽を聴いていてくださった方が、それはそれでやりやすいっていうことがありました。
メロディーもいただいてるので、あとはひたすら考える、と。メロディーが先なので言葉を当て込んでいかなきゃならないんですけど、1分半ぐらいしかないんですよね。その1分半の中に、エンディングで流れる時に全てを包括する、こう前に進んでいけるような何か、「天使のはしごのような光」のようなものを感じさせるものってのは一体何だろう、っていうことをひたすらひたすら考えるわけですよね。それがすごく大変でした。そんな難しい言葉ではなく。言葉って、もう出尽くしているので。それがあるメロディーに乗っかると、また違う光を放つっていうことがあるので、やっぱりメロディーと言葉の組み合わせってのはすごく大事。まあ自分の声とかそういう表現もありますけれどもね。それなりに苦労をいたしました。岩代さんはもう「大貫さんの好きなように書いてください」ということでした。

岩代さん、初めてお会いしたんですけれど、紳士な方で。すごくよくお話する方なんですよね。監督ともそうだし。メールのやり取りなんですけど、詞がある程度書けたら、それを送って。「書き直して下さい、なんて言われたらどうしようかな」と思いながら、一応ちょっと何でこの言葉を書いたのか、理屈なんかも書きながら。
でも全体的には問題がなくて。ある言葉のところだけはどうしても自分で納得いかなくって、うまくはまらなくて、4回ぐらい書き直しましたかね。冒頭に出てくるですね、「あの時なくした命の輝き」っていうところなんですけど。「あの時なくした」っていうのはそのままで、「命の輝き」っていう、最終的に「輝き」っていうふうになったんですけど、最初は「命のボール」というふうに書いたんですよね。
つまり、その主人公の方がずっとラグビーを昔やっていたけど、人生の中の大きな「どうして僕がこういうことに出会ってしまうんだろう」というような、事故ですよね。それに出会って、そして人の命をなくしてしまう。家族ともバラバラになってしまう、という。でもやっぱり人って生きていかなきゃならない。生きてるっていうことは、やっぱり1人じゃ生きていけないんですよね。人って仲間がいないと。それが家族であったり仕事の仲間であったりすると思うんだけど。
だからこの、「あの時なくした命のボール 必ずあなたは受け止めてくれる」という、ボールがラグビー、いろんなことに引っ掛けて。そのあと「空へ高く祈りを込めて 今を生きる力をください」っていう、空へ高くボールを蹴り上げるっていうイメージを含めて、細かくは書いてないんですけど。この「命のボール」っていうのは、「ちょっとやっぱり、ラグビーに近づきすぎたな」と思って。監督はみんな気に入ってくれたんですけど。いやいや、やっぱり絶対違うというふうに思ってですね。あといくつか書き直したんですよ。でも結局この「命の輝き」っていうところに落ち着いて。これがやっぱり一番素直で優しくて、届くかなって思って、決めました。
すごくたくさんの資料送ってくださるので。「ラグビーとはなんぞや」というすごい長いものも読みましたし。読んでもやったことないから分からない、というのもあるし。でもドラマに出てくる人は主役を含める方たちだけではなく、その人たちの生活や家族や過去、いろんなことがあるので。そこから離れて、誰にでも見て共感、ドラマ自体がすっと胸に入ってこられるような言葉にしたいなってことで。

近づきすぎると、何でもダメですよね。ダメってことはないけれども、ある程度ふかんして全体を見るというのはすごく大事なことだな、というふうに思います。しかも言葉数が決まってるっていうので、苦労するんですけど。あとはとにかく諦めないで、自分が納得するまで最後まで、ギリギリまで諦めないっていうのはありますね。
この『天使のはしご』も、もちろんお風呂に入ってる時も考えてるし。何気なく家の中をフラフラしてる時も考えてるし。あんまりね、机の前に座ってる方がかえって駄目なんですよね。ちょっと庭に出てみるとか。他のドラマで、自分の曲なんですけど、歌詞を考えてる時も、歌を入れるギリギリの朝までどうしてもできない部分があって。朝食を食べながら紙を置いてずっと書いてて、「出たっ」ていうの、ありますけどね。ギリギリまでとにかく諦めないで書くっていう、その粘り強さがないと、後で後悔するんですよね。そこの言葉を聞いた時に「この言葉は粘らなくて、このままいっちゃったんだよね」っていうのがすごく嫌なんで。疲れる仕事なんですよ。

ということで、今日はNHKでドラマの『不惑のスクラム』主題歌・エンディングテーマについてちょっとお話させていただきましたけれども。これからもいろいろな形で、人の気持ちや心を見つめながら、音楽を作っていければと思います。
大貫妙子でした。

放送を聴く
2018年10月27日(土)放送より

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