【介護心理 Vol.02】イライラが収まらない

ざっくり言うと
2018/10/16 NHKマイあさラジオ 健康ライフ「介護する人の心が少しでも軽くなるために②」
介護者メンタルケア協会代表 理学療法士 橋中今日子さん
感情的になってしまう自分を認める

くらし・健康

2018/10/16

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2018年10月16日(火)放送より

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介護中心の生活では、日々イライラしてしまうのでしょうか。

橋中さん: わたしも、イライラするだけにとどまらず、認知症の祖母に対して何回どなったか、わからないほどです。介護する人は、イライラしたり、暴言を口にしたりすることで、自分自身も傷ついている場合が多いです。
それは脳のせいです。何か危険があったときに自分を守るため、わたしたちには、「闘争・逃走反応」があります。闘争・逃走反応とは、緊急事態に際して、戦うか逃げるか、とっさに行動に出てしまう反応のことです。
ふだんは理性や知性で闘争・逃走反応を抑えていますが、長期的なストレスや慢性的な疲労があると、理性や知性が働かなくなるので、この反応が出やすくなります。
介護している人は常に疲れていますよね。疲れやストレスのために、「体が限界でもう無理だ」、「このままでは自分が死んでしまう」という危険を感じて、こういった反応がつい出てしまうと理解してほしい。決してあなたが悪いのではありません。

カッとしてしまった場合に、どうやったら衝動を抑えられますか。

橋中さん: 深く息を吐きましょう。
息を吐くことで、副交感神経が働き、興奮が収まります。フーッと唇に音が出るぐらい、長く息を吐いてください。
ポイントは、吐くほうを長めにすること。例えば6秒吐いたら、3秒かけて吸ってまた吐く、という感じです。なるべく吐くことを意識して、ゆっくりと深い息を吐いてください。
どなるとき、頭に血が上っています。息を吐くことで心が落ち着き、そして息の流れを意識することで自分の体に意識が向き、興奮状態が治まると言われています。
冷静さを取り戻したら、その場から離れてください。まだ緊急事態が起きているので、また感情的になってしまうからです。いったん一人になり、それから誰かに相談しましょう。
「どなってしまった」、「手が出てしまった」とは言いづらいと思います。「もしかしたら責められるんじゃないか」と思われるかもしれませんが、介護する人がどれだけ追い詰められているか、周りの人が気づいていることも多いので、安心してください。
家族に言いづらい場合は、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談しましょう。自分の抱えている不安を分かち合ってください。

毎日少しずつたまっていくイライラについては、どう対処すればいいですか。

橋中さん: 自分の気持ちをノートに書き出すことをおすすめしています。
「イライラする」とか「腹が立つ」とか、暴言でもいいんです。書き出すことで、心は落ち着いていきます。
3分でいいので、書き出す時間を決める。書き出すことに慣れると、相手に対する怒りの言葉が出てくるでしょうし、次に必ず自分を責める言葉が出てくると思います。そういったことを、誰も見ないノートに書き出してください。

書いた後はどうするのですか。

橋中さん: 特に自分を責める言葉を、もう1度読み返してほしいですね。そして、ご自身のことを認めてください。「よく頑張ったね」と。
頑張っている人ほど、「自分はだめだ」と思いがちなんですね。ですから、「つらかったね」、「あんなことは言いたくなかったのに言っちゃうほど、苦しいんだね」というふうに、大切な友人を慰めるように、自分自身に声をかけてください。自分を責めることは、脳にとって最大のストレスで、エネルギーを消耗してしまいます。
前向きな考え方をするためにも、書き出すことをおすすめしています。

周りに助けを求めることも大事でしょうね。

橋中さん: そのノートを使いながら、周りの人に相談しましょう。
疲れきっていると、イライラをなくそうとしても無理なんですね。イライラや怒りを静めたい場合は、まず自分が休むために一人になれる時間が絶対に必要です。一人で我慢するとか、一人で頑張ってはいけません。

イライラしていると心が内向きになりがちですが、体を整えたり、周囲の環境を変えたりすれば、気持ちが変化するかもしれません。

2018/10/17 NHKマイあさラジオ 健康ライフ「介護する人の心が少しでも軽くなるために③」につづく

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2018年10月16日(火)放送より

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