赤ちゃんと大人の使用量が逆転 「紙おむつ問題」を考える

ざっくり言うと
尿を含んだ紙おむつは焼却炉の負担になっている
分別してリサイクル、炭素化して減量などの取り組み始まる
2020/10/22 Nらじ 「焼却炉に高負担 使用済み紙おむつ」 須東亮一さん(NIPPON紙おむつリサイクル推進協会会長)

くらし・健康

2020/10/22

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2020年10月22日(木)放送より

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赤ちゃんが使うおむつの量と高齢者が使う量が逆転したのをご存じでしょうか。3年ほど前からだそうです。高齢化で紙おむつを使う人が増え続ける中で、使用済みの紙おむつは年間220万トンものごみとなり、私たちが向き合わなければならない社会問題となっています。
メーカーやおむつを回収する企業などから構成され、おむつリサイクルについて取り組んでいる「NIPPON紙おむつリサイクル推進協会」会長の須東亮一さんに話を聞きました。


使用済み紙おむつ なぜ焼却炉の負担に?

――使用済みの紙おむつの増加は、どんなことが問題になっているのでしょうか。

須東さん: 赤ちゃん用のおむつは小さいですが、大人用のおむつは大きいので排出量が多く、やっかいなごみになります。子ども用の倍ぐらいになっています。さきほど「使用済みの紙おむつは、年間220万トン」というお話がありましたけれども、分かりやすく言いますと、45リットルのごみ袋で2億4000万袋になります。国民1人が2袋のごみを持つ、これが現在の紙おむつのごみの量になっています。
病院や介護施設でも紙おむつのごみが多くなりまして、自治体が回収をしていますが、焼却炉に大きな負担をかけています。

――「焼却炉に負担」というのは、どういうことですか。

須東さん: 紙おむつは尿を含みまして、大人用のおむつは4倍以上の重さになります。水分が多いと、焼却炉で燃えにくいんですね。老朽化した焼却炉ですと温度が上がらなくてダイオキシン発生の原因にもなりかねないんです。燃やすためには助燃剤、主に重油ですが、それを入れて燃やすので、助燃剤のコストもかかってきます。
また、水分が飛びますと残っているのは石油化学商品なので一気に燃え上がります。これが焼却炉の負担になります。
もう1つ、尿は体液ですので塩分を含んでいます。塩分を燃やすと塩素が出ますので、これも焼却炉に負担をかけています。

分別してリサイクル、炭化処理して減量…

須東さん: ごみの処理には税金が多く導入されております。おむつのごみは、今後10年間でだいたい1.6倍に増えて、これから30年間、増え続けるんですね。
そのままごみに出して焼却するのではなく、これからは使用済みの紙おむつを分別してリサイクルしたり、ごみの量を減らすことが注目されています。環境省はことし3月に、「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」を出しました。

――実際に取り組みをされているところはあるんですか。

須東さん: 紙おむつからパルプを取り出して再利用しましょうという紙おむつメーカーがあります。もう1つは、紙おむつを乾燥させて固形燃料を作りましょうという動きがあります。鳥取県や北海道で実際にやっている処理方法です。3つ目に新たな動きとして、愛知県の介護施設で炭化処理をしてごみを増やさないという取り組みが始まっています。
病院や介護施設に処理機を置いて、そこで燃やすのではなく、熱を加えて炭化処置をしてしまいます。セラミックになるんですけれども、それを再利用しましょう、と。セメント会社に引き取ってもらったり道路の補修に使ったり、そんなことを今やろうとしています。

――外の業者に依頼するのではなく、病院内や介護施設内で処理してしまうということですか。

須東さん: 現在のコロナ禍で、紙おむつのごみを外に出さないという方針はたぶんこれから出てきます。回収する人に感染のリスクが出てくるので、そういうことも考えなくてはいけない状況になると思います。

――施設内で処理すると、紙おむつのごみの量はどれくらいになるのでしょうか。

須東さん: 炭化処理しますと、300分の1から500分の1になります。300キロが1キロになる。ものすごい量を減らせると思います。

――そうすることで、処理上の負担も減っていくということですね。

1人1人ができること

――一般家庭での取り組みとして、使用済みのおむつを乾燥させてから出せばごみが減量できそうですが、それはできないのでしょうか。

須東さん: 以前、私、聞いたことがあります。紙おむつをしているのが恥ずかしくて、乾かしてもう1回使っていたおばあちゃんがいたようです。ところが日本の紙おむつは技術がすばらしいので、吸収した水分を高分子吸収体がなかなか放さないんです。ですから乾かしてもどれだけ時間がかかるのか、そのおばあちゃんしか分からない内容なんですけれども、2度は使えないんですね。
不織布とパルプパッドは多少変わるかもしれませんけれども、尿はアンモニアを含んでいますから、アンモニアは菌の発生や臭いの発生につながるので、あまりおすすめできません。

――リスナーの方から、<なるべくパッドを使用してかさを減らしているんですけど、使わないわけにはいかなくて……>という声が届いています。施設や自治体での取り組みが進んでいるということですが、私たちができることは何かあるのでしょうか。

須東さん: 各メーカーも病院施設などと一緒になって、「できるだけ使用枚数を減らしましょう」という動きになっています。介護される方も、「できるだけおむつを使う回数を減らすようにしよう」という方向に進んでいるんです。

――「なるべくおむつを使う回数を減らすようにしよう」というのは、小さな子どもには難しいと思うのですが……。

須東さん: 赤ちゃんの場合は、決められた回数、日に6~7回、変えるべきです。アンモニアで菌が発生しておしりが赤くただれたりする可能性もありますので、おむつを替える回数は重大なポイントになりますね。
大人は、例えば600ccなどの容量の大きい、おむつにつけるパッドを使うようにして、2回の交換を1回にする。そういう取り組みがあるんですね。

――匂いとか衛生面とか、大丈夫なんですか。

須東さん: 高分子吸収体の量が多かったり、パルプパッドがしっかりしていますので、それは問題ありません。

――私たちの生活を支えてくれる重要な紙おむつを、これからどう処理していくか、自然環境を壊さないようにしながらどう使っていくか、考えなければいけませんね。きょうは人間の話をしましたけれど、ペットも相当増えているでしょう?

須東さん: おっしゃる通りです。おむつに比べるとペットシートのほうが簡単にできていますが、原理は同じです。

――そのあたりも含めて考えていかなければいけない問題ですね。ありがとうございました。

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2020年10月22日(木)放送より

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