オンラインで楽しむ“ホップの里” 遠野のビールとパドロン

ざっくり言うと
コロナ禍で販路喪失。インターネットでビールとパドロンのセット販売開始
ビールのおつまみとして力を入れる野菜・パドロン栽培地のオンラインツアーも
2020/06/09 NHKジャーナル 地域発「地場産業 オンラインで販路を取り戻せ・盛岡」

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2020/06/09

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2020年6月9日(火)放送より

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コロナで失った首都圏の販路

岩手県遠野市は「ホップの里」を掲げ、年に1度の大規模な地ビールのイベントや、1泊2日でホップの収穫を体験してもらう「遠野ビアツーリズム」を開催し、官民一体となって町おこしを行ってきました。地元では、ビールのおつまみとして「パドロン」という野菜も栽培しています。スペイン原産で見た目はシシトウに似ていますが、甘みがあるのが特徴です。

しかし新型コロナウイルスの影響で、ビールそしてパドロンを廃棄せざるを得ない状況に陥りました。ビール醸造所の上閉伊酒造ではビールの年間出荷量が6000万リットルあり、その8割近くを占めていたのが全国各地で行われるビールイベントです。1年に15~20のイベントに出展していましたが、ことしは大型連休中の横浜でのイベントが中止になり、年間の売り上げの1割以上を失っています。6月末にも出荷予定だったビールも廃棄せざるを得ません。上閉伊酒造の社長、新里佳子(にいさと よしこ)さんです。

ビール醸造所

新里さん: イベントはなくなってしまうし、他にも波及しているので製造計画を一から考えなきゃいけないのと、これから先どうやっていいものやらというので、2月、3月、4月、5月は不安でいっぱいでした。

パドロンも、販路を失いました。国内で他に生産している地域はあまりありません。遠野市の農家が8年前に農業法人を立ち上げて栽培に乗り出しており、ことしからハウス栽培に切り替えていました。規模を8倍に増やし、面積は8000平方メートルになっています。都内のスペインバルを中心に出荷していましたが、都に緊急事態宣言が出ていた期間、多い日には1日20万円分を廃棄。総額200万円あまりの損失となりました。パドロンを栽培している農業法人の副社長・浅井隆平(あさい りゅうへい)さんです。

浅井さん: 一気に売り先がゼロになって頭が真っ白になりました。不安な気持ちに襲われて、一時期は本当に大丈夫かというのがみんなの気持ちでした。

ビールとパドロン、タッグを組んで

そこでビールの醸造所とパドロンを生産する農業法人がタッグを組み、お互いの商品をセットで販売することにしました。遠野市内のビール関連会社では、これまで一緒にイベントを開くなど協力はしてきましたが、連携してセットで販売するのは初めてです。
消費者に直接ネット販売する経験もありませんでした。浅井さんは、ネットショッピングを運営している仲間に相談。1か月あまりで準備し、5月中旬からビールとパドロンのセット販売を始めました。大手ネットショッピングサイトの農産物の部門で、1週間の注文数2位を獲得。父の日向けのギフトを見越したことも功を奏し、予想を上回る反響になりました。

浅井さん: 1000件を超える注文がありまして、われわれもびっくりしたというのが率直な感想です。「知らない野菜だったので家族で会話が増えた」とか、何か今の現状を少し打開するような力が遠野パドロンにはあったんだなと、思わぬ反響に驚いています。

インターネットを活用した新たな取り組みも始まっています。6月6日、全国のビール好き20人が参加したオンラインの会が開かれました。主催したのは、浅井さんが勤めるパドロンを栽培する農業法人です。先月に続いての開催で、今回もパドロンの栽培の様子を見てもらいました。産地をあげて、生産現場と消費者をつなぐ取り組みです。

農業法人ガイド: 遠野はホップの産地です。いっしょに楽しく飲みましょう。レッツホッピング! 乾杯~。
このあと遠野パドロンの栽培ハウスをご案内いたします。植物に病気がまん延しないように、ハウスに入る前に私たち、靴底、そして手を消毒して中に入ります。

衛生管理を徹底していることをアピールしたり、ビールに合うパドロン料理の実演では、エリンギと合わせたバターじょうゆ炒めなど3品を紹介しました。参加者からは、「直接話をしたり、作っている場所のことが分かれば、さらにファンになれると思います」「思ったより広い施設で作っていることが分かりました。実際に見に行きたいなって思っていたくらいなので」など、感想が寄せられました。浅井さんは今後の展望をこう話します。

浅井さん: これから大事なのは、何人のお客様にファンになっていただいて、その方が何回リピートして買っていただけて、結果的にどれだけ売り上げに結びつくかです。ファンの数が大事になるんじゃないかと、考えさせられました。そういう関係性を地域の事業者とも強化していきたいなと思います。

インターネットでの販売は始まったばかりです。産地が一体となって知名度を上げ、ファンを増やしていくことが重要だと思いました。

盛岡放送局
大嶋貴志アナウンサー

趣味・特技:食べ歩き、陸上(ホノルルマラソン完走)

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2020年6月9日(火)放送より

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