“違いが分かる”勝沼ワインは、ぶどう畑の個性から

ざっくり言うと
標高、水はけ、日当たり。ぶどう畑の個性をワインの個性につなげる取り組み
ぶどうもワインも生産量日本一の山梨から個性豊かな甲州ワインを世界に届ける
2019/09/24 NHKジャーナル 地域発「ワインで日本のボルドーを目指す・山梨県勝沼」

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2019/09/24

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2019年9月24日(火)放送より

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土地の「個性」を生かしたワイン作り

山梨といえば、ぶどうはもちろん、ワインも生産量が日本一です。9月下旬は、原料ぶどうの収穫やワインの仕込み作業の最盛期です。山梨の中でも代表的な産地、甲州市勝沼では、この秋から甲州ワインの価値をさらに高めようと新たな取り組みが始まっています。それは、ぶどう畑の「標高・水はけ・日当たり」といった土地の個性を、最大限引き出そうというもの。ぶどうがどの畑で収穫されたかを細かく把握して、ワインの味や香りの個性につなげるのです。

すでに土地の個性が反映されたワインは作られています。写真の2本はどちらも原料は同じ品種の「甲州」で、白ワイン。ワイナリーも同じです。一方は直線的な香り、フレッシュでよりすっきりした舌ざわりです。もう一方はふんわりした香りで、複雑味・しっかりした飲みごたえのある味と、ずいぶん違います。

それぞれのぶどうが育てられている畑を訪ねました。フレッシュでよりすっきりした舌ざわりのワインのぶどう畑は、標高250m。だだっ広い甲府盆地の中央部にあります。気温が高く日当たりが良好なので、収穫の時期が早くなり、フレッシュな酸の味わいになります。
次は、しっかりとした飲みごたえで複雑味のあるワインのぶどう畑です。こちらは標高400m。夜に気温が低くなるために糖度や酸がぬけにくくなります。土を見てみると、直径が5、6cmほどの比較的大きな石がコロコロと転がっています。水はけがとても良いのでぶどうにストレスがかかって、凝縮された味になり複雑味を特徴づけるということです。

ぶどうの出荷は品種のみならず農家と畑を明確に

これまで農家がぶどうを出荷する勝沼のJAでは、同じ品種をひとまとめにしてワイナリーに出していました。この秋からは、どの農家のどこの畑でどのぐらいとれたかを記録して、把握するようになりました。これによって、ワイナリーは産地をより細かく表示できるようになります。取り組みを主導する勝沼ワイン協会の有賀雄二(あるが ゆうじ)会長は、「生産者とワイナリーが、これまで以上に深い関係を築くための契約になりますね。日本のワインの先進地である勝沼を中心にしたこの地域が、世界に負けないようなワイン造りを、もう1度、原点に返ってやっていく必要があるわけで、そのための第一歩です」と話します。

ぶどうを出荷する農家には期待を寄せる人も多いんです。78歳の丹沢英一さんは、勝沼の岩崎地区の出荷組合長です。岩崎地区は「甲州」をメインに昔から作っている地域で、丹沢さんも50年以上作り続け、強い思い入れがあります。「俺の作ったぶどうでこんないいワインができたって言うのね、そりゃ、うれしいですよ。私は長い間農家をやってきて、甲州ぶどうを守りたい気持ちは強いです。もう昔からワイン原料のぶどうを作ってますからね。それが伸びて、世界に誇る日本ワインになってくれればありがたいなと、期待してますよ」

甲州ワインはヨーロッパをはじめ、世界で注目されています。ことし、勝沼のワインは、世界的なワインコンクールで、3社も金賞を受賞しました。和食ブームも勝沼のワインの人気を後押ししています。繊細な味わい同士、和食との相性が抜群だからです。勝沼の土地の個性を加えて幅を広げることは、世界に打って出るうえでも欠かせません。勝沼ワイン協会会長の有賀さんも期待を寄せます。「これまで考えられなかったような新しい甲州ワインを造り上げて世界の市場に受け入れられたとき、あるいは評価されたときに、5000円でも安いと思われるような甲州ワインが生まれる可能性もないわけではないんです。世界に通じる甲州ワインというものを、もう1回、勝沼から発信してですね、日本の中の勝沼ではなくて、世界の中の勝沼にしていきたいですよね」

ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュと並ぶ、世界の「勝沼」として評価されていく。今回の取り組みはその第一歩として期待がふくらむなと感じました。

甲府放送局
西岡遼アナウンサー

趣味・特技:合唱、アニメ鑑賞、お笑い鑑賞、将棋、ゴルフ

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2019年9月24日(火)放送より

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