「ヒト型じゃない」ことがポイント! 中国のロボット活用

ざっくり言うと
「単機能・省力化」で大活躍! 中国のロボット最新事情
チェックインからルームサービスまで 近未来型ロボットホテル体験記
2019/04/01 「三宅民夫のマイあさ!」マイ!Biz 博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所所長 吉川昌孝さん

趣味・カルチャー

2019/04/01

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2019年4月1日(月)放送より

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【出演者】
田中キャスター:田中孝宜キャスター
吉川さん:吉川昌孝さん(博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所所長)


田中キャスター: 経済に関していろんな角度から専門家の皆さんにお聞きする『マイ!Biz』、月曜日は「世の中のトレンド」。
博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所所長の吉川昌孝さんに聞きます。テーマは「中国のロボット活用最新事情」ということですね。
吉川さん: 先月中国の深圳(セン)と杭州に行ってきました。そこで新しいサービスをいろいろ見てきたんですけれども、特に「1つの機能に特化したロボット」によるサービス。これがすごく新しいなと思ったんで、それをご紹介したいと思います。
田中キャスター: 「1つの機能に特化したロボット」。具体的にはどういうことなのですか。
吉川さん: 例えば深圳で見たのが、レストランの配膳だけをやるロボットなんですね。
高さは1メートルちょっとぐらいなんですが、棚が2つくらい付いていて自動でお客さんのテーブルまで料理を自由に運んでくれる。大手の会社ではなくて『プールー』といういわばスタートアップ、そこが開発したロボットで、それが今大手のレストランに導入され始めているということなんです。
なんで位置を把握できるかというと250メートル四方の角にセンサーを設置しておくと、その中であると今そのロボットがどこでどう動いてるかっていうのを特定して、人をよけながら自動で配膳してくれる。
田中キャスター: ちゃんと人をよけたりそっちの方へ行くわけですね。
これは今その大手のレストランだけだそうですけれども、これから広がってきそうなんですね。
吉川さん: そうですね。やっぱり中国は経済が一気に発展して都市部の人件費がすごく上がったんです。それを抑えるためにもロボットの導入が多分いろんなシーンで進んでいくだろうなと。
これまでは大量な人口とか特に分厚い若年層というのを背景に、それこそ5年ぐらい前ですか、どのお店に行っても本当にたくさん店員がいたんですけれども、最近店員がどんどんいなくなっている。そういう人件費の問題、あとロボットですと24時間とか「働き方」みたいなことはいま日本でもよく言われてますけど、思う存分働いてもらえますので、ロボットを導入するという企業がやっぱり増えていくんじゃないかなと思います。
田中キャスター: あと、吉川さんは杭州、上海の近くにも行かれたそうですね。
吉川さん: ここは『アリババ』という中国を代表するIT企業の本社がある街なので、アリババが運営している未来ホテルと言われる、『フライズーホテル(FlyZoo Hotel)』に行きました。
とにかくびっくりするのがホテルのスタッフがほとんどいない。フロントが無いんです。普通「いらっしゃいませ」とか言うんですけれども、まず予約はネットで支払いも含めて済ませているんですけれども、6台自動チェックイン機があるだけなんです。その自動チェックイン機のところに行って自分のパスポートを読み込ませて、そのあと自分の顔をその自動チェックイン機に向けて認証してもらう。通常のホテルだとカードとかもらえますよね。あれが自分の顔、みたいな。鍵代わりのカードも持たされません。
エレベーターに乗るときもカードをエレベーターに照らしてとかせずに、エレベーターの中にカメラがあるので、それで自分の顔が認証されると、このお客様は何階だなっていうのでスイッチがつきます。それで、そこまで連れて行かれます。
今度は部屋の前にもカメラがあるので、部屋の前に来たなっていうとガチャッていって開きます。で、室内はどうなってるかというとですね、部屋の中はアリババのスマートスピーカーがコンシェルジュというか自分のやりたいことを叶えてくれるという感じで、それに話しかけるとカーテンの開け閉めとか、テレビのオン・オフとか部屋の照明を調節したり、音楽ちょっとかけてとか、ルームサービスもそれに注文するとか。モーニングコールもそうです。現在は中国語だけなんですけど、自動翻訳できちゃうので、すごく楽になるんではないかなと思います。
田中キャスター: 私なんかちょっと古い人間なので、顔認証のカメラだとかスマートスピーカーだとその部屋の中までプライバシーが無いような、ずっと監視されてる感じがしてしまうんですけれども、このあたりはどう受け止めていますか。
吉川さん: あの、中国の方々も便利なほうが良いんじゃないかっていう気持ちが強くて、そこはもう軽く飛び越えていく感じがします。逆に、例えばルームサービスで加湿器が欲しいんだけどとかってフロントに電話をして持ってきてもらう時って、ちょっと人が自分の部屋に入ると緊張したりとか、それに合わせて待ってなきゃいけないとかあるじゃないですか。そのへんも、もうすごくスムーズにできてしまうので。
田中キャスター: 人がいないということは、もうロボットが代わりにすると。
吉川さん: そうです。ルームサービスを呼ぶと、ロボットが自分の部屋の前に来ると電話が鳴るようになっていて、着きましたっていうのが聞こえるので、開けるとロボットが待っているというふうになっています。このロボットもさっきのレストランで活躍する配膳ロボットと一緒で、日本で今掃除機もロボットになってるじゃないですか。あの自走式の掃除機が1メートルぐらいの高さになったような。「ヒト型」じゃない。それで、単機能なんです。配膳だけとかルームサービスを運ぶとかホテルの中を案内するとかそういうことだけに特化したロボットが、このホテルの中では廊下とかエントランスとかを何台も移動している。そんな感じになってるんですよね。
田中キャスター: 単機能のロボットが中国で進んでいるというあたり、日本と比べてみるとロボット活用にどういう違いを感じますか。
吉川さん: 日本だとヒト型のロボットっていうのが、やっぱり僕らつい思い浮かんじゃいますよね。
田中キャスター: ホテルでもヒト型のロボットがありますよね。
受付にロボットがあっても、ヒト型のロボットっていうイメージがありますよね。
吉川さん: ヒト型をもう通り越して、完全に人に模したような、いかに近づけるかというようなところがありますけど、それだと実際にコミュニケーションした時にちょっと齟齬(そご)があったりすると何かものすごくがっかりしてしまうというか、人並みのコミュニケーションを期待してしまいますよね。
ですけれども、単機能に絞って、完全に省力化なんだ、人手不足の解消なんだ。道具と人間と割り切った関係になっているからこそ、いろんなことを積極的に頼みやすいみたいな状況になってるんだと思います。
僕もロボットが闊歩(かっぽ)するようなホテルってちょっとどうなんだろうって、正直取材するまで思ってたんですけど、案外、アリかナシかで言うとアリだなっていう。
ヒト型だとどうしても人間に対しての距離感をつい思ってしまうんですけど、機械が動いているというふうになると、何かの目的を果たすために今やってるんだろうなっていうので、割り切れるっていうんですかね。
田中キャスター: こちらの意識がもうそのレベルを期待しないっていうことですね。
吉川さん: そうですね。我々のメディア定点調査でロボットあるいは人工知能のみたいなことに関する意識をとっているんですけれども、例えばロボットに抵抗を感じるのは、全体で3割ぐらい。7割の人はあまり抵抗を感じていない。でも、それとは逆に人との関わり合いを持てるような人工知能が実現したらいい、みたいなのはたった2割ぐらいなんですよ。
田中キャスター: あ、そうなんですか。ロボットには抵抗ないんだけれども…。
吉川さん: 人間と関わるような人工知能の実現みたいなのはちょっとおっかないっていうんですかね。そんな感じがあるのかなというような気がしますね。
田中キャスター: まぁ、単機能のロボットっていうと製造業の現場ではよくありますけれども、中国のようにサービス業でも導入していくと。日本でも参考になりそうですか。
吉川さん: やっぱり日本も人口減少真っただ中ですし、それ以上のスピードで生産年齢人口が減少していくってことを考えると、あと実際に働いている我々の「働き方改革」っていう面でも、今回取材したような単機能ロボットを導入して人手不足解消を実現していくのは大きなやり方としてあるんじゃないかなと思いました。
最終的にはやっぱり人間的なロボットっていうんですかね、それを最終的に目指しつつも、まず便利になりそうなところからロボットに代替していく。そういう中国のやり方は日本も参考になるんじゃないかなと感じました。
田中キャスター: ヒト型ロボットを目指す日本の研究も重要ですけれども、現実的に使っていこうという、そういう良さも取り入れてもいいんじゃないかということですね。どうもありがとうございました。
吉川さん: ありがとうございました。

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2019年4月1日(月)放送より

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